TOKYO MXほかにて、2016年4月~6月に放送されたTVアニメ『ばくおん!!』。女子高生×バイクというありそうでなかった世界観や、実在のバイクメーカー・バイク販売店が登場することで話題となった。現在、Blu-ray/DVD第1巻が発売中だ。

上田麗奈(うえだれいな)1994年1月17日生まれ。81プロデュース所属。主な出演は『ばくおん!!』佐倉羽音役、『プリパラ』ジュルル、ジュリィ、黄木あじみ役、『アイドルマスター ミリオンライブ!』高坂海美役など(左)
山口立花子(やまぐちりかこ)。1988年3月30日生まれ。JTBエンタテインメント所属。主な出演は『ばくおん!!』三ノ輪聖役、『にゅるにゅる!!KAKUSENくん』山口役、『アイドルマスター ミリオンライブ!』百瀬莉緒役など(右)

今回は『ばくおん!!』Blu-ray/DVD第1巻発売を記念し、佐倉羽音役の上田麗奈、三ノ輪聖役の山口立花子にインタビューを実施。『ばくおん!!』のアフレコ収録を終えたいまの想いについて、WEBラジオ「ばくおん!!RADIO 麗奈と立花子の放課後フルスロットル!!」収録直後の二人にうかがった。

「天然」二人が出会う

佐倉羽音

――ラジオの収録お疲れさまでした。ラジオでは息ピッタリのトークを繰り広げていらっしゃいますが、お二人の付き合いは長いのでしょうか?

山口 初めて挨拶したのは、一昨年の『アイドルマスター ミリオンライブ!』の2ndライブの練習のときだったかな? ほぼ初対面で「ゆいトン(渡部優衣)から聞いていますー。天然さんなんですか?」って言われたのをよく覚えてます(笑)。

上田 そうそう! ゆいトンと『プリパラ』で共演したとき、ずっとリカ姉さんの話をしてて。そこで「天然だ」というエピソードを聞いていたんですよ。

――ほぼ初対面でその挨拶とは……、なかなか強烈な出会いですね。

山口 お互い初対面だったのでよそよそしくて……。「天然ではないです」と上辺の受け答えしたのも覚えています。でも、私も「うえしゃまは天然」って聞いてたんだよ! 反面、しっかりしているとも聞いてて……。いっぱい話すようになるまでは一体、どんな子なんだろうって思ってた(笑)。だから『ばくおん!!』でラジオの相方になるって聞いたときはすごく嬉しかった!

上田 本当ですか!?

三ノ輪聖

山口 うん。実際相方になって、「天然でしっかりしてる」っていうのがどういうことかもよくわかった。

上田 えっ? どういうことですか?

山口 普段の言動や行動はたしかに天然だけど、お芝居になると「シャキ!」ってなる。『ばくおん!!』のラジオでも文章をナレーション風に読むところはイントネーションに気をつけたり、細かいところまで確認を入れたりして。お仕事に対する姿勢がしっかりしているんだなぁって関心しちゃう。

上田 (パチパチパチパチと拍手しながら)いいこと言う!

山口 何それ(笑)。だから深くかかわるようになったいまでも、聞いていたイメージ通りだと思っているよ。

アーティスティックな上田といい人・山口

――上田さんは非常に真面目でしっかりされた方なのですね。

上田 根が真面目で気にしいなんです。それでいてすごく不器用。忘れそうなことは何回もやらないと覚えられないんです。ダンスも歌も、最初はお芝居だって泣かされに泣かされて……。「やめろー」、「出ていけー」って具合にコテンパンにされていました。「自分の性格を変えたい」という理由から、自ら演じる世界に入ったし、演じることは昔から好きだったので続けてこられましたけど。

――意外です。別の作品ではモブキャラなどもたくさん務めていらっしゃるので器用な方なのだと思っていました。

上田 全然です。覚えも悪いし、切り替えも苦手なので。だから、役作りをするうえでも、原作を読むのか、読まずにアニメならではの表現を徹底するのかどちらかにいつも絞っているんです。『ばくおん!!』もそうでした。原作は、表情確認など補助的な部分で参考にさせてもらい、役作りにおいては極力読まないようにしました。それくらい集中して、とにかく自主練しないとダメなんですよ。

――なんだか、集中しすぎてしまうところが羽音とそっくりですね。

上田 いきすぎちゃうところが似ていますね。羽音はアニメ第6話「じゅんび!!」で文化祭前にウインカーをつけすぎていましたが、私もお芝居やナレーションしているとき、立てすぎ(伝えたい言葉を強調するという意味)ちゃうんです。お芝居だけじゃなくって、絵なんかも際限なく描いちゃう。そこが羽音と似ています。

――羽音は集中しすぎて周りが見えなくなってしまうという描写がたくさんありましたね。そのほかにも似ているなと感じる部分はありますか?

