7月16日・17日、東京・ベルサール秋葉原でポタフェス2016 東京が開催。本稿では、オンキヨー&パイオニアイノベーションズブースに出品されていた未発表製品をレポートする。

完全無線イヤホン登場

ポタフェス2016で最大級の注目を集めていたのは、ハウジングに「ONKYO」のロゴが輝く耳栓型Bluetoothイヤホン「W800BT」。右ユニットが親機、左ユニットが子機という位置づけの完全ワイヤレス型で、Bluetooth信号はプレーヤー→右ユニット→左ユニットという経路で伝送される。きょう体には8.6mm径のダイナミックドライバーを1基搭載。きょう体は、完全ワイヤレスイヤホンの先駆け「EARIN」よりもやや大きいが、スタビライザーを耳にきちんとはめ込むと安定して装着できた。

W800BT

充電はUSBケーブルを装備した携帯用ケースで行う。イヤホン本体の連続再生時間は3時間だが、ケースの内蔵バッテリーは5回までのフル充電に対応。ケースには充電可能な回数を表す5つのインジケーターを装備している。ブース担当者は「ケースが大きいという指摘もあるんですがね……」とこぼしていたが、USBケーブルを標準装備している点と外出先でも5回までフル充電できる点を考慮すると、機能的なメリットのほうが勝るかも、という印象だ。

携帯用ケース。外周をぐるりと囲む赤い線は、標準装備された充電用USBケーブル

実際のサウンドは、Bluetooth接続を思わせないフラットなもの。価格や発売日は未定だが、年内のリリースを目指して調整しているという。そのほかの仕様は、Bluetoothのバージョンが4.1、対応コーデックがSBC、再生周波数帯域が6Hz~22kHz、インピーダンスが16Ω、出力音圧レベルが107dB。

人気モデル「E700M」の上位機種

未発表の耳かけイヤホン「E900M」も参考出品。2015年11月に発売された「E700M」の上位機種と位置づけられており、こちらも価格や発売日は未定となっている。

E900M。ケーブルは着脱式で、耳にかけて装着する

BAドライバー×2基と6mm径のダイナミックドライバー×1基を組み合わせたハイブリッド型・3ウェイ構成を採用。E700Mユーザーの「高域の伸びは優秀だが、中域と低域がもっと欲しい」という声を受け、サウンドを調整したという。

実際の音はかなりまとまりがよく、非常に聴きやすい。E700Mから強化された低域が全体の音をきちんと支えているので、あらゆるジャンルの曲を安定したクオリティで再現できるという印象だ。E700Mのびやかな高域を生かしつつ、中域・低域の底上げを図った本機は、上位機種をうたうにふさわしいといえる。ケーブルは着脱式で、端子はMMCX。そのほかの仕様は、再生周波数帯域が5Hz~40kHz、インピーダンスが16Ωとなっている。

桐製ヘッドホンがアップデート

桐製のヘッドホン

春のヘッドフォン祭 2016でレポートした桐製ヘッドホンが、改良を加えられてまた現れた。ハウジング内部に和楽器と同様の「綾杉彫り」「鱗彫り」「亀甲彫り」を施していること、CNF(セルロースナノファイバー)振動板を使用していることに変更はないが、新たに2点を調整したという。

ハウジング内部に、琴などにみられる「綾杉彫り」や、和太鼓に使われる「鱗彫り」「亀甲彫り」を施している

「セルロースナノファイバー」を使用した振動板は堅さと軽さを両立

ひとつ目は、ハウジング表面のコーティングに「セラックニス」を採用したこと。「ラック虫」と呼ばれる昆虫の分泌液から作られたもので、非常に薄く塗れて音を殺さない性質を持つという。二つ目は振動板のエッジを薄くしたこと。エッジを薄くし、振動板の動きの幅を広げることで、低域を出しやすい設計にしている。

CNF振動板のエッジが薄くなった

改めて試聴してみたが、やはり筆者にはギターが琴に、ドラムが和太鼓に聴こえてならない。先入観のせいも大いにあるだろうが、タンバリンが鈴っぽく聴こえることも新たに発見した。ただし、全体的な音の艶感は、4月に試聴したときよりも増している。低域が向上したせいか、安定感やしなやかさ、音源の厚みをきちんと表現できるようになっており、前のバージョンより格段に「製品」っぽくなっていた。こちらも価格や発売日は未定だが、2017年3月までのリリースを目指しているとのこと。期待して待ちたい。