出店場所によって表情を変えるウマミバーガー

「(ハンバーガー好きのみならず)全ての“肉好き”な人」に来店して欲しいというウマミバーガーだが、ファンを獲得するには味以外の部分、例えば店舗の雰囲気なども重要な要素となる。

「様々なシーンに合う」。メディロス氏が語るとおり、ウマミバーガーは立地や顧客の利用シーンなどに合わせて店舗の雰囲気を変える。米国の既存店も、各店が異なるテーマを打ち出して、来店者に独特の体験を提供している。例えばラスベガスの高級ホテルではフルダイニングのラグジュアリーな店舗を運営している一方、ショッピングモールではファミリー向けの大型店を展開しているといった具合だ。

店舗によってはDJブースやビリヤード台などを設置する遊び心もウマミバーガーの特徴。カリフォルニア州アーバインではクラブの隣接地に出店し、内装を含めナイトシーンを意識した店作りを行っている。ウマミバーガーは場所によっても時間帯によっても表情を変えるバーガーショップなのだ。

店舗によって異なる表情を見せるウマミバーガー。ファストフードと違うのは、席についてから注文するスタイルを取り入れているところだ。ワイン片手にゆっくり過ごしてもよし、ハンバーガーだけを味わいに訪れるもよしといった店作りが特徴といえる(画像はアーバイン店)

日本1号店のテーマ設定については、「物件次第で、そこに合ったコンセプトで作り上げる」とのこと。場所柄によってカラーを変えるウマミバーガーだけに、日本上陸の場所については詳細な検討を行っていることだろう。日本1号店の場所は9月頃に発表する予定だという。

日本展開に生かす異業種ならではの目線

日本でブレイクするとの直感のもと、ウマミバーガーの日本展開に乗りだしたメディロス氏だが、同氏が手掛けてきたビジネスは、アイウェア、下着、ジュエリーなどのファッションブランドを日本に広めること。初めて飲食業に参入することに不安はないか聞いてみると、今回の案件には既存事業で培ったノウハウが活用できるとの答えが返ってきた。

ファッションブランドであろうが飲食店であろうが、日本に持ってくる際に活用できるブランディングのノウハウには共通する点が多い。メディロスホールディングスの関連会社では、アイウェアなどの店舗を運営しているため、顧客に「場を楽しんでもらう」接客術にも知見がある。米国のウマミバーガーで行っている「フレンドリーな接客」を日本でも展開できないか、メディロス氏は考えを巡らせているところ。接客面で日米双方の良さが融合すれば、日本の店舗では、本国とは違った独特の雰囲気が育っていくかもしれない。その雰囲気が、米国からやってくるウマミバーガーファンを惹きつける可能性も十分にありそうだ。

異業種から飲食業に挑戦することにはメリットもあるとメディロス氏は指摘する。衛生面を含む品質管理に、エンドユーザーとしての視点を持ち込むことができるからだ。ウマミバーガーで提供するのは、「自分が安心して食べられるもの」だと同氏は強調する。

品質の高い肉、旨みを引き出す独特の調理法、雰囲気のある店舗…。様々な要素からなる「UMAMAZING(旨みとアメイジングを掛け合わせた造語)な体験」を日本でも広めたいとメディロス氏は語る。ますます競争の激しくなる日本の外食市場だが、バーガーファンのみならず“肉好き”をも取り込みたいとするウマミバーガーが、どれだけの存在感を示せるか。試金石となる日本1号店の評判に注目したい。