これまでは、住宅購入にあたって「頭金を貯めてからローンを組んだ方がいい」というのが通説でした。しかし超低金利が進んでいる今、ローンの種類やその時期によっては、すぐにローンを組んだ方がお得な場合もあるのです。教育費や老後資金の心配もふくらむ子育て世帯だからこそ、チェックしたい賢い住宅購入方法についてご紹介します。

「超低金利」と「住宅ローン減税」

現在、日銀の金融緩和政策を受けて、日本では超低金利が続いています。メガバンクの普通預金の利率は0.001%まで下がりました。銀行にお金を預けても全然お金が増えない状態です。一方でお金を借りる「住宅ローン」の面から考えると、現在の超低金利は私たちにとってプラスです。マイナス金利導入の発表もあり、住宅ローンは「史上最低水準の低金利」を更新しています。

さらに、住宅購入を検討している家庭にとって追い風となるのが「住宅ローン減税」です。住宅ローンの年末残高1%(上限40万円)×10年分、最大400万円が減税となる制度で、特定の認定優良住宅の場合は最大500万円の減税が可能。2019年6月居住開始分まで利用することができます。

計算上は"利息がつく"仕組み

この2つの制度を組み合わせて考えてみましょう。例えば以下のケースです。

・10年固定金利0.7%
・1,000万円のローン
・毎年100万円を10年にわたって返済する

0.3%の利息でお金を預けているのと同じ計算になる

1年目については、利息として「7万円」(1,000万円×0.7%)を支払いますが、住宅ローン減税分の「10万円」(1,000万円×1%)が返ってくるので、差額は「プラス3万円」となります。また2年目についても900万円の残高に対して利息は「6万3,000円」ですが、住宅ローン減税分として「9万円」が戻ってくるので差額は「プラス2万7,000円」。

お分かりになったでしょうか、結果として0.3%の利息でお金を預けているのと同じ計算になるのです(実際は、借り入れ時期や条件で利息は細かく変動します)。

低金利で優遇措置のある今だからこそ、利息がほとんどつかない銀行預金でコツコツ資金を貯めるより、早めに住宅ローンをスタートさせた方が効率的という見方もできます。とはいえ、ローンの種類や借り入れ時期によって条件は異なるので、住宅購入を検討されている方は、ぜひ一度、返済計画を考えてみてくださいね。

著者プロフィール

マイライフエフピー代表 加藤葉子
子育て真っ最中のファイナンシャルプランナー。子どもを授かったことをきっかけに、教育費や学資保険の仕組みなどに興味を持ち、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。現在は、全国の女性からの教育費・老後資金・起業・離婚・投資なのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として活動しながら、ファイナンシャルプランナーの育成にも力を入れている。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」でもお金にまつわるお役立ち情報を提供している。