ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)といえば、モバイル向けゲーム配信「モバゲー」のブランドが非常に強力で、エンターテインメント系会社という印象が強い。しかし昨年あたりから同社はモビリティー事業へ参入するなど、従来のインターネット中心だった戦略を大きく変えようとしている。DeNAはこの先、どのような未来を描いているのだろうか。

PFNとAIの合弁会社PFDeNAを設立すると発表

DeNAは生粋のインターネット企業

DeNAは1999年に創業し、当初はインターネットオークションサイト(ビッダーズ、モバオク)やショッピングモールなどeコマースを、2006年からは携帯電話向けゲームサイト「モバゲータウン」(現モバゲー)の運営を主たる業務として、急速に成長してきた企業だ。プロ野球球団の買収(横浜DeNAベイスターズ)などの大きな買い物もしてはいるが、基本的にはインターネット上のサービスが中心であることには変わりがない。特に「モバゲー」は国内でGREEと並ぶ二大勢力として一時代を築いたこともあり、DeNAといえばモバゲーという印象も強いだろう。

しかし、一時期は飛ぶ鳥を落とす勢いだった携帯向けゲーム市場も、社会問題化した「ガチャ」への批判や、ヒット作に欠ければ一気に転落してしまう危険性を孕んだ不安定な市場であり、安定した経営のためには新たな事業の柱を探す必要があった。

そこで2015年からDeNAはこれまでと全く異なる事業展開として、自動運転車の開発を行うベンチャー企業のZMPと合弁で、無人タクシー事業の開業を目指す「ロボットタクシー」を設立。モビリティービジネスへと参入した。その後も仏イージーマイル社と提携して無人バス事業への参入や、九州大学およびNTTドコモと提携しての自動運転実験など、本腰を入れてこの市場の開拓を進めている。