上田 深く考えるよりもフィーリングで行動したほうが楽だという性格は、羽音と通じるところがあるかなと思っています。人の話を聞かないところも似ている(笑)。あとは、誰かへの優しさとか、愛とかそういう綺麗なもので動いているわけじゃないところは一緒かなと思っています。

――綺麗なもので動いていない?

上田 羽音って別に誰かのために何かをするってことを考えて動いてないんですよね。バイ太を助けたりとか、(中野)千雨ちゃんをバイク部に引き込んだりしていましたが、それは結果的にそうなっただけなんです。考え方は似ていても私はそういうことはできないので、羽音はすごいと思います。

山口 頑張って人を惹きつけているって感じじゃないよね。

上田 そうなんですよ。カリスマ的なものを持っているというか、アーティスト寄りというか。

――アーティスティックな部分なども含め、上田さんは羽音と似ている部分が本当に多そうですね。山口さんは聖と似ているなと思う部分はありますか?

山口 ありますねー。私は今までお芝居したことがない、自分のなかにないなと思うキャラクターはかなり分析するタイプなんです。滑舌や呼吸の深さまで。反対に、自分と似ているキャラクターは、感覚的に演じることが結構あります。聖もそうでした。品のよさは忘れないようお芝居しているのですが、気を付けているのはそれくらい。聖のぶっ飛んでいる部分とか、わかるんですよね。

上田 似ていますよねー。

山口 えっ? どこどこどこ!? いや、自分で言うのはいいんだけどさ、他の人から言われると「どこが!?」って聞きたくなっちゃう(笑)。

上田 えぇえと!? ……全部、かな。ポジショニングや人を疑わない、悪い人はいないって潜在的に思っている部分とか。それくらい、危機感がないように感じるんです。

山口 もしかして、うえしゃまはいつも私のことを心配してくれている?

上田 心配になるんですよ! いい人すぎて。本当に人を疑わないというか。聖に似て、「大丈夫。みんないい人ばかりだから」って、いろいろと前向きにとらえてくれますし。

山口 確かに人を疑うことはあまりないかも。イラつくことや怒ることがそんなになくって。あまり嫌いだと思う人もいないんだよね。

――上田さんから心配されるほどにいい人なんですね。なんだかいい人だからこそ聖みたいに、「悪」に憧れていそうな感じもします。

山口 「悪」へのあこがれは確かにあります。悪ぶりたいもん(笑)。お芝居でもそういう役を演じるのが大好きなんですよ。前に「んだこらぁ」ってセリフを言う役をいただいたことがあるんですけど、すごく楽しかった。

――聖もたまにそういう悪ぶった言葉を使うときがありましたよね。

山口 ありましたね、「犬畜生」とか。そういうセリフを言う機会はそんなにないので、すごく楽しかったですね。

「バイ太は私のなかで特別なんです」

――お二人がそれぞれ演じているキャラクターに似ていらっしゃることがよくわかりました。ほかに『ばくおん!!』で気になるキャラクターはいますか?

山口 来夢先輩……。好きですね。恥ずかしがったりとか、もじもじしたりとかジェスチャーがかわいい。『ばくおん!!』には欠かせない存在ですよね。

――セリフもないし、ヘルメットで表情も見えないのに、なぜか表情豊かに感じる、魅力的なキャラクターですよね。

山口 実はアフレコの台本にも、「……」といった形で来夢先輩のセリフはちゃんと書かれているんですよ。そういう風に書かれていると本当に存在しているんだなって色濃く感じます。実際に声を当てている方がいなくても、マイク前に来夢先輩が立ってしゃべっているんだと感じています。

来夢先輩

――来夢先輩はCMやイベントへの出演など目まぐるしく活躍されています。

山口 グラビアや撮影会もやっていました。来夢先輩を見ているとどこまでいけるのかなってワクワクしちゃいますね。

上田 今度は実際にレースに出てほしいな。

山口 出てほしい! いけそうだよね。CMでバイクにも乗っていましたし。関係者の皆様、よろしくお願いします(笑)。

――来夢先輩なら本当に実現しそうだと思えてしまいます。上田さんはどうですか? お気に入りのキャラクターは?

上田 ついつい目で追ったり、言葉を聞き入っちゃうのは、バイ太なんですよね。いまではもう、「バイ太は私のもの!」って独占欲が生まれています。なんか、バイ太役の(井上)喜久子さんに隣に座ってもらうとめちゃくちゃ安心するんですよね。元々包容力がある方ですが、バイ太として出会ってなかったらここまで感じてなかったかも。別の現場で喜久子さんにお会いしても「バイ太だ!」って思っちゃうかもしれないです。それくらい思い入れがありますね、自分でも不思議に思うくらい。