「ゴキブリ ワンプッシュ」(希望小売価格1,404円・税込)。写真は見本品

暖くなると元気で活動的になるのは人間ばかりではない。夏はゴキブリも活発に活動・繁殖する時期だ。そんな中、フマキラーが全く新しい"次世代型商品"と太鼓判を押す新害虫駆除商品を開発した。8月1日から出荷が開始されるワンプッシュ式小型スプレータイプのゴキブリ駆除剤「ゴキブリ ワンプッシュ」(希望小売価格1,404円・税込)だ。

隙間にワンプッシュで全滅

「ゴキブリ ワンプッシュ」は、内容量20mlの薬剤が入った小さなスプレーボトル状の商品。ノズルは細長く、ゴキブリの隠れていそうな隙間を探してスプレーすれば、隙間に潜んでいるゴキブリをまとめて退治できるという。

このほど都内で行われた発表会では、フマキラー代表取締役社長の大下一明氏が登壇。「ゴキブリ ワンプッシュ」について、「今回発表する商品(「ゴキブリ ワンプッシュ」)は、かつて蚊取り器において初めてワンプッシュ式の商品を開発したフマキラーだからこそできた画期的な商品」と語った。

フマキラー代表取締役社長の大下一明氏(右から2番目)

従来型のゴキブリ駆除剤としては、大別してエアゾールの殺虫剤・毒餌(どくじ)剤・燻煙(くんえん)剤・捕獲器の4種類が挙げられるが、「ゴキブリ ワンプッシュ」は全く新しい"第5のゴキブリ駆除剤"だという。この商品の何が新しいのか、大きく2つのポイントに分けて説明していこう。

これが本体。大きさは、掴むとちょうど手のひらで隠れるくらいだ(写真は見本品)

隙間に隠れるゴキブリを先制攻撃

第1に、「隙間に潜むゴキブリを狙い撃ちできる」という点が挙げられる。

ゴキブリの多くは冷蔵庫や棚の裏、洗濯機の下などの隙間に潜んでおり、こうしたゴキブリを駆除できる商品としては燻煙剤が挙げられるが、薬剤の効果が部屋全体に及ぶため、下準備の手間がかかるのが難点だった。家中の火災報知機や食器にカバーをかける、ペットや観葉植物を避難させる……といった具合だ。

同商品であれば、ゴキブリが潜んでいそうな隙間にピンポイントで使用できるため、そうした手間は必要ない。エアゾールの殺虫剤でも同じような使い方はできなくもないが、「ゴキブリ ワンプッシュ」と比較して噴霧粒子が大きいため隙間の奥まで到達しにくく、油分の含有量も多いので壁や床がベタつくという欠点がある。

ちなみに、一般的な殺虫エアゾールの粒子は20マイクロメートル(1マイクロメートルは1cmの1万分の1)だが、同商品の粒子は5マイクロメートルと小さく、隙間の奥深くまで薬剤が到達するとのこと。

「ゴキブリ ワンプッシュ」の粒子は5マイクロメートル。細かい霧が隙間の奥深くまで到達する

また、エアゾール系の殺虫剤が「ゴキブリと遭遇してしまった後」に使用用途を限定しているのに対し、同商品は「遭遇前の先制攻撃」を前提に設計されているのも特徴だ。エアゾール系の殺虫剤を手に取るときは突然の出来事で冷静さを欠いている場合も多々あるが、「ゴキブリ ワンプッシュ」であればしっかりと心の準備を整えてから駆除に臨める。

見えるところに出てきてから死ぬ

第2のポイントは、「効き目がはっきりとわかる」という点だ。

「ゴキブリ ワンプッシュ」の有効成分は、燻煙剤によく使われている「d・d-t-シフェノトリン」。クロゴキブリ・チャバネゴキブリの両方によく効き、高い致死効果があるのが特徴だ。

この薬剤をピンポイントで隙間に噴霧することで、ゴキブリをまとめて退治できるというわけだが、薬剤の量はゴキブリが即死しない程度に調整されている。具体的には、50cm離れたゴキブリで2分、100cm離れたゴキブリで5分、200cm離れたゴキブリで6分程度で死に至らしめるという。

薬剤の量は調整されているが、致死性は高い

これによりゴキブリは、薬剤から逃れようと隙間から広いところに這(は)い出てから死ぬようになる。人間の見えるところで死ぬため、効き目がはっきりとわかるのだ。

これは、正直言ってメリットにもデメリットにもなり得るポイントだろう。確かに従来の毒餌剤は、使用しただけでは効果がわからないというデメリットがあった。「ゴキブリが出てきてから死ぬ」のはそれを補うメリットではあるが、死骸の後処理や精神衛生を考えると手放しには喜べない気持ちもある……。

ゴキブリの模型を使って再現した使用後のイメージ(画像クリックで元画像表示)

開発研究部 応用開発研究室 グループリーダーで同商品開発担当の佐々木智基氏にその率直な気持ちをぶつけてみると、「確かに、そういった点は否めません」とのことだった。しかしながら、「"噴霧すると出てきてから死ぬ"ということは、"出てこないのならその隙間にはいない"ということでもあります」と佐々木氏。確かに、自宅のゴキブリの生息状況が明らかになる、という点でも"効き目の可視化"は革新的と言えそうだ。

あえて身もふたもない言い方をするなら、隙間から出てこようがこまいが、家のどこかでゴキブリが死ぬことには変わりない。どうしても苦手な人は、虫に強い人の立ち会いのもとで使うのがいいだろう。

2週間おきの使用がオススメ

ゴキブリの活動が最盛期を迎える夏。このタイミングで毒餌剤や捕獲器を仕掛けるのでは少々心もとない。かといって、遭遇するたびに退治しているのでは精神がもたない。燻煙剤は手間がかかりすぎる……。そんな人にとっては、手軽で即効性があり、遭遇前に対処できる同商品はうってつけだろう。

ちなみに同商品は、2週間おきに使用するのがオススメだそうだ。というのも、ゴキブリの卵は「卵鞘(らんしょう)」と呼ばれる鞘(さや)状の殻に入っており、薬剤の効き目が薄い。この卵がふ化するまでに要する時間がおおよそ2週間なのだそう。

少々覚悟が必要だが、この夏こそゴキブリのいない家に! という人は手に取る価値があるのではないだろうか。店頭には8月中旬頃から順次並び始める予定とのこと。筆者も近々試してみる予定だ。怖いけれども。