地下街が発達している名古屋。地下街の総面積は東京、大阪に次いで全国3位で、人口比率は堂々の全国トップだ。中でも最も規模が大きいのは名古屋駅周辺だが、そこから地下鉄で1区間の伏見駅に、地元の人も知る人ぞ知る地下街がある。

伏見地下街は、昭和32年(1957)開業と全国でも屈指の老舗地下街。もともと地上の繊維問屋が、共同で開発した異色の地下空間で、当初は衣料品店が中心だった。近年、空き店舗が目立っていたが、ここ半年あまりで突如人気のスポットに。立ち飲み店が次々とオープンし、一大飲み屋横町に生まれ変わっているのだ。

シャッター街化しつつあったが、今年に入って飲み屋が急増した伏見地下街。3年前開催の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で描かれたトリックアートが、床や壁に残されている

穴場感あふれる立ち飲みエリア

3年前のトリエンナーレの時、入り口が青くペイントされた。赤い提灯とのコントラストが、ちょっと幻想的

地下街のある伏見エリアは、名古屋一のオフィス街。出店する側にとっては、もともと飲み屋需要が高いうえ、地下街の物件はいずれも古く小規模なので、地上よりも家賃が安いというメリットがある。

また、地下鉄改札直結でありながら、東山線下り線で降りなければ存在に気づかない人も少なくなく、交通の便は良いのに穴場感があるのも魅力。

名古屋には居酒屋が立ち並ぶ横町、そして立ち飲み店があまりなかった。そのため、物珍しさも手伝ってうわさがうわさを呼び、客も店もどんどん増えたことが、現在の盛り上がりにつながっている。

改札の開場締め切りも、居酒屋が増えたことで延長が決定。今春から23時まで(従来は20時30分まで)楽しめるようになったのだ。

地下鉄改札の真横、絶好の立地の「ちろり家」

まさに地下鉄直結の立地「ちろり家」

ここからは、伏見駅改札側から栄方面に向かって、立ち飲み屋を順番に紹介していこう。まず、地下鉄改札の真横という絶好の場所にあるのが「ちろり家」。一番の魅力は日本酒で、甘口から辛口までバランスよく常時15種類ほどを取りそろえる。すべて1杯450円(100ml)の明朗会計だ。銘柄は常に入れ替わるので、その時しかない希少酒をお値打ちに飲めるチャンスもある。

女性客も立ち寄りやすい

料理は鶏料理を中心に、酒のアテをこれまた過不足なく用意する。雰囲気はベタな居酒屋然としているが、スタッフが女性のためか、女性客が目立つ。まずは1杯、あるいは最後にもう1杯。立地のよさも手伝って利用しやすい1軒だ。

右下「鶏の串焼」(120円~)、 左上「三河どりももタタキおろしポン酢」(480円)

また、2月にオープンした酒屋「Shusendo mini」でも、火曜日はワイン、土曜日は日本酒の試飲会があるので立ち飲み可能だ。立ち飲み屋ではないが、座って飲みたいという人には、6月にオープンした「ふつふつや 伏見店」がオススメ。和を中心としたフードが充実している。

火曜日と土曜日は「Shusendo mini」で立ち飲みを

「ふつふつや 伏見店」では座ってお酒を楽しめる