【レポート】

ダイエットの先に幸福はあるか? - 摂食障害経験者が語る自分の肯定の重要性

1 体型に縛られて生きるのはもったいない

  • <<
  • <

1/3

摂食障害に苦しむ人やその家族をサポートすることなどを目的とした「日本摂食障害協会」の設立発表会がこのほど、東京都内で開催された。同会では有識者による講演のほか、摂食障害の体験者によるスピーチや、パネルディスカッションなどが行われた。当日の様子をレポートする。

摂食障害の現状

一般にはあまり知られていないかもしれないが、摂食障害は下記のように分類できる。

■拒食症……食事を拒み続けて体重が異常に減る
■過食症……満腹感が得られずに暴飲暴食をしては、嘔吐(おうと)や下剤の乱用などを繰り返す
■過食性障害……いわゆる「むちゃ食い」をするが、自己誘発性の嘔吐(おうと)をしたり下剤を服用したりすることはない

摂食障害は極度の栄養失調が原因で「患者の7~10%が死に至る」とも言われており、潜在患者を含めると国内には20万人を超える患者がいるとみられている。だが、治療できる医療機関が少なく診察可能な患者も限定されるため、保育園の待機児童問題と同じく、一刻も早い「待機患者ゼロ」の実現が求められている。

このような現状がある中で、摂食障害患者が自身の不安や葛藤を、なかなか周囲に打ち明けられないことも早期介入を難しくさせている。実際に摂食障害に悩む女性たちを代表し、モデル・Naoさんが自身の経験談を語ってくれた。

摂食障害を乗り越え、現在はモデルとして活躍中のNaoさん

20kgの減量後に30kgの増量を経験

Naoさんは、今でこそ2013年に創刊したぽっちゃり系女子向けファッション誌「la farfa」で明るい笑顔を見せているが、17歳の頃に摂食障害を患い、独りで悩み、もがいていた過去を持つ。

断食ダイエットをした結果、食事がほとんど摂(と)れなくなり、体重が半年で20kgも減ったが、無気力になり日常生活にも支障をきたすようになった。仕事に行けなくなったり、友達との約束を守れなくなったりし、精神的に不安定な状態が続く中、今度は猛烈な食欲に襲われた。

体重は30kg増え、その後は拒食と過食を繰り返した。正常な食生活に戻れなくなり、治療してくれる病院や相談先もわからず、ずっと独り。摂食障害は10年間続き、その間もNaoさんの心は閉ざされたままだった。ところが、アルバイト先の出版社で、膨大な量の芸能人たちの写真を見たことが、Naoさんの考えにある"変化"をもたらした。

「すごくやせてる人もいれば、ぽっちゃりな人もいて。私はずっと体型を気にしてきたけど、ずっとそれに縛られてこれからも生きていくのはもったいないんじゃないかと。それより、自分のぽっちゃり体型を受け入れて生きていくほうがいいかなと思えたんです」。

自分らしく生きる道を選び、体型を生かして、ぽっちゃり系ファッション誌のモデルの仕事も始めた。オシャレを楽しむ気持ちを大切にし、自分を肯定することで、気持ちが前向きになり、拒食や過食を繰り返すこともなくなっていったという。

「私は相談先もわからず、治療を受けていなかったので、完治するまで10年という長く孤独な日々を過ごしました。今、苦しんでいる人は、できるだけ早く治療を受けてほしい。私は自らの体験を語ることで、人に安心感を与えたい。『自分を責めなくていいんだよ。どんな体型でも、誰もあなたのこと嫌いにならないよ』って、そう伝えたいですね」。

  • <<
  • <

1/3

インデックス

目次
(1) 体型に縛られて生きるのはもったいない
(2) ダイエットで幸せになれるかもしれないという幻想
(3) 医療、美容、メディアの立場から見る摂食障害
関連キーワード

イチオシ記事

新着記事