アドビ システムズは22日、「Adobe Creative Cloud」を大幅にアップデートした「2016年6月リリース」を公開した。ここでは「Adobe Illustrator CC」や「Adobe InDesign CC」、あるいは「Adobe Photoshop CC」に追加された、グラフィックデザインに関連する新機能を紹介する。

Illustratorに新搭載された「アセットとアートボードの書き出し」パネル

「Illustrator」からのアセット書き出しがスピーディーに

まずは、Web制作やUIデザインなどを手がける「Adobe Illustrator CC」ユーザーにとって有用なのが、「アセット」や「アートボード」を簡単に書き出せる新機能だ。

従来は開いているアセットを書き出す際、「ファイル」メニューの「書き出し」から「Web用に保存」を選択するのが一般的であったが、最近の高精細ディスプレイの普及によりWebやUIのデザイナーは何通りもの形式で画像を書き出す必要があった。この煩わしさを解消してくれるのが、最新バージョンのIllustratorに搭載された「アセットとアートボードの書き出し」機能だ。同機能はPhotoshopに既に搭載されていたが、このたびIllustrator上でも利用可能になった。

「ウインドウ」メニューに「アセットの書き出し」が追加

「iOS」と「Android」のプリセットを用意

カラーモードや圧縮方式などの詳細な設定も可能

「ウインドウ」メニューに追加された「アセットの書き出し」というコマンドを選択すると、専用パネルが開く。この中に書き出したいアートワークをドラッグ&ドロップすると、指定した形式で簡単に書き出せる。書き出したい倍率や接尾辞、画像フォーマットを手動で1つずつ追加できる。

それに加え、「iOS」または「Android」というプリセットも用意され、選択した端末での表示に適した形式のアセットを一括して書き出すことが可能だ。このほか、カラーモードや画質、圧縮方式アンチエイリアスなどの詳細な設定も行える。なお、アートボード単位で書き出すことも可能となっている。なお、Illustrator CCにはほかにも、ライブシェイプの機能向上やAdobe Stockとの連携強化、学習パネルの充実といった改良がなされている。

「Photoshop」に画像内のフォントを調べる「マッチフォント」機能

選択範囲のフォントに似たフォントがリストアップされる

「類似フォントを表示」ボタン

「Adobe Photoshop CC」にも、デザイナーにとって嬉しい新機能が搭載された。それは、Photoshopで開いたJPEGなどのビットマップ画像内に含まれる文字部分に使われているフォントの種類を自動検出する「マッチフォント」機能だ。「書式」メニューから「マッチフォント...」を選択すると、選択範囲を指定するためのボックスが現れる。

これで調べたい文字を囲むと、その書体デザインに類似したフォントがリストされる。パソコンにインストールされているフォントに加え、Creative Cloudが提供するフォントサービス「Typekit」で使用可能なフォントも候補としてリストアップされ、1アクションで簡単にダウンロードして利用することが可能だ。また、「フォント」メニューの「類似フォントを表示」ボタンをクリックしてもフォントを探すことが可能だ。

「InDesign」が黒を基調としたインターフェイスを刷新

左が従来のInDesign、右が新しいInDesignのインターフェイス

「Adobe InDesign CC」の従来までのバージョンは背景が明るいインターフェイスであったが、最新バージョンでは黒っぽいインターフェイスが採用され、目に優しく作業により集中できるようになった。さらに、スウォッチのソート機能、インタラクティブPDFの書き出し強化、共有ネットワークの保護シャットダウンといった改良がなされている。また、Mac版のみの新機能として、GPUパフォーマンスの向上およびGatekeeperの変更も図られている。

最後に、「Adobe Dreamweaver CC」や「Adobe Experience Design (XD)」などのWebデザインツール、および「Adobe Premiere CC」など映像制作ツールの新機能をお届けする。