ノイズキャンセリングヘッドホンの代表格と言える、ボーズのQuietComfort。そのワイヤレス化を望む声は多かったが、他社が次々とBluetooth対応のノイズキャンセリングヘッドホンを発売する中、ボーズはずっと静観の構えを見せていたように思えた。しかし6月24日、初のワイヤレス+ノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort 35 wireless headphones」(QC35)がついに発売。さっそくその実力をチェックしてみたいと思う。

QuietComfort 35 wireless headphones。実勢価格は税込39,960円で、カラーはブラック、シルバーの2色。写真はシルバー

ノイズキャンセリングは従来モデル同様、周囲の騒音をマイクで集め、それとは逆位相の信号を発することで騒音を消去するアクティブノイズキャンセリングに加え、ハウジングの密閉性を高めることで周囲の騒音を軽減するパッシブノイズキャンセリングも採用。相乗効果で高い性能を実現している。

Bluetooth機能はNFCに対応し、スマートフォンなどとワンタッチでペアリングが可能。iOSデバイスやAndroidデバイス向けの接続用アプリ「Bose Connect」も用意されている。対応コーデックなどの詳細は公開されていないが、ボーズ説明会でのコメントによるとapt-Xには対応していないようだ。

右ハウジングにスライド式の電源ボタンがあり、電源をオンにするとBluetooth機能とノイズキャンセリング機能が有効となる

ノイズに対して逆位相の信号を生成、信号を重ね合わせることによって能動的にノイズを減衰させるアクティブノイズキャンセル方式を採用。ハウジングに外部の音を拾うマイクが装備されている

ワイヤレス対応機だけに、接続の安定性が気になるところ。今回は、プレーヤーにiPhone 6を使って試してみた。屋内では、iPhone 6を置いた部屋から2部屋離れた場所(鉄筋コンクリートのマンション内、壁はモルタル、直線距離10m前後)まで何度か往復してみたが、接続は安定していた。屋外でも、iPhone 6をショルダーバックに入れ、音楽を再生しながら、山手線を東京駅から上野駅まで乗車、さらに人の多い上野のアメヤ横丁あたりを歩いてみたが、音が途切れることは一度もなかった。ワイヤレス接続の安定性に不安はないとみてよいだろう。

iPhone 6のBluetooth設定画面。接続できるデバイスとして表示された「Bose QuietComfort 35」をタップすると接続を開始する

ボーズが無償提供する接続用アプリ「Bose Connect」。iOS用・Android用がそれぞれ用意されている

ノイズキャンセリング機能に関してはさすがの一言。一番その効果を実感したのが、地下鉄のホームで何気なく電源をOFFにした瞬間、地下鉄の走行音で耳がつんざかれるように感じた時だ。つまりそれほどまでに周囲の音が減衰されていたということで、前々からボーズのノイズキャンセリングの優秀さは心得ていたはずだが、あらためてその性能の高さに驚かされた。ちなみに、地下鉄の車内では、音楽をかけていると周囲の話し声がまったく気にならなくなる。車内アナウンスも聞き取ることができない。

BGMが流れる喫茶店などでも、音楽をかければ、それほどボリュームを上げずともBGMが全く気にならなくなる上、周囲の話し声も聞こえ無くなる。場所を問わず、耳に負担をかけずに音楽に没頭したい人にはまさに最適な1台と言ってよいと思う。