IDEALENSは15日、VRデバイス「IDEALENS K2」を発表。今秋、国内販売を開始する予定であることを明かした。本稿では、発表と同日に開催された記者発表会で語られた同機の特徴や、タッチアンドトライの所感についてお届けする。

VRデバイス「IDEALENS K2」

IDEALENS CEO 宋海涛氏

「IDEALENS K2」は、同社が発売するVRデバイスの2代目にあたるもの。発表会において、同社CEOの宋海涛(ソン・ハイタオ)氏は、VRデバイスにとって大切なのは「ローレイテンシ(低遅延)」、「広い視野角」、「トラッキング」として、「IDEALENS K2」はレイテンシや視野角において「PlayStation VR」や「Oculus CV1」、「Samusung Gear VR」、「HTC Vive」といったライバル社のVRデバイスよりも勝っていると強調。特に視野角については、今後発表予定の高機能デバイス「IDEALENS K3」で180°にまで高めるという。

VRデバイス「IDEALENS K2」

バンドを巻くのでは無く、上からかぶせるようにして固定する機構を採用。横から見た本体のデザインは、黄金比を解説する際によく用いられる「フィボナッチの螺旋」を意識したものになっているという

また、「IDEALENS K2」の特徴として、PCやゲーム機、スマートフォンなどの再生機器を別途必要としないオールインワン型であることが挙げられる。そのため、この機器単体でコンテンツのダウンロードから再生まで可能となっている。スペック表には「4Gのサポート」とあったが、これについて会場から質問を受けた宋CEOは、カスタマーの要望があれば対応していくと述べていた。

他社デバイスとの視野角の比較(左)、レイテンシの比較(右)。「IDEALENS K2」の視野は120°、レイテンシは17ms(ミリ秒)となっている

重量は295g、他の多くのデバイスで用いられている頭にバンドをつける形式ではない装着方法を採用しており、2時間つけていても拒絶感なく使用可能だとしている。

コンテンツは多数の企業と連携して展開するとのことで、日本で知られる企業としてはGoogle、Amazon、SHARPなどが関わっている。また、TVやWeb、ゲームなど他ジャンルにわたるクリエイター・エージェントであるクリーク・アンド・リバーと、近年VRだけでなく多くの先端技術を取り入れているテーマパークを運営するハウステンボスから、発表会に際してコメントが寄せられた。

ハウステンボス代表取締役社長の澤田秀雄氏が登壇し、3年前からVR、ARの企画を実施してきた同テーマパークの視点から見て、「ついに波が来たのではないかと思います。今まではBtoBの利用が多かったですが、旅行業界、ホテル業界でも使われていき、普及すれば2、3年後には一般家庭にも入っていくのでは」と語った。

コンテンツにおいて提携する企業の一覧

コンテンツ制作に用いる360°パノラマカメラ「IDEALOEYE」も展開。会場にも設置され、360°映像で中継が行われていた

現状のVRデバイスの分布について、同社は「PlayStation VR」や「Oculus CV1」といったデバイスを「ハイエンド」、「Samusung Gear VR」のようにスマートフォンを活用した機器を「ミッドレンジ」、そしてGoogleのCardboradのような簡易な筐体を「ローエンド」とした上で、「IDEALENS K2」はハイエンドとミッドレンジの間にあたる「アッパー・ミッド・レンジ」に位置すると語られた。

「IDEALENS K2」は、「PlayStation VR」のような「ハイエンド」な高機能デバイスと、「Samusung Gear VR」のような「ミッドレンジ」のスマホ活用デバイスの間に位置する製品とのこと

会場ではプレゼンテーションの後、タッチアンドトライも実施された。筆者は自転車型のトレーニングマシンをこぎながら架空のコースを走る「BIKE RIDER」と、着座してコントローラーで操作する教材コンテンツ「IDEAL LAB」を体験した。

「IDEALENS K2」のコントローラー。人差し指を先端にひっかけてクリックする。かなりしっかりと指をかけて押し込む

前者はコース上のジャンプ台のエフェクトで浮遊する感覚が得られたが、操縦は手元ではなく進行したい方向に頭を振って行うため、既存のレースゲームや実際のバイクの運転とは異なり、少々勝手がつかみにくかった。一方、後者は手元のコントローラーで選択、アイテムをホールドし分銅を使ったはかりの実験などが行えたので、個人的にはこちらのほうが安定して楽しめた。一部表示の乱れなども見られたが、関係者・記者が列をなして間髪入れずに体験しているさなかであったため、正確な動作確認とは言いにくい部分がある。装着は軽快とうたうだけあり、重量感や締め付けは感じなかった。今回はゲーム体験が主となりある程度の没入感は得られたが、実写映像も見てみたいと感じた。

なお、価格や提供時期、「IDEALENS K3」について、宋CEOは、「今後控えている北京のイベントで発表予定」とコメント。日本でのコンテンツ展開についても、別途発表の機会を設けると語っていた。

IDEALENS K2 製品概要

・価格 :未定
・タイプ :オールインワン VR ヘッドマウントディスプレイ
・重量 :295 グラム
・リフレッシュレート :90hz
・OS :IDEAL OS(Android based)
・CPU :Exynos 7420
・GPU :Mali-T760 MP8
・RAM :3G LPDDR3
・ROM :32G eMMC
・センサ :9軸センサ、Wi-fi Bluetooth4.0
・Wi-Fi・4G サポート :Wi-Fi、4G
・入出力 :マイクロ USB、3.5mm オーディオ入力、microSD カードスロット