もう少し、Google I/Oの話題から、Appleに関して考えていこうと思う。ちなみにAppleは6月13日から開発者会議WWDC16を開催する予定だ。ここ最近の本連載の記事に関する答えについても、ほとんどの回答がWWDC16の基調講演で得られるのではないか、と期待している。

さて、Google I/O 2日目の5月19日に行われた大きな規模のセッションは、Chrome OSに関するものだった。この場で発表されたのは、Chrome OS上でAndroidアプリが動作するということだった。

本連載で「iOS X」という架空のOSについて紹介した記事で、「いつ起きても不思議はない」と指摘していたことが、現実のものとなった。

Macでも、同じことが起きるかどうか。つまり、iPhoneやiPadのアプリがMacで動作する可能性について考えてみよう、というのが今回の話だ。

Chromebook

Chrome OSを搭載する代表的なコンピュータは「Chromebook」であったが、これまで、Webブラウザで動作するWebアプリを活用する、非常にシンプルなLinuxベースの「シンクライアント」的な存在だった。

それでも、GoogleドキュメントやGmail、GoogleカレンダーといったGoogleのサービスや、Evernote、Dropboxといったサービスを利用できる。WindowsやMacを使っている人が、多くの作業をWebブラウザ「Google Chrome」で行うようになればなるほど、Chromebookの有用性が実証されていく、そんな構造だ。

Googleはセッションで、米国内において「Chromebookが初めて、Macよりも多い販売台数を確保した」と発表した。IDCによると、2016年第1四半期に、Macは176万台を販売したが、Chromebookは200万台の販売を記録したという。

200ドル程度という圧倒的な価格の安さと、ブラウザでできることの増加は、ビジネスや教育の現場における大きな可能性があり、これが顕在化しつつあることを示している。 そこで、Androidアプリのスムーズな動作の実現という新たな武器が登場した。ブラウザベースで利用してきたSNS系のサービスは、専用アプリでの動作を実現できるようになる。またブラウザではなかなか難しかった、ゲームや、教育系の膨大なアプリがChromebookに流れ込んでくることは、非常に魅力を高めることになるだろう。