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女性は妊娠したいなと思ったら、基礎体温を測ったり、毎日の食事に気をくばったりしますが、妊娠は女性だけの問題ではありません。男性のほうにも、妊娠させやすくなるために普段の生活のなかでできることがあるのではないでしょうか。

今回はEn女医会の産婦人科専門医・船曳美也子先生におうかがいしました。

精子に悪影響を及ぼすかもしれない生活習慣とは

ーー妊娠に関して、男性の側でできることとして何が挙げられますでしょうか? セックスレスや勃起不全など、男性をとりまく問題も注目されてきていますが……

まず、男性は非常にデリケートで、体の健康だけでなく、精神面の影響も強く出るということを知っておく必要があります。食生活や睡眠時間の乱れ、運動不足が不健康な精子を作り出してしまいますし、仕事上のストレスや人間関係の不和なども関係してきます。

ーー精子に悪影響を及ぼすかもしれない生活習慣について、具体的に教えてください
喫煙や、肥満、寝不足、過度のアルコール摂取ですね。他に、「温度」も、精子に悪影響を及ぼす可能性が高いと言われています。例えば、ブリーフやボクサーパンツの着用で蒸れた状態を作ってしまうのはあまりよくないですね。ひざの上にラップトップをのせて長時間仕事やゲームをする習慣がある、極度に熱いお風呂が大好き、などなど……。つまり精巣を温めすぎるのはよくない習慣と言えるでしょう。

なるべく薬をとらなくて済む生活を

ーー薬の影響などは?
もちろんあります。高血圧や糖尿病の薬、血管を拡張させるような育毛剤の使用にも危険性はありますね。逆に、ビタミンCやEを積極的にとるのはオススメできます。緑黄色野菜や果物を食べるのも良いですね。

ーーなるべく薬をとらなくて済む生活をすることが大切ですね
その通りです。まず、薬を常用しなければならないような習慣を改めることが大切です。体の健康は即、精子の健康にも直結しますし、そもそも健康な体や精神でいないと、夫婦生活のことにまでエネルギーがまわらないかもしれませんしね。

男性のいたわりの気持ちが大切

ーー夫婦生活において、男性の方で注意すべきことはありますか?
まず、女性の体のサイクルに関わる部分ですが、妊娠のチャンスは排卵日を含め、6日間と言われています。この間に、なるべく多くタイミングを持つ必要があります。かつてはあまり多く性交渉を持たない方がいいとされていた時期もありましたが、最近では、数は減ってもどんどん新鮮な精子を出した方がいいと言われています。

ーー性交渉のタイミングで男性が気をつけたいことは?
スキンシップやマッサージ、キスや抱擁といった接触により、女性の脳は「オキストシン」というホルモンを分泌します。別名「幸せホルモン」「愛情ホルモン」とも呼ばれています。このホルモンが出ると、卵管がうまく卵子をとりこみ、精子と卵子が出会いやすくなると言われています。

ーー性交渉のときの男性のいたわりの気持ちが、妊娠につながるということでしょうか?
そう言えますね。女性をリラックスさせて、幸せな気分にひたらせてあげることが、卵子と精子の出会いを助けます。

ーー男性にも、できることがたくさんあるようですね。ありがとうございました!

■プロフィール
船曳美也子

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。En女医会にも所属している。