ボーズは、Bluetooth対応のノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort 35 wireless headphones」など、4製品の説明会を開催した。本稿では、製品開発エンジニアによるプレゼンテーション、気になる実機のサウンド傾向などについてレポートする。

QuietComfort 35 wireless headphones

QuietControl 30 wireless headphones

SoundSport wireless headphones

SoundSport Pulse wireless headphones

説明会では、米国のボーズ本社より来日した同社ヘッドホン・リード・リサーチ・エンジニアのダン・ゲイジャー氏から、ワイヤレス製品の開発背景について説明があった。ゲイジャー氏は、1980年にボーズに入社して以降、創業者であるボーズ博士とともにアコースティック・ノイズキャンセリングの開発に携わってきた人物だ。合気道の有段者だというゲイジャー氏は、ボーズがこれまで歩んできたノイズキャンセリング技術への取り組みを「Quiet道」と言い表した。

ダン・ゲイジャー氏。合気道の有段者

ノイズキャンセリングヘッドホンのアイディアは、1978年4月19日、ボーズ博士がチューリッヒ発ボストン行きのスイスエアー機搭乗中に生まれたという。当時、機内ではアームレストからチューブがのびる旧来のイヤホンに替わり、ダイナミック型ヘッドホンが導入されたばかりの時期だったそうだ。

「機内でヘッドホンからのサウンドを聞いたボーズ博士は、新しいダイナミック型ヘッドホンは周囲からのノイズの影響が大きく、不快なほど音量を上げねばならないことに気づいた。機内で音楽をもっと快適に聞く方法はないのか、と思案を重ねた博士は、飛行機から降り立つ時には、ノイズキャンセリングのための基本的な数式を頭の中で作りだしていた」と、ボーズ博士の逸話も紹介した。

「Aviation Headset」は航空機用ヘッドセット。その高いノイズキャンセリング技術は、のちの民生用ヘッドホンQCシリーズなどに応用されていった

ノイズキャンセリング機能を搭載した同社初の製品として、航空機パイロット用ヘッドセット「Aviation Headset」を送り出したのは1980年のこと。さらに、その開発で培った技術を投入した「QuietComfort headphones」を2000年に発売した。そして、その登場から約15年あまり、ついにユーザー念願のワイヤレス化を果たし完成したのが最新モデル「QuietComfort 35 wireless headphones」である。