「コードアワード2016」の贈賞式が7月27日、D2Cホールにて開催された。

「コードアワード」は「モバイル広告大賞」を前身とし、モバイル広告およびデジタルマーケティングの健全な発展と普及を目的とした広告・マーケティングの広告賞。デジタルマーケティングの「いま」を刻み、「未来」を拓くアワードとしてD2Cにより運営され、デジタルを活用した広告コミュニケーションおよび、デジタルマーケティングの活用事例を表彰しているものだ。

今年度は2015年4月1日から2016年3月31日の期間、各種デジタルを活用したマーケティングコミュニケーションの事例を対象とし、国内外合計139件のノミネート作品の中からファイナリスト29作品選定、受賞作品12作品を決定した。作品選考においては、TBWA HAKUHODOの佐藤カズー審査員長を筆頭にPARTYの伊藤直樹氏やGoogleのジョン・メリーフィールド氏など、クリエイティブ、テクノロジー、マーケティングなどのスペシャリスト計9名により厳正なる審査が行われ受賞が決定した。

一般選出部門はベンツ×Perfumeらの異色コラボ

佐藤カズー審査員長は表彰に先駆け、「今年は、審査にあたり3つの「初」がありました。審査時間の最長記録、初の海外からのエントリー(タイ、中国)、そして海外からの審査員を導入したことです。審査にグローバルな視点を導入することは今後デジタルネイティブの業界では避けて通れないと考えてのことで、今回、グランプリの該当がないなど、審査はとても厳しいものになりました。これは『コードアワード』が世界に開かれた広告賞として、世界基準の審査に耐えうる強い作品を望むという意思表示でもあります。世界に通用する「日本を代表する作品」をこれからも創り出してほしいと思います」とコメント。

受賞作品一覧

審査委員長を務めたTBWA HAKUHODOの佐藤カズー氏

また贈賞式では、受賞した12作品の表彰に加えて一般の投票より選ばれた「パブリックベスト賞」が新たに発表され、オフィシャルサイト上での一般投票審査によりメルセデス・ベンツ日本「Next Stage with you」が受賞した。若年層をターゲットとした新しい形のデジタルマーケティング手法として開発されたもので、Perfume×貞本義行×中田ヤスタカの豪華コラボレーションによるiPhone向けアプリだ。

メルセデス・ベンツ日本「Next Stage with you」

HAKUHODO THE DAY エグゼクティブプロデューサー 佐藤夏生氏

受賞にあたり、HAKUHODO THE DAYのエグゼクティブプロデューサーである佐藤夏生氏は「これまでのクリエイティブは最初に設計図を書いて、ゴールがあり、見積もりがあり、作る前からある程度形のあるものが多かったように思う。今回のプロジェクトは『自分達が想像できない(これまでにない)ものを自分達で作っていく』という作業で、設計図のないものを旅するように、作りながら転がっていく、新しい形のプロジェクトだった。当初思いもしなかったところによい形で着地できたのは、ゴールの見えないものにGOサインを出してくれた、クライアントであり最大の協力者でもあるメルセデスのおかげと感謝したい。マーケティングはこれからもっと自由になってくのではないかと感じている。ゴールを設定しない新しいクリエイティブの形がもっと広がっていったら」と述べた。

また、審査員で、クラウドファンディングサイト「MAKUAKE」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役の坊垣佳奈氏は、「この賞は一般投票のみで決められる賞。ユーザーがどう感じたかというのがまさに「デジタルエクスペリエンス」なので、本当に栄えある賞だと感じている。ブランド体験からセールスまでの全てがユーザーの手の中で完結でき、そこから販売にしっかりと結びついたという点も素晴らしいと思う」とコメントした。

同年を象徴するデジタル広告表現を選出

そのほか本年の「コードアワード2016」ではスマートフォンならではの工夫を凝らした作品や、IoT化が進むデジタルマーケティング手法が目を引いた。各賞のなかで特に目を引いた作品とコメントは以下の通り。

【ベスト・クラフト】 部門

GREEN NAME(KIRIN)
商品名: 淡麗グリーンラベル
広告会社: 電通
制作会社: PARTY / 電通テック /Caviar/ ADBRAIN /AID-DCC /minsak /mount position /puzzle /amana /melody punch /catchball

受賞コメント:「お客様誰もが持っている「名前」というもの着目して企画を開発した。3000文字をデザインしていくのは大変な作業だったが、ブランドメッセージを多くの人に伝えられたと感じている」

ユーザーの名前に含まれている漢字の中から、自然をイメージする文字をアニメーション化するWEBサイト。アニメーション生成数は150万回を突破し、オリジナルグッズが作れるshopや名前の入ったオリジナル缶がもらえるキャンペーンを展開した。

宣伝会議 事業構想大学院大学学長 田中里沙氏「コンテンツの企画性やユーザビリティなどのバランスが大変良く、漢字がもつ世界観とグリーンラベルの価値やイメージを視覚から入って、感覚的に深いところまで持って行けたのでは。ブランドをより好きになり、またユーザ自身のあらたな自己発見のきっかけとなったと思われる」

【審査員特別賞】

INTELLIGENT PARKING CHAIR(日産自動車)
商品名: INTELLIGENT PARKING ASSIST
広告会社: TBWA HAKUHODO
制作会社: BIRDMAN / TYO プロダクションズ 2

受賞コメント:「このコミュニケーションにより大きく変化したことの一つに、社内の意識というのがあった。硬いものを作っている会社だが、こういった柔らかいプロモーションを行うということがとても社内で響いてこれからもよりユーザーと近い視点でコミュニケーションをしていこうという話になった」

日産の自動パーキング技術を搭載した、自動で所定の位置に戻るオフィスチェア。ムービーの再生回数は2600万回にも達した。「自動パーキング技術といえば、日産」というイメージを世界中に作り出した。

宣伝会議 事業構想大学院大学学長 田中里沙氏「まずこの動画を見て、『この椅子ほしい!』と審査員全員が思った。本アワードの「未来において素晴らしいものになりうるか」という審査基準において、この椅子の発明が多くの人を楽しませ、未来を感じさせる企業のイメージを創り出していることに何の疑いもない」

D2Cは、今後も「コードアワード」を継続的に実施し、デジタルを活用した広告コミュニケーションおよびマーケティングの一層の普及と発展に貢献していくとのことだ。