COMPUTEX TAIPEI 2016では、Microsoft基調講演ののち、日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長の金古毅氏、同社の業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上 智子氏、VAIO副社長の赤羽良介氏による共同会見が開かれた。ここでは会見で話が及んだ、VAIOの事業やVAIO Phone Bizに関する興味深いトピックをかいつまんで紹介する。

VAIO副社長の赤羽良介氏

日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長の金古毅氏

日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上 智子氏

Windows Holographicには前向き

COMPUTEX TAIPEI 2016では、 米MicrosoftがHoloLensのプラットフォーム「Windows Holographic」をパートナー向けに公開することが表明された。これにより、Microsoftが言うMixed Reality(MR: 複合現実)の世界に、各社がそれぞれの方法で参入できるようになる。

この件に関し、VAIOの赤羽良介副社長は「非常にワクワクしている」とコメント。赤羽氏地震も複数のVRを体験しており、「特にVR自体のクオリティが高くなくとも新鮮な体験だ。VRのみならず、現実世界と関連するMRとしても、非常にワクワクする体験」と前向きな姿勢をみせた。

一方で、VAIOのビジネスとして扱うかは未定。「ビジネスに繋げられるか、自分としてもよくわかっていないところがある」とした。「HoloLensで提供できるものは何か、Microsoftと協議していく」。

新しい「柱」になる事業を検討中

会見では、Windows 10の国内市場規模をどう捉えているかや、新規ビジネスについても話が及んだ。

赤羽氏は、Windows 10の市場規模が「増えようが、減ろうが、気にしていない」と説明。言わば"ニッチ経営"として、特定の市場にフォーカスし、場の伸び縮みを意識しなくても成り立つオペレーションと商品で経営を進めていくとした。高付加価値のPC事業もこれに当たるだろうが、同社が2015年に開始したEMS事業(Electronics Manufacturing Service、受託生産)も含まれるだろう。EMS事業は着々とビジネスに貢献してきており、VAIO自身のブランドとしてIoTデバイスを開発する可能性もあるという。

これらを経営の基盤に据え、その上で「成長のための新しい事業をやりたい」という。経営の基盤は「3本くらい柱が欲しい」といい、「ひとつはパーソナルコンピューティング、次がEMS事業で、次に新しいものを考えていきたい」と新規事業への意欲をみせた。新しい事業は、具体的には決まっていないが、同社がコンセプトとして掲げる「快」を追求していくとして、「『快』を提供するあらゆるものを候補に、やっていくものを考える」予定だ。

VAIO Phone Bizの反響とこれから

VAIO Phone Biz

VAIOが2016年2月に発表したWindows 10 Mobileを搭載したスマートフォン「VAIO Phone Biz」については、「一言でいうと好評」だという。質感に加え、キャリアアグリゲーションの対応やContinuumの採用などの機能面、そしてOSにWindows 10 Mobileの採用による社内システムとの相性やセキュリティの問題など、多方面から興味を持ってもらえているという。

日本マイクロソフトの金古氏は、Windows 10 Mobile市場におけるVAIOの参入について、「大きな悲願だった」と熱を込めた。日本マイクロソフトではVAIOのブランド認知力で企業ユーザーにWindows 10 Mobileを訴求したいという狙いがあったほか、日本マイクロソフトがContinuum機能の評価のため、VAIO Phone Bizのサンプル機を提供してもらい使用していたという経緯もある。

金古氏は、「早い段階から、市場で(Continuumという)新しい使い方を提案したもらったことは大きな意義があった。VAIOからWindows Phoneを出してもらうことは、開発時からの大きな悲願。これがいい形で達成できた」と語った。VAIOでは、継続してWindows 10 Mobileデバイスを発表していく予定。