アドビ システムズは22日、「Adobe Creative Cloud」を大幅にアップデートした「2016年6月リリース」を公開した。

「フォトグラフィー」、「グラフィックデザイン」、「映像制作」、「Web&UIデザイン」といった4分野にまたがり、デスクトップ・モバイル双方のアプリケーションの機能強化が行われている。ただし、今回のアップデートは昨年リリースの「『Adobe Creative Cloud 2015』のアップデート」であり、バージョン名が「2016」にはならない点には留意したい。

ここでは、写真編集ツール「Adobe Photoshop CC」の注目の新機能についての解説と、ストックフォトサービス「Adobe Stock」の最新情報などについて紹介する。

新機能「コンテンツに応じた切り抜き」

同社によれば、今回アップデートされた「Adobe Photoshop CC」には、幅広いユーザーが「使える機能」が新搭載されたことに加え、「誰もが喜ぶ」機能強化がなされたことが注目すべきポイントだという。

「コンテンツに応じた切り抜き」

今回アップデートされたPhotoshop CCの中でも、最も「使える機能」と言えるのが「コンテンツに応じた切り抜き」。これは、5月に同社のブログでデモ動画が先行公開され、世界中のクリエイターの間で話題となった新機能だ。

従来は画像を回転させると切り取った際に画角が狭くなってしまった

新搭載された「コンテンツに応じた切り抜き」を使うと…

元画像の外部の領域が違和感なく埋まるので画角がほとんど変わらない

傾いている写真の水平を取る際、従来は「切り抜きツール」の「角度補正」機能などを用いて補正したのち、生じた余白部分を切り取る必要があった。しかし、この「コンテンツに応じた切り抜き」機能を使えば、画像を切り取った部分にできるスペースを違和感なく自動的に埋めてくれる。

これにより、構図をほとんど変えることなく水平を取ったり、空や地面を増やして地平線を移動させたり、あるいは画像の外側を埋めて縦横比を変更するといったことが可能となる。

「選択とマスクのワークスペース」

「選択範囲」メニューの「選択とマスク」を選ぶと、選択範囲の境界線などの調整に便利なワークスペースに切り替わる

また、選択範囲とマスク作成を行うためのワークスペースを新たに搭載。これは、選択範囲の境界線などの調整をより正確かつ集中して行うための機能強化だ。

「選択範囲」メニューの「選択とマスク...」を選択すると、ターゲット画像が背景画像の上に重なった専用のワークスペースに切り替わる。あとは「クイック選択ツール」や「境界線調整ブラシツール」などの選択系ツールで、ほかの画像に重ねたときの選択範囲の見え方をリアルタイムで確認しながら、ターゲット画像の選択範囲を指定することが可能となった。

右側の「属性」パネルでは、「透明部分」や「エッジを検出」、「スマート半径」、「エッジをシフト」などのスライダーを使ってエッジを細かく調整したり、「出力設定」として「選択範囲」、「レイヤーマスク」「新規レイヤー」、「新規ドキュメント」などの最終的な出力方法を指定したりできるようになっている。