ソフトバンクは22日、都内で第36回定時株主総会を開催した。ニケシュ・アローラ氏の退任が決定したほか、孫正義代表が人工知能について熱く語る場面もあるなど、盛りだくさんな内容となり、質疑応答では、今年も株主から多数の質問が寄せられた。本稿では孫正義代表と株主のやりとりを紹介していく。

ソフトバンクグループは22日、第36回定時株主総会を開催。会場の様子は別室のモニターを通じて記者団に公開された

大ボラの実現に向けて

高知県の土佐から来たという株主は、ソフトバンクグループの時価総額について尋ねた。これに対して孫代表は「金額の大小で事業の価値は測れないが、ひとつの明確な目標にはなる。ソフトバンクでは新30年ビジョンの発表時に『大ボラですが』と前置きをした上で『今後30年以内に時価総額を200兆円にしたい』とコメントさせていただいた。まだ達成できていない」と回答。ちなみにアップルやGoogleでさえ、今日現在で時価総額は50兆円前後だという。

第36回定時株主総会で、株主たちの質問に回答する孫正義代表

しかし、孫代表は目標を変えるつもりはないようだ。「かつて4年連続で1,000億円の赤字を出したとき、利益を1兆円、2兆円と数える企業にしたいとホラを吹いた。それが今年は、営業利益で1兆円を超えるところまで来ている。あのとき言ったホラが実現する」と説明。今後30年以内に時価総額200兆円、の実現に向けても引き続き尽力していくと誓った。

シャープに恩義はないのか!

女性の株主からは「ソフトバンクの会社がいま存在するのは、シャープさんのおかげではないか。孫社長はシャープに恩があったのではないか。ソフトバンクがしてやれることはなかったのか」といった質問があがった。これに対し、孫代表は「おっしゃる通り。19歳のとき、私は発明した電子辞書の特許をシャープさんに持ち込み、お金をいただいた。そのお金を創業の最初の礎にした。大きな恩を感じている。ただ、シャープさんはハードウェアの開発を事業の中心に据える会社で、ソフトバンクの本業からは遠い」とコメント。

そのうえで「フォックスコン(鴻海精密鉱業のブランド名)のテリー・ゴウは親友。シャープを買いたいと、私のところにも相談があった。そこで日本の銀行のトップを紹介するなど、橋渡しの役を買って出た。鴻海のグループ傘下に入ったことで、シャープさんにもメリットがある。間接的ではあるが、ご支援できて良かった、と個人的に思っている」と訴えた。

江戸城を再建して!

ある株主からは「東京都に観光の目玉がない。そこで江戸城、サッカークラブ、サッカー専用スタジアムをつくってほしい」という少々突飛な要望があがった。孫代表は、「貴重な意見だとは思うが、ソフトバンクの掲げる情報革命で人々を幸せにしたい、という領域とズレているかもしれない。もっとも、我々はソフトバンクホークスという野球の球団を持っているので、必ずしもノーとは言えないけれど」と苦笑い。多くのユーザーにエンターテイメントの情報コンテンツを届ける、その一環として「やるかもしれない」と明言を避けた。