フィーチャーフォン(ガラケー)が、未だに根強い人気を誇っている。

MM総研の調べによると、2015年度におけるフィーチャーフォンの出荷台数は、前年比22.6%減の819万台と、同社が調査を開始した2000年以降、初めて1,000万台を割ったが、それでも、携帯電話市場全体の23%と、約4台に1台はフィーチャーフォンが占めているのだ。また、国内における携帯電話契約数のうち、フィーチャーフォンの契約数は5,486万件(2015年9月末)となっており、構成比は43.1%。依然として多くの人がフィーチャーフォンを利用していることがわかる。

この分野には、パナソニック、京セラ、富士通、シャープといった企業が継続的に新製品を投入しており、富士通やシャープでは、Androidを搭載しながらも、折り畳み方式を採用したAndroidフィーチャーフォンを投入。MM総研の調べによると、フィーチャーフォン全体の9.9%をAndroidフィーチャーフォンが占めているという。

パナソニックの担当者が語るガラケー人気の秘密

パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部東アジア営業統括部営業企画部マーケティング課主務の峯嶋進氏は、「日本においては、iPhoneの登場以降、スマホの購入が一気に進んだが、ここ数年はスマホへの買い替え需要が一巡したことで、フィーチャーフォンの販売は一定規模を維持しながら推移している。年間800万台というフィーチャーフォンの販売台数規模は、PCの販売台数に匹敵し、デジカメや薄型テレビを遥かに上回る規模になる。市場が減少したとはいえ、台数ベースでは高い水準にある」とする。

パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部東アジア営業統括部営業企画部マーケティング課主務の峯嶋進氏

根強い需要がある背景には、いくつかの理由がある。

ひとつは、シニア層が引き続きフィーチャーフォンを利用していることだ。操作が簡単で、主に音声通話を利用することが多いシニア層にとっては、フィーチャーフォンで十分というケースが多い。スマホから撤退し、フィーチャーフォンしか製品化していないパナソニックでは、購入者の約8割が40歳以上だという。シニア層のなかには、スマホの必要性を感じていない利用者も多い。高齢者が多いという日本特有の市場環境もフィーチャーフォンの根強い需要を後押ししている。

2つめは、2台持ちのユーザーがかなり多いという点だ。スマホを1台目の携帯電話として使用しながらも、通話ではフィーチャーフォンを利用するといった使い方も少なくない。それが4割以上というフィーチャーフォンの高い普及率につながっている。

そして、3つめには、ランニングコストを重視するユーザーにとって、フィーチャーフォンは魅力的であるという点だ。

MM総研の調べによると、2015年12月時点でのスマートフォンの月額平均利用料は6,283円。これに対して、フィーチャーフォンは、3,260円と約半額で済んでいる。データ通信料金が高く設定されているスマートフォンに比べて、それが安いフィーチャーフォンは、データ通信がメールに限定されたり、通信コストを抑えたいユーザーにとっては最適な端末となっている。