カシオ計算機は4日、デジタルカメラ「EXILIM」(エクシリム)の新製品となる、カメラ部とコントローラー(液晶モニター)部が分離・合体する「EXILIM EX-FR200」(以下、FR200)を発表した。9月中旬から発売し、価格はオープン、推定市場価格は65,000円前後(税込)だ。スペックなどの概要は別記事『カシオ、180度の全天周撮影が可能なアウトドアカメラ「EX-FR200」』をご覧いただくとして、ここではプレス向けに開催された製品説明会の内容をお伝えする。

EXILIM EX-FR200

カメラ部とコントローラー部を合体させれば、一般的なデジタルカメラのようなスタイルでも使える

FR200は、35mm換算13.4mm、F2.8の円周魚眼レンズを搭載することがまずひとつ目の特徴。180度の全天周写真・動画を撮影でき、一部を広角写真として切り出すことも可能だ。ふたつ目の特徴は、1台のコントローラー部で、2台のカメラ部を同時に扱えること。カメラ部だけでも販売され(EX-FR200CA、税込50,000円前後)、2台のカメラ部を使うことで180度+180度の全天球撮影や、マルチアングル撮影を実現できる。

EX-FR200の作例

また、従来モデル「EX-FR100」(以下、FR100)は35mm換算16mmの超広角モデルだが、継続して販売。FR200は、FRシリーズを横展開する新モデルとなる。特筆すべきは、FR200またはFR100のコントローラー部で、FR200(カメラ部)+FR100(カメラ部)という2台制御が可能なこと。FR200のカメラ部で全天周動画、FR100のカメラ部で超広角写真といったように、2つの異なる写真・動画を同時に記録できるのだ。

FR200とFR100のカメラ部を、1つのコントローラー部で同時に扱える。180度の全天周写真と、16mm広角写真を同時に記録できるのだ

2台のカメラ部を、自転車の前方と後方に取り付けた例

FR200のカメラ部を2台、コントローラー部を1台、取り付けられるマルチアングルスティック(オプション)

「Smart Outdoor Watch WSD-F10」とも連携。いわゆるスマートウオッチの画面をタップして、FR200のシャッターを切れる

目指すは究極のハンズフリー

製品説明会ではまず、カシオのデジタルカメラ事業を統括する上席執行役員 事業部長の中山仁氏がスピーチ。

カシオ計算機の中山氏

デジタルカメラの市場が縮小を続けるなか、新しい撮り方や楽しみ方を提案できれば、まだまだ伸びると語る。今回のFR200は、FRシリーズでは3台目となるモデルだが、初代モデル「EX-FR10」のときから、中山氏は「究極のハンズフリー」という言葉を強調してきた。

具体的には、日常をすべて記録しておき、これぞ!の瞬間を静止画として保存するということだ。これを実現するため、FRシリーズには多彩なマウントオプションが用意され、身体のどこかに装着したり、自転車などに固定したり……といった使い方ができる。加えてFRシリーズの本体は、柔軟な「インターバル撮影」機能、印象的な写真や動画を自動的に選び出してまとめる「ハイライトフォト」「ハイライトムービー」機能を持つ。もちろん、スマートフォンへ撮影写真を自動転送するような連携や、SNSとの連携も考慮されている。

FRシリーズのコンセプトと、FR100、FR200の位置付け

そこで新モデルのFR200だが、先述のように円周魚眼レンズを採用し、FRシリーズのなかで「レンズバリエーション拡充による『世界観』の拡大」というポジションを担う。撮影のパターンとしては、全天周、360度パノラマ、超広角、全天球などが可能だ。

FR200はカメラ部とコントローラー部が分離合体するセパレートスタイルなので、カメラ部をどこかに固定しつつ、手元のコントローラー部でリモート制御という使い方がひとつのキモ。カメラ部を単体で追加購入し、例えば自転車の前方と後方の風景を同時に動画で記録するといった、アイディアしだいで非常におもしろい撮影を楽しめる。

FR200で撮った全天周写真は、好きな部分を広角写真として補整、切り出せる

FR200の楽しみは「撮る」「観る」「共有」

撮影のバリエーション

2台のカメラ部を使うマルチカメラ撮影

もうひとつのキモが、iOS/Android用の新アプリ「EXILIM ALBUM」だ。FR200で撮影した全天周写真から、ユーザーの視点に合わせたハイライト部分を最大3画面、切り出して同時に閲覧できる。カメラ部を上向きで撮った写真、横向きで撮った写真のどちらでも、ユーザーの視界に入る部分を重点的に切り出す。全天周写真のVR表示も可能だ。

そのほか、撮影した写真・動画を時系列で表示して、自分のリズムで追体験する「ハイライトタイムライン」、複数の写真・動画をつないで1本の動画とする「ハイライトムービー」も楽しめる。加えて、EXILIM ALBUMから各種SNSへの、写真・動画の投稿にも対応。FR200では、一般的なデジタルカメラ、スマートフォンのカメラ機能とは一味違った写真・動画を撮れるので、「これどうやって撮ったの?」と注目を集めるような効果も狙う。

iOS/Android用の新アプリ「EXILIM ALBUM」は、FR200で撮影した写真・動画を活用する機能を主に3つ備える。言い方は悪いが、SNSに投稿してドヤ顔できるかもしれない

パソコン用のアプリケーションとしては、「EXILIM 360 Viewer」を提供する。FR200で撮った2つの全天周写真を、YouTube 360などに対応した全天球形式へと変換、保存するソフトウェアだ。

FR200は、IPX8/IPX6の防水性能とIP6X相当の防塵機能、1.3mの高さからの落下耐性と耐衝撃性能を備える。アウトドア、アクティビティを余すところなく記録し、その写真・動画をいろいろな手段で楽しむ、共有するという、明確なコンセプトを持ったデジタルカメラだ。

ただ、現行モデルのFR100もそうだが、実際に使ってみないとなかなかおもしろさと便利さが伝わらないのがひとつの課題だろう。幸いなことに筆者は、FR100の体験ツアーに参加したり、試用機を使ったりしているので、FRシリーズの魅力を実感できている。例えば、富士フイルムがやっているカメラの1日レンタルサービス的なものがあれば、より多くのユーザーにFR100やFR200の楽しさ、写真と動画の新しい楽しみ方を伝えられるのではないだろうか。