日本オラクル 執行役員 クラウド・システム事業統括 山本恭典氏

日本オラクルは7月5日、2017年度のハードウェア事業に関する戦略説明会を開催した。ハードウェア事業を統括する執行役員 クラウド・システム事業統括の山本恭典氏が説明を行った。

山本氏は、杉原社長が6月30日に日本オラクル全体の戦略を説明した際、2017年度の最重点施策の1つとして「システム事業の拡大」を挙げたことを引き合いに出し、2017年度も引き続き、同社においてハードウェア事業が重要であると述べた。

加えて、ハードウェア事業の平成28年度第4四半期の売上はサン買収以来最高の74億円、対前年比47.6%を達成していることを明らかにし、同社がクラウド事業を前面に押し出している中、ハードウェア事業も好調であることをアピールした。

日本オラクルのハードウェア事業の売上推移

昨年度にハードウェア事業が好調だった要因としては、「Oracle Exadataとバックアップソリューションの拡大」「Oracle Exadata以外のエンジニアド・システムの売上ポートフォリオの拡大」「フラッシュ・ディスク・テープなど、ILMソリューションの拡充」「メインフレーム向けテープの躍進」があるという。

同社のメインフレーム向けテープはIBMと富士通の両方のメインフレームで利用可能だが、山本氏は「正直、メインフレーム向けテープの需要には驚いた」と話した。

山本氏は「クラウドが中心の時代ながら、まだまだハードウェアビジネスには大きなチャンスがある」とし、今後、狙っていく市場について説明した。

山本氏が「第一に狙っていきたい」と話したのが「データベース市場に対するOracle Exadataの訴求」だ。「マイクロソフトのSQL Serverやオープンソースのデータベースの拡大により、Oracle Databaseのシェアは減ると言われてきたが、実際には増えている」と同氏。

加えて、メインフレーム市場、SPARCの既存顧客、ERP/PLM市場、Data Guardの顧客、ExdataとBI Enterprise Editionを組み合わせて使っている顧客をターゲットとして、ビジネスを展開していく。

「IBMと富士通の両方に対応しているメインフレーム向けテープ製品を出しているのはわれわれだけ。さらに、今後はオープンな環境にも接続できる予定であり、これにより、Hadoopなどとも接続可能になり、用途が広がる。また、ERPは他社製品からの更新が増えている」

一方、2017年度の国内におけるハードウェア事業に関する戦略の下、具体的には「専門組織の立ち上げ」「エンタープライズ・クラウドの推進」「パートナー・エコシステムの強化」が進められる。

今回、狙う市場に分けて「Engineered Systems事業営業本部」「Server営業本部」「ODA営業本部」「Backup&Recovery営業本部」「Tape営業本部」が設けられたが、これまではサーバとストレージのチームしかなかったという。

サン・マイクロシステムズに籍を置いていたこともある山本氏は、「Server営業本部は、SPARC/Soralis、x86 Solarisを搭載するサーバを対象としたチームだが、サンにもSPARC専門のチームはなかった」と語った。

ハードウェア事業における5つの専門組織

また、パートナーとの協業について、山本氏は「オラクルはシステムインテグレーションはやらない、また、日本企業はハードウェアの販売からサポートまでワンストップで提供してほしいというニーズが強いという背景から、パートナーとのエコシステムを強化する必要がある」とした。

Exadataをリリースした当初は、ハードウェア関連のパートナーからは反発を受けたが、Exadataを利用することで、システム・インテグレーションのリスクを下げることができるため、パートナーがExadataを販売する理由ができたという。

同社は2015年に「POCO(The Power of Cloud by Oracle)オラクルのクラウドでビジネスにチカラを」という戦略を掲げて以来、クラウド事業を強力に推進しており、ハードウェア事業は影が薄かった。山本氏によると、SPARCの根強いファンもいるそうなので、数少ないハードウェアを製造するベンダーとして、今後の躍進を期待したい。