中国を中心にSNSやゲームコンテンツを提供するテンセントは7月28日、同社のインターナショナル・ビジネス・グループが、訪日中国人観光客の急増によるビジネス機会の獲得を目指す日本企業を対象に、ワンストップ型の広告ソリューションの提供を開始すると発表した。そこで、この狙いについて、Senior Director of Business Development Benny Ho氏に聞いた。

Tencent Senior Director of Business Development Benny Ho氏

同氏はまず同社の概要について、「テンセントは1998年に設立され、時価総額は日本円で約20兆円と、Google、Facebook、Amazonの次いで世界で4番目に大きい会社だ。主な事業としては、コミュニケーション、インフォメーションメーション(情報配信)、動画、音楽配信などのエンタテインメント、コマースの4つがある。創業以来、中国を中心にビジネスを展開してきたが、最近では、日本、韓国、台湾にもオフィスを構えている」と説明。

そして今回、訪日中国人観光客向けの広告ソリューションを提供する理由については、次のように語った

「中国は人口10億人で、経済成長も続いているため、多くの日本企業が拠点を作って進出している。一方、2015年の中国人の海外旅行者は2億人で、その消費額は20兆円にのぼる。日本に関していえば、2015年の中国人の来日訪問者数は500万人で、前年から倍増と急激に伸びており、その消費額は日本円で1.4兆円だ。さらに、今年は700万人になると予測している。われわれは、ここにかなりのポテンシャルを感じている」(Benny Ho氏)

そして、これら中国人へのアプローチについては、「購入の意思決定にどうブランドを登場させるかだ。中国人は日本に平均12日間ほど滞在し、複数の都市を移動する。そうなると、1つの都市の滞在は2~3日ということになり、タイトなスケジュールになる。そのため、中国国内にいるときから、購入するものをリストアップし、あらかじめどの店で、どの商品を買うかを計画してから来日していると考えるのが自然だ。したがって、中国人向けのビジネスチャンスを掴みたい日本企業からすれば、日本に来る前の意思決定に登場し、ブランドの認知を高めておく必要がある。そのニーズはこれから高まっていくだろう。以前はパッケージツアーが多く、購入する店も決められていたが、最近は富裕層や若い人を中心に自由旅行する人が多くなっており、これまでのように旅行代理店へのアプローチよりも、中国人に直接アプローチしたいというニーズは増えてくるだろう」と述べた。

同氏によれば、今回提供を開始した広告サービスには2つの側面があるという。1つは広告商品そのもので、もう1つはサポートだという。

商品としては、ソーシャルメディアであるQQ、Wechat上での広告、企業の公式アカウントによるBtoCのコミュニケーションの促進、決済手段としてのWeChat Paymentの3つがあり、サービスとしては、このような商品に対してどのように出稿するのか、どうすればコストを抑え効果を発揮できるかなどの提案や使い方、広告自体のデザインや言語もサポートしていく。

広告イメージ

さらに広告は、過去日本に来たことがある、今後、日本を訪問する可能性があるなど、ターゲットを絞って行うこともできる。また、広告出稿の結果についてもレポートするという。

そして同氏は、同社の強みとして大量のユーザーがいること、アプローチするのに適したオーディエンスがいること、ビッグデータの3つを挙げた。

「ユーザーについていえば、QQは8.7億人、Wechatは7.6億人の月間アクティブユーザーがおり、これらは、ユーザーの生活に密着したコミュニケーションツールになっている。オーディエンスでは、QQやWechatは中国ユーザーの不可欠のツールになっており、たとえ旅行中でも、中国国内にいるときと同じようにサービスを利用している点が強みだ。そして、ビッグデータでは、データを分析して、企業に最適なターゲティングを提供できる。分析はユーザーの登録情報だけでなく、どんな動画を見たのか、どんな音楽を聴いたのか、どんなEコマースを使っているのかなど、ユーザー行動に基づいて行っているので、信頼性の高いターゲティングができる」(Benny Ho氏)

ターゲティングについては、年齢、性別、婚姻、居住地などの基本情報、どんなデバイスを利用しているのか、検索キーワード、動画/映画配信の課金状況、ECの決済額、所属するコミュニティやAndroidアプリストアからのダウンロード状況による興味/関心などを分析して抽出するという。

また、将来的には、中国国内での越境ECも広告のターゲットにしていくという。