2015年8月、手軽に食べられるワンプレート食「CalDELI(かるデリ)」を発売した大塚食品。「彩り4種の根菜カレー」と「野菜を感じるキーマカレー」の2種類を展開している。カレーらしからぬ200kcal以下の低カロリーで、味もお腹の満足感も高いと評判を集め、売上を堅調に伸ばしている。

「CalDELI(かるデリ)」。左が彩り4種の根菜カレー、右が野菜を感じるキーマカレー

売上は、“前身”である「ライス・フリー」(2014年4月、ローソンで先行発売)と比較すると、対前年比(1~5月)で倍増だという。そんなかるデリの商品開発やプロモーションについて、同社製品部で「かるデリ」を担当する鍬釣(くわつり)綾香さんに話を伺った。

大塚食品 製品部「かるデリ」を担当する鍬釣(くわつり)綾香さん

入社11年目となる鍬釣さんは、6年前に営業部から製品部へと異動。5年前から乳酸発酵野菜飲料「野菜の戦士」プロダクトマネージャーを務め、昨年3月からはレトルト製品のアシスタントも兼務。レトルト製品は4名で5ブランドを管轄し、商品開発から企画、マーケティング施策までを担う。そんななか、「かるデリ」の前身となる「ライス・フリー」を見直すきっかけは何だったのか。

「ごはんを入れていないためライス・フリーと名付けたのですが、お客さまからは『わかりづらい』というお声も多くいただいていました。発売後、半年~1年くらいの売れ行きを見たり、購入者に調査を行ったりしてわかったことです」(鍬釣さん)

「ライス・フリー」は「4種の根菜の欧風カレー」「野菜を味わう中華あんかけ」「根菜仕立ての麻婆春雨」など、複数商品を展開していた。それもあって、やはりライス・フリーという名称のままだと伝わりにくいと判断。根本から改良しようと動き始めたのが2015年1月頃だったという。

「ライス・フリー」

一般的に商品開発は、発売時期の1年~1年半前ころからスタートする。しかし、今回はベースとなる商品があるため、リニューアルにかけた期間は約半年と短い。カロリーの上限が100kcalと決まっている同社の「マイサイズ」シリーズとは異なり、カロリーに制限はないので、カロリーは低いほうがいいけれど、満足感を得られて、しかも美味しい……といった全体のバランスを考えて開発。とくに時間をかけたのはコンセプトの見直しだ。

「ライス・フリーのターゲット調査やPOS分析をしたところ、20~30代の若い女性が多く買っていることがわかりました。とくに働く忙しい女性をメインターゲットに据え、彼女たちが好むであろうパッケージやネーミングを考案し、低カロリーであることも強調する形で設計しました」(鍬釣さん)