雨が多い季節になると、洗濯物を部屋干しする機会が多くなる。しかし、部屋干し専用の洗剤を使ったにもかかわらず、洗濯物から生乾きの嫌なニオイが漂ってきた……という経験はないだろうか。もしかしたらその原因は、洗濯槽の汚れかもしれない。今回は、"脱・生乾きのニオイ"をするべく、「過炭酸ナトリウム」を使って洗濯槽の掃除に挑戦してみた。

一見、きれいに見える洗濯槽だが……

「過炭酸ナトリウム」とは?

洗濯をしたとき、洗ったはずなのに洗濯物に黒っぽいゴミが付いていることはないだろうか。これは洗濯で発生した黒カビや石けん・洗剤カスが洗濯槽の裏側に付着したものだ。カビの胞子だけでなく雑菌も含まれているので、このゴミが付着したまま洗濯をすると、洗濯物のイヤなニオイの原因になる。

この汚れの除去に有効だとされているのが、「過炭酸ナトリウム」だ。「過炭酸ナトリウム」とは、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と過酸化水素が混在してできたもの。酸化力があるので、漂白剤、除菌剤、消臭剤として広く用いられている。もしも自宅に酸素系漂白剤(粉末)があったら、裏の成分表示を見てほしい。多くが「過炭酸ナトリウム」と書かれているはずだ。

過炭酸ナトリウム

洗濯槽の掃除なら「専用の洗濯槽クリーナーを使用すればいいのでは?」と思うかもしれない。しかし、市販の洗濯槽クリーナーにも、この過炭酸ナトリウムが使われている。さらに「市販のクリーナーよりも汚れが取れた」という話もあり、しばらく掃除をしていない筆者宅の洗濯機にはうってつけと感じた次第だ。どれくらいの汚れがあるのか……。早速挑戦だ。

泡が激しく発生

まず、この方法で掃除をする前には、付属の糸くずフィルターを外して、洗濯クズを取り除いておこう。過炭酸ナトリウムを入れて洗濯機を攪拌(かくはん)し、しばらく置いた後にすすぎをすれば、フィルターに汚れがたまるという工程だ。

フィルターに汚れがたまるので、最初にきれいにしておくことを忘れずに

次に、洗濯槽の最上位までお湯を張る。効果を高めるために、水ではなく40~50℃のお湯を入れるのがポイントだ。なお、50℃以上のお湯になると反対に効果が弱くなるのでご注意を。

お湯を入れたら、温かいうちに過炭酸ナトリウムを入れよう。目安は、水10Lにつき約100gだ。筆者宅の洗濯機は水を最高位にすると68Lになるため、700g投入した。

過炭酸ナトリウムを入れる。水10Lにつき、約100gが目安

過炭酸ナトリウムを入れてしばらくすると、シュワシュワと細かな泡がたちはじめた。標準コースの「洗い」を3分に設定して攪拌し、過炭酸ナトリウムをよく溶かし込んでいく。すると、攪拌の刺激もあってか、モコモコとした泡が激しく発生してきた。その後は1~2時間放置。しばらく洗濯槽の掃除をしていなかったことも考慮し、今回は2時間ほど放置することにした。

攪拌する前から、泡が立ち始める

みるみるうちに泡でいっぱいに

30分たって、ふと思い立った。68Lもの水を洗濯槽掃除のためだけに使うのは、なんだかもったいない。せっかくなので、水あかがついた洗面器や手おけも一緒に入れてみることにする。

洗面器と手おけも入れてみた

泡の中に「かつおぶし」?

1時間後。洗濯槽の様子を見に行った筆者の娘が「かつおぶしが浮いている」と報告に来た。「かつおぶし」……?? 不思議に思って洗濯槽を見にいくと、確かにかつおぶしのようなものが洗濯槽のふち周辺にたくさん浮いているではないか。洗濯槽の裏側にたまった黒カビなどの汚れが、はがれて浮き上がってきたものと思われる。

「かつおぶし」のように見える汚れが浮いてくる

そして2時間がたち、洗濯槽を見に行ってみた。洗濯槽の中に立っていた泡は消え、そのかわりに茶色い汚れがたくさん現れていた。手ですくってみると、ピロピロした茶色い膜であることがわかる。指でこするとすぐに形が崩れた。

泡は消えたが、そのかわりに汚れが……

水中に汚れがびっしり……

洗面器と手おけを取り出し、再度3分間攪拌する。すると、再び泡が泡立ちはじめ、あわせてたくさんの汚れが出現。攪拌後は、洗濯槽の一面にびっしりと汚れが浮かんだ。洗濯槽にうかぶ泡をどけて水の中を見てみると、表面だけではなく、中にもピロピロした汚れがいっぱい。めまいがしてくるような光景だ。

表面だけではなく、中の水にも汚れがいっぱい

その後、脱水をし、すすぎを行う。1回目のすすぎでは、まだ水の中に汚れがあるのが確認できた。糸くずフィルターを外してみると、茶色い汚れがたっぷりたまっていた。こんなものが付着した洗濯槽で毎日洗濯をしていたのか……と、ちょっとショックだ。

細かな汚れがすすぎの時に発生

1回目のすすぎを終えた時の糸くずフィルター(画像クリックで元画像表示)

たまった汚れを糸くずフィルターから捨て、2回目のすすぎのあとに再び見てみる。1回目よりは少ないが、汚れはたまっていた。念のため、今回はすすぎを3回実施。3回目では汚れはほとんど見られなかった。

2回目すすぎの時の糸くずフィルター。汚れは乾燥すると干しわかめのようだ(画像クリックで元画像表示)

ちょっと落ち込むくらいたくさんの汚れが取れてしまったが、裏を返せば、洗濯槽はそれだけキレイになったということだ。目に見えない裏側にこれだけ汚れがたまっていることを考えると、やはり定期的に掃除をしなければ……という気持ちになる。

洗面器などの水あかとりにも有効

さて、洗濯槽の中についでに入れておいた洗面器と手おけだが、過炭酸ナトリウムの効果で汚れが緩んだのか、スポンジで軽くこするだけで水あかが取れた。ほとんど手間もかからずきれいになったので、洗濯槽掃除をする際には、ぜひ一緒に試してみてほしい。

洗面器や手おけがきれいに

過炭酸ナトリウムは、前述したとおり、普通に漂白剤としても使える。塩素系漂白剤のように色落ちもないので色、柄ものでも安心だ。洗濯槽掃除のほか、排水口掃除、まな板や調理器具などの漂白にも使用できるという。ひとつ持っていればさまざまな使い方ができるので、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。