まぶたの上にできて目立つ憎っくき「ものもらい」

本人が気づかないうちにいつの間にかまぶたの上などにぽっこりとできているものもらい。大抵は放置しておいても自然治癒するが、なんとも見た目が悪く、いざできてしまうと意外と厄介な存在といえる。それならば、ものもらいの原因を知って予防をしてしまえば、もう悩まされることもない。

そこで今回、あまきクリニック院長の味木幸医師にものもらいの原因について伺った。

地域によっては「めばちこ」とも

ものもらいは地域によっては「めばちこ」「めいぼ」などと呼ばれるが、正式には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」という2種類がある。ただ、麦粒腫のみをものもらいと考える医師もいる。この2つの違いの一つにできる場所があり、霰粒腫はまつ毛の生え際にある「マイボーム腺」と呼ばれる太くて長い分泌腺上にでき、麦粒腫は霰粒腫よりまつ毛の近くにある皮脂腺にできる。

「まぶた付近の細かい位置のため、麦粒腫と霰粒腫が混合していたり麦粒腫から霰粒腫になっていったりする場合もあるので、必ずしもどちらかに分類しないといけないというわけではありません」と味木医師は話す。

それぞれの原因と症状をチェック

麦粒腫と霰粒腫の原因について伺ったところ、どちらも「脂」と「細菌」が関連するが、その発症のメカニズムは微妙に違うとのこと。下記にまとめたので参考にしてほしい。

麦粒腫

まぶたにある脂の分泌腺や毛穴などから細菌が入って起こる急性の化膿(かのう)性炎症。原因菌は黄色ブドウ球菌などが代表例。症状としてまぶたの一部が赤く腫れ、まばたきをしたり指で押したりすると痛みがある。患部が広がるとまぶた全体が腫れ、「目がかゆい」「目やにが出る」「目がゴロゴロする」といった症状もみられるようになる。

霰粒腫

マイボーム腺の出口が詰まり、その中で脂がたまり細菌(常在菌)が増殖することで、慢性的な炎症が起きる。症状として、まぶたにドーム状のしこりができるが、痛みがない場合が大半。しこりは放置すると次第に大きくなっていく。中には急性炎症を起こし、痛みを伴う「化膿性霰粒腫」もある。

「どちらも初期段階はあまりできものが硬くなく、赤くなったり目をぎゅっと閉じたりしたときに『何か痛いな』と感じる程度です。にきびができそうなときも『あれ、痛いな』と感じ、患部を押すことがありますよね? だから私は、ものもらいを『目のにきび』と説明しています」。