"北海道の翼"を担うべく、北海道国際航空としてスタートしたのは平成8年(1996)の11月。現在はAIRDO(エア・ドゥ)として北の大地と各地域を結ぶ同社は、2016年に設立20周年を迎える。そんな節目に「"オンリーワンなエアラインを目指す"強い気持ちの表れ」として7月29日、特別塗装機「ベア・ドゥ北海道 JET」を就航させる。

設立20周年を記念して「ベア・ドゥ北海道 JET」が空へ

北海道の豊かな四季を全国に届ける

同機は北海道の四季をデザインコンセプトとして、季節によって多彩な表情を見せる北海道ならではの明瞭な四季を機体全体で表現。美瑛の丘や十勝の大地、函館のハリストス正教会、札幌時計台という北海道を代表する風景に、羊やキタキツネ、フクロウなどの北の動物たちも一緒に描かれている。そして尾翼には雲にまたがる大きなベア・ドゥをデザイン。AIRDOのマスコットキャラクターであるベア・ドゥは、北海道生まれの5歳の男の子。ラベンダーやとうきび、リンゴ、牛乳が好物と、なかなかぶれない"道産子"である。

ベア・ドゥの趣味は旅と写真

同機の初便は7月29日のADO15便(羽田08:15発/新千歳09:45着)で、同日のADO016便(新千歳10:20発/羽田12:00着)にも運用される(※)。それ以外の路線は特に定まっておらず、「B767-300が運用される路線に期待していただきたい」とAIRDO広報は言う。

"北海道の翼"として各地を巡る

特別塗装機は2015年5月に構想を開始し、社内投票でデザインを決定。7月4日より塗装を始め、7月12日にロールアウトを迎えた。同社は過去にも2機の特別塗装機を展開しているが、これらはすでに退役済みであり、B767-300へのデザインは今回が初となる。使用した塗料は全18色で、塗料の重さは約300kgにもなるとのこと。B767-300の機体の長さは約54.9mであり、塗装面積の広い部分は最大8人、細かい部分は約8人が分担して塗装を担当した。

B767-300へのデザインは今回が初

デザインは、札幌のデザイン事務所・3KGのクリエイティブディレクター・佐々木信さんが担当。佐々木氏は会社設立当初からデザインに関わり、ベア・ドゥの生み&育ての親でもある。今回のデザインにあたり、「20年経ってこんなに大きな機体に、北海道の四季を描けるようになったんだ」という感慨深さがあったという。「日々業務に当たる社員の想いも込められたデザインとなっている」とAIRDOの代表取締役副社長・草野晋氏が語るように、"北海道の翼"であることをより具体的に表現した1機となっている。

美瑛の丘や函館のハリストス正教会、札幌時計台、キタキツネ、フクロウなどもデザイン

初代制服・サロペットの衝撃

就航前日に開催されたメディアお披露目会には、歴代制服をまとった客室乗務員がベア・ドゥ北海道 JETの特別なひとときをサポート。同社は現行の制服も含めて、3つのデザインを展開している。

(左から)3代目制服の客室乗務員、2代目制服の客室乗務員、代表取締役副社長・草野晋氏、初代制服の客室乗務員、3代目制服の客室乗務員

平成10年(1998)12月20日に1日3往復の東京=札幌線就航した際、同社の制服はサロペット(胸当てつきパンツ)にスニーカーという、北海道の大地を思わせる斬新なデザインの制服で話題をさらった。客室乗務員のシンボルとも言えるスカーフも合わせられており、同社のコーポレートカラーであるイエローとブルーがさし色として映えている。

バックに記された「AIRDO」もかわいい

2代目は就航1周年を記念して登場したもので、平成11年(1999)12月20日~2009年3月31日にかけて使用された。空港職員の制服と同系色に統一した、鮮やかなブルーのジャケットが印象的である。現在の制服は就航10周年を記念して2009年4月1日より着用されており、北海道の大地の厳しさを乗り越える「真の力」と四季と移り変わりから得る自然の「やさしさ」がデザインコンセプトになっている。なおスカーフは、先任客室乗務員はブルー、一般客室乗務員はイエローと使い分けされている。

デザインは変われど、どの代も"北海道らしさ"を大切にした制服になっている

機内で北海道な「HAPPY HOUR」を

お披露目会の機内では、2016年より7~9月限定で無料提供している「珈房サッポロ珈琲館 アイスコーヒー」でお出迎え。北海道・羊蹄山(ようていざん)の噴き出し天然水を用いた特別な一杯で、提供される紙コップもベア・ドゥ北海道 JETデザインだ。

入り口にはベア・ドゥが

「珈房サッポロ珈琲館 アイスコーヒー」は無料サービス

客室乗務員が着用するベア・ドゥ北海道 JET就航記念「AIRDO オリジナルエプロン」、税込2,000円で機内販売もする

紙コップもベア・ドゥ北海道 JET仕様

機内のちょっとしたところにもベア・ドゥが潜んでいる

AIRDOでは機内サービスを「Do Sky Merche」と総称し、AIRDOにしかない"空の市場"で北海道の魅力あふれる商品を展開している。2015年10月からは軽食販売の第1段として「AIRDO オリジナルスープカレー」(税込500円)を期間限定で展開し、2016年5月からはその第2弾として「AIRDO オリジナル『パスタ入り 北海道産とうきびチャウダー』」(税込500円)を全路線で用意している。

とうきびの他、タマネギやカボチャ、ベーコン、キャベツ等の北海道産素材をふんだんに用いたミルク風味の濃厚スープで、ちょっと疲れた身体にも染み渡るやさしい味わいだ。なお、8月は1カ月限定で「AIRDO オリジナルスープカレー」(税込500円)が復活する。

「AIRDO オリジナル『パスタ入り 北海道産とうきびチャウダー』」(税込500円)は小腹を満たすのにちょうどいいボリューム

平日の夕方以降、札幌(新千歳)=東京(羽田)線を利用する場合は、「HAPPY HOUR」をお見逃しなく。通常税込500円の北海道限定ビール「サッポロクラシック(おつまみ付き)」が、ひとり1本まで税込200円で楽しめる。このHAPPY HOURは通常よりも20倍も販売されることがあるとのこと。ちなみに、機内でサッポロクラシックを提供しているのはAIRDOだけである。あわせて提供されるおつまみも、別海町郊楽苑の人気商品「ショートチーズ」と北海道尽くしだ。

「HAPPY HOUR」は大好評のサービスだ

お披露目会では特別に機内を「AIRDO資料館」に見立てて、ベア・ドゥのぬいぐるみや、機内販売品、過去の特別塗装機模型、時刻表等、歴代の品々が所狭しと飾られていた。そして、「皆と写真を撮るのが大好き」というベア・ドゥも機内におもてなし。大きな頭をゆらしながらさまざまなポーズを決めてくれた。

歴代のいろんなベア・ドゥが一堂に集まった

ベア・ドゥはサービス精神旺盛

見送りで先に出口に向かうベア・ドゥ。思っていたより頭が大きいよう

現在、AIRDOは全14機(B767-300: 5機、B737-700: 9機)を用いて、新千歳をベースに国内12路線・36往復/日を運航している。改めて"北海道の翼"を目に見える形にして表現したベア・ドゥ北海道 JETは、日本の各地に北海道の魅力を送り届けてくれるだろう。

ベア・ドゥ北海道 JETがこれから各地域の空を舞う

※初便は機材トラブルにより整備を経て、同日午後に新千歳へ飛び立った