大切なのは「1つのコミュニティーだけに属さないこと」

小さな社会の中のできごとと頭ではわかっていても、感情では抜けられず、次第に追い詰められていくママカースト。A子さんや、A子さんと似たような状況に陥ってしまった人は、どのように対処したらよいのだろうか。

このような場合に杉山先生は、「実際に今いるコミュニティーに入っていても"入っていないもの"と思うようにし、コミュニティーは他にあると伝えます。今は、通信手段がたくさんあります。SNSなどあらゆる手段を使って、そこで別のママ友や趣味友などと密な関係性を作るのもいいでしょう」とアドバイスするのだそうだ。

それでも解消されない場合は、専門家へ相談するべきとのこと。「早い方がいいです。こんなことぐらいでとためらわなくても大丈夫」と杉山先生。相談相手や打開策が見いだせないまま、こじらせてしまうと、うつ状態や対人恐怖症にもなりかねないからだ。

もし今のママ友との関係性に疑問を感じたら「自分をリスペクトしてくれるかどうかがカギになる」という。「意識的に距離を取っても、ウマが合う人とは無意識に関係が続いていくものです。ママ友と関係を築く際には、尊重しあえる関係かどうか、確かめつつ距離を縮めていきましょう」と語った。

ママが不安定になると、それは子どもにとっても悪影響を及ぼす。ママ友と良好な関係を築くための心がけをぜひ実践してみてほしい。

杉山崇先生プロフィール

人を幸せにしたいという思いから心理学研究者の道に。神奈川大学人間科学部教授として教鞭をとる傍ら、臨床心理士の見地から心の悩みの相談を受ける。また、心理相談センター所長とし後進の育成に従事している。一級コンサルティング技能士の資格を持ち、社員のメンタルヘルス対策を考える企業の相談にも対応。著書に『読むだけで、人づきあいが上手くなる。』『グズほどなぜか忙しい!』他多数。近著『「どうせうまくいかない」が「なんだかうまくいきそう」に変わる本』。講演、TV出演等で心理学の可能性を広げている。