【レポート】

ADI、IoT時代のエッジノードの開発容易化を実現するRFトランシーバを発表

1 第4世代RFトランシーバを開発

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Analog Devices(ADI)は6月22日、IoTなどに向けた低消費電力なRFトランシーバ「ADF7030-1」を発表した。このADF7030-1について同社から聞くことが出来たので、製品に詳細などについてご紹介したい(Photo01)。

Photo01:お話いただいたThomas Joyce氏(Connectivity Product Marketing Manager,Integrated Transceivers Group, IOT Platform Products&Technology Group)。家族は日本人ということで氏も東京のアナログ・デバイセズ内にお勤めだが、所属は本国だそうである

ADF7030-1は、同社のRFトランシーバとしては第4世代の製品にあたる。第3世代との違いは内部のプロセッサコアが8bit RISCプロセッサからCortex-M0に変わったことに見えるが、実際にはそれよりもPA/RX周りに大きな違いがあるとする。

同社のこのIoT向けRFトランシーバの特徴をまとめたのがこちらである(Photo03)。

Photo02:第3世代製品の場合、内部のプロセッサはアプリケーションエンジニアからは直接触れない(あくまでもパケット処理に特化した形でプログラミングされており、これを変更することは出来ない)。このあたりはADF7030-1でも事情は同じ様だ

Photo03:対象はSub GHz Bandなので、転送性能そのものはあまり重視されない。それよりも到達距離を伸ばすことが重要視される。当然、利用されるシーンは屋外などが多い

アプリケーションとしての評価は耐障害性・長距離到達性・省電力性の3つになる。耐障害性に関しては、信号干渉をどれだけ減らせるかに掛かっており、これを実現するためにさまざまなノイズキャンセルの技術や周波数追従性、温度/電圧への非依存性などを高めるという形で実装されている。長距離到達性はもちろんアンテナへの工夫などもあるのだが、それはアプリケーション側の対応の話となるので、ADI側としては受信感度や送信パワーの向上、あるいはマッチング回路などを工夫するということでの対応となる。ただここで受信感度を上げる、あるいは送信出力を上げるというのはそのまま消費電力増加につながるため、省電力性と反することになる。このあたりはもちろんアプリケーションの要件次第(たとえば毎秒1回の通信が必要だと、省電力性の工夫にも限界がある)ではあるが、トランシーバの効率を上げると共に、待機時の消費電力を極力抑える事と、復帰時に最小の時間で通信を始められるようにする工夫がなされている。

実際にADF7030-1で実装されたスペックはこちら(Photo04)である。

Photo04:もちろん日本の技適も取得済との事。Sigfoxは日本ではあまり馴染みが無いが、フランスの企業で、同社の提供するLow-Energy Wireless CommunicationはIoT向けとして海外では広く使われ始めている

受信感度は、2.4Kbpsで-124.5dBmと高い。隣接チャネル干渉排除(ACR:Adjacent Channel Rejection)も70dBと優秀である。送信も-20dBmから+17dbmまで0.1dB単位で出力を調整できるほか、位相ノイズも-143dBc/Hzとかなり低く抑えられている。これと省電力性を両立すべく、Sleep(事実上のSuspend)状態での消費電流は5nA(メモリ保持)ないし1nA未満(公式発表では800pA:メモリ非保持)とされる。ここで言うメモリは、ADF7030-1内部に格納されたSRAMである。前世代と同じくADF7030-1内のCortex-M0コアはパケット処理などを行う専用という形になるが、この処理中のパケットをメモリに保持した状態でSuspendするか、破棄するかが両者の違いだ。

では実際のアプリケーションではどうか? ということで示されたのがこちら(Photo05)となる。

Photo05:これはボストンでの礼。左のケースでは、Boston Convention and Exhhibition Centerの駐車場あたりに基地局を置いたケースのようだ。ここからBoston University Bridgeまでが直線距離で2マイル、河口のクレーンあたりまでが直線距離で1.5マイルとなっており、概ね半径2マイル弱の円といったところか

右は従来のトランシーバ、左がADF703xを利用した場合である。ADF703xでは、1つの基地局で半径2マイル弱のカバーレンジがある(エッジノード側にADF703xを用いた場合、2.5マイル近い距離があっても1.2Kbpsで通信が可能)なのに対し、従来のトランシーバでは同じカバーレンジを実現するためには基地局が5つ必要になる、というデータが示されている。つまりエッジノード側にADF7030-1を採用すると、基地局1箇所でボストン中心部が大体カバーできる、という話である。これはスマートシティなどに利用されるインフラを構築するには都合の良い話である。

もう少々内部の話をすると、通常こうした特性は、特定の周波数のみで実現するのであれば難しくないが、ADF7030-1のように160MHz~960MHzまでをカバーする製品ではかなり困難を伴う。これを解決するために、内部ではLow Band(169.4MHzと426~470MHz)とHigh Band(863MHz~960MHz)の2種類の回路を設け、周波数にあわせて利用するという構成を取ったとする(Photo06)。先にSRAMの内容を保持しないと消費電力が800pAという話を書いたが、その根拠はこの表(Deep SleepとDeep Sleep w/Retention)である。

Photo06:これは今年のISSCCでADIが発表した"A 160-to-960MHz ETSI Class-1-Compliant IoE Transceiver with 100dB Blocker Rejection, 70dB ACR and 800pA Standby Current"という論文からの抜粋。右下の表でグレーアウトされているのは他社製品とのこと

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目次
(1) 第4世代RFトランシーバを開発
(2) 開発容易化を実現するプラットフォームも開発
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