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妊娠していると、体を冷やしすぎるのは良くないと聞きます。クーラーの冷気にどう対策したら良いのでしょうか。今回は、En女医会の産婦人科専門医・間瀬有里先生にお聞きしました。

冷やさないようにしたいけど……

ーーそもそも、冷えは妊婦さんに良くないものなのですよね

「冷えが病気につながる」、「妊娠を継続する上で危険」と時々言われたりしますが、科学的な根拠は実はありません。しかし多くの女性が、体が冷えると肩こりや腰痛、頭痛、便秘や下痢などの不具合を感じていることは事実です。こうした症状が現れると必然的に体はリラックスできず、不快な状態になります。その状態が妊娠や妊娠継続にはあまり良くないとは言えますね。

ーー体温が高い方が妊婦さんにとっても良いのでしょうか

そうですね、平熱が高いという状態は、免疫学的には良いことだとされています。体を潤滑に動かすためのさまざまな酵素を活性させてくれるとも言いますね。

暑いと感じたままでいるのも良くない……

ーーしかしお腹に赤ちゃんがいると、暑いと感じる妊婦さんが多いようです

お腹が大きくなるにつれ、赤ちゃんの体温をそのまま包んでいるため、お母さんは大変暑く感じるようです。また、妊娠中は体温の調節もあまりうまくいかないため、苦労する方も多いでしょう。

ーーそうすると、クーラーを使いたくなってしまいますね

使って問題ないです。妊婦だから冷やしてはいけない、だから絶対にクーラーは使ってはいけないということはありません。逆に、妊婦さんは室内でも熱中症になりやすいとも言われていますしね。なにより、妊婦さんが注意しなくてはいけないのは脱水です。暑いところに長時間いて、脱水症状を起こしてしまうのはとても危険なので、心地良い温度のところにいるようにしたいですね。

クーラーの使い方と水分摂取

ーークーラーの温度は何度くらいが良いでしょうか

28℃くらいに保ち、除湿を心がけたほうがいいでしょう。朝、夕の涼しい時にはできるだけ外気を入れて換気して、空気がこもらないようにしましょう。

また、クーラーからの冷気が直接体に当たると、指先や足先だけがひどく冷えて、不快に感じることもあると思います。部屋全体を冷やすようにし、クーラーを使うほどでもないなと思う日には、扇風機、サーキュレーターなどを利用して自然の風でしのぐのもいいでしょう。

ーーその他、注意点はありますか?

いつ冷えを感じるかわからないので、スカーフや軽いパーカー、カーディガンのようなものを常に持っているようにしましょう。そして大切なのが、常に水分をとれるようにしておくことです。暑いところと寒いところを出たり入ったりしなくてはならない時など、体温調節が難しい時こそ、体にちゃんと水分を与えてあげてください。

ーー水分のコントロールが必要なのですね

そうですね。妊婦さんは、寝ている時にも多めの寝汗をかくと言われているので、ベッドルームの温度管理と水分調節にも注意してください。

ーーありがとうございました!

■プロフィール
間瀬有里

2003年 日本医科大学卒業。産婦人科専門医、指導医。医学博士。大学病院助教を経て、現在、東京ミッドタウンクリニック勤務。長年の大学病院勤務経験を生かし、現在は健診業務から一般外来診療まで幅広く対応している。二児の母としても、日々奮闘中。