KDDIは6月22日、都内で第32期定時株主総会を開催した。質疑応答では株主からの率直、あるいは奇抜な質問が寄せられた。本稿では田中孝司社長を始めとする経営陣とのやり取りをレポートする。

KDDIは22日、第32期定時株主総会を開催。会場の様子は別室のモニターを通じて記者団に公開された

アウトドアブームも考慮して!

登山が趣味だというある若い男性株主は、奥多摩にある東京都最高峰の雲取山山頂ではauの電波が届かないのに、ドコモならつながると嘆き、登山ブームも考慮して、CMに多額の資金を投入するよりも、インフラ整備に使ってほしいと要望した。男性によると、まわりにクマやキツネしかいないような知床半島・羅臼岳では電波が届いたが、それよりもっと人が多い奥多摩の方がニーズがあるはずで、きちんと需要を汲んだネットワーク設計をしてほしいとのこと。

これに対してはKDDIの内田取締役が、「ネットワークに足りないところがあることは把握しており、現在拡充を加速している最中。日本の百名山を含め、個々のエリア状況を見て、精力的にやっていく」と回答した。

取締役執行役員専務で技術統括本部長の内田義昭氏

電波が入らん!

大阪から来たという年配の女性株主は、マンションの23階に住んでいるが、auの携帯は家の中に入ると電波が届かなくなってしまい、いちいち固定電話に掛け替えてもらっている。ドコモの友人は問題なく入っているのに、と苦情を述べた。

これに対しては、KDDIの内田取締役から「東京や大阪では、特に高層階では多くの基地局からの電波が干渉しあってしまい、入りにくい状況になることがある」という説明のあと、「電波を強化するには、自宅内に設置する小さい基地局やリピーターという装置があるし、『電波サポート24』という、問い合わせから24時間以内に訪問調査に伺う連絡がいき、どの方法が一番いいかを調べてくれる取り組みを始めている。本日は株主総会会場の廊下に相談コーナーがあるので、そちらで相談してほしい」と促した。

プラチナバンドをいち早くLTEに採用して「電波がよく飛ぶ」という印象のあるauだが、なかなか計算通りにいかない場所も多いようだ。

カードが多くて邪魔くさい!

また同じ株主からは、「au WALLETカード、プリペイドカードとクレジットカードを作ってくれと言われたので作ったが、高齢者になるとカードの枚数を減らしたいので邪魔くさい。またポイントも何に使えるかよくわからず、電池などと交換できると言われたがそんなに頻繁に使うものでもない」という指摘があった。

これに対してはKDDIの高橋誠取締役から、「au WALLETカードは店舗で使ったりすることでポイントがたまり、ポイントをチャージすることで、MasterCardが使えるお店であればほとんどの場合、ポイントを買い物に使える。特にコンビニならどこでも使うことが可能」と説明があった。

代表取締役執行役員副社長でバリュー事業本部長件経営戦略本部担当の高橋誠氏

こちらも相談窓口で使い方に合わせての提案をしたいとフォローがあったが、高齢者や初心者には「ポイントのチャージ」という点が理解しにくいのだろう。au WALLETポイントは今後のau経済圏の中で主要な役割を果たすポイントだけに、もっとわかりやすい仕組みを作るか、使い方を周知する努力がもっと必要ということだろう。