手元にお金がなくてもお買い物ができ、利用金額に応じてポイントやマイル等が貯められるなど、使い方次第では便利でおトクなクレジットカード。

でも、支払いを先送りしている意識をきちんと持って計画的に使わないと、知らず知らずのうちに大きな損をすることにもなりかねません。あとで痛い目にあわないためにも、クレジットカードの支払い方の注意ポイントをチェックしておきましょう。

クレジットカードで損してしまう払い方

2回払いまでは手数料なし、ボーナス払いも!

クレジットカードはご存知のように、毎月締め日があってそれまで1カ月に使った金額を翌月の指定日に一括して銀行口座から引き落とされる仕組みです。

基本は翌月1回払いですが、支払い方法が選べるケースでは、2回払い、ボーナス一括払い、リボ払い、分割払いなどの中から選択ができます。翌月1回払いの場合には、特に金利手数料はかからないことはよく知られていますが、実は分割しても2回払いまで手数料はかかりません。

また、ボーナス一括払いも同様に金利手数料はかからないので、翌月1回で払えない状況のときには、2回払いまたはボーナス一括払いを選択するといいでしょう。

ボーナス一括払いの支払い時期はカード会社によって違いますが、だいたい夏のボーナス払いが7~8月、冬のボーナス払いは12~1月ごろです。上手に利用すれば、使う時期により最長で8カ月程度支払期間を延ばすことが可能。もちろんこの間の金利手数料がかからないので、計画的な利用をすればメリットが大きくなります。

分割払いとリボ払いの違いとは?

一方、支払い方法で注意しなければいけないのが分割払いやリボ払い。これらの支払い方法を選ぶとポイントの還元率が高くなったりと一見おトクに見えますが、安易に利用するとどんどんお金を失うことになってしまうので要注意です。

分割払いとリボ払い、どちらも支払い回数を分けて1回の負担を軽くする方法ですが、分割払いが支払い回数を決めて支払う方法であるのに対し、リボ払いは1回あたりの支払額を決めて支払います。

分割払いはいつまでに支払いが終わるかというのがはっきりしていますが、リボ払いは限度額以内であれば繰り返し利用することができるので、永遠に終わらない借金のループにはまってしまう可能性が高くなります。最初は「ちょっと今月は使いすぎたから、リボ払いにしよう」と気軽に始めたものの、使っているうちにだんだんリボ払いの残高が増えていってしまうというのがお金に無頓着な人にありがちなパターンです。

リボ払いは月々1万円など、少しずつ支払うので、負担感は軽くなりますが、支払額の中に金利手数料が含まれているので、リボ残高によっては1万円支払っても実際の返済に回されるお金はかなり少なくなってしまいます。例えばリボ残高が10万円で金利手数料が12%、毎月支払額1万円だった場合、1万円のうち1,000円が金利手数料となるので、1万円払っても9,000円しか残高が減らないことになります。

もし、どうしても1回払いでは厳しいという状況なら、リボ払いではなく、分割払いでなるべく短期間で払い終えるようにするのが損をしない方法です。

さらに、計画的に払える自信があるなら、ボーナス一括払いにして、支払い月まで毎月お金を取っておく方法もあります。これなら金利手数料がかからないので、支払い月まで半年程度あるなら、有効な方法です。

振り回されないためにも1回で払い終えるのが基本

ただ、分割を繰り返すと家計の収支状況が把握できなくなり、貯蓄力が下がってしまいます。見た目はお金を貯めていても、一方で高い金利手数料を払っていたら、せっかくの貯蓄が目減りしているのと同じです。

カードに振り回されるのではなく、賢く使いこなすためにも、翌月に払い終える分だけ利用するのが基本です。

使いすぎた結果、返済ができなくなれば、ブラックリストに載ることになり、将来住宅ローンが組めない、新たなクレジットカードが作れないということにもなりかねません。使いすぎを防ぐ意味でも、安易なリボ払い、長期分割払いは避けるように買い物プランを立てましょう。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。