スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「Android Pay」についてです。

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「Android Pay」は、GoogleがAndroidプラットフォームで推進するNFC決済サービスです。Android端末に内蔵のNFCチップを利用し、店頭に設置された端末にかざし近距離無線通信を行うことで決済は完了します。2015年9月の米国を皮切りに運用を開始、イギリスとシンガポール、7月にはオーストラリアでも利用可能になりました。

Android Payが対応するシステムはAndroid 4.4 KitKat以降、NFCを搭載した端末が必要です。クレジット/デビットカードのほかギフトカード、ストアカードにも対応しており、決済のみならずポイントカードとして使うことも可能です。決済はオフライン(端末)のほかオンラインにも対応しており、対応ショップのWebサイトにある「Buy with Android Pay」をタップすると開始できます。

近距離無線通信を利用することや使い方は、Apple Payやおサイフケータイとほぼ同じですが、「カード情報が端末内部に保管されない」ことはGoogle Pay独自のしくみです。カード情報はクラウド(Googleのサーバ)に保管され、決済で必要とされるときに通信を暗号化したうえでNFC経由で情報がやり取りされます。対するApple Payやおサイフケータイでは端末上でハードウェア的に保護され、専用の暗号キーを使わないかぎりはアクセスできません。

クラウド上にカード情報を保存するとなると、通信困難な場所では利用できないと考えがちですが、その心配はいりません。クラウドから送信されてきた情報は、端末に一時保管されるため、インターネットに接続できない場所でも支障なく使えます。データの有効期間は短いもののオンラインになるたび更新されるため、インターネットに接続できない状況が長期間続かなければオフラインで困ることはありません。

なお、決済そのものはカード会社が提供するNFC決済サービスを利用するため、カード会社の対応は不可欠です。日本でのサービス開始時期は2016年7月15日現在発表されていませんが、海外からの観光客が集まるエリアでNFC決済端末を見かけることもあるため、意外に早い時期に始まるかもしれません。

NFCによる近距離無線通信で決済を行う「Android Pay」