F5ネットワークスジャパンは6月2日、同社社長の古舘正清氏が、昨年の5月の就任から1年が経過したことを踏まえ、この1年間の振り返りと今後の事業戦略を説明する事業戦略発表記者会見を都内で開催した。

F5 Networks ワールドワイド セールス エグゼクティブ バイス プレジデント ジョン・ディルーロ(John DiLullo)氏

同社は同日「F5 Agility Tokyo 2016」を都内のホテルで開催中で、これにあわせて来日した米F5 Networks ワールドワイド セールス エグゼクティブ バイス プレジデント ジョン・ディルーロ(John DiLullo)氏は、「F5は世界各地で事業を展開しているが、日本は非常にうまくいっている。成功の理由は、我々の戦略とお客様の要求が一致しているためだ。我々には、6つの重点領域があるが、ADC/Cloudの領域は、私たちはリーダーだ。今後は引き続きしっかり開発を行い、リーダーの地位を継続していく。そして、これを続けていくことによって、お客様に我々に製品がデファクトとして浸透していく。我々が他社と違うのは、R&Dにしっかり投資できる余力をもっている点だ」と語った。

F5 Networksが2016年に注力する6分野

F5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長 古舘正清氏

続いて登壇したF5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長 古舘正清氏は、この1年を振り返り、「昨年の5月1日に社長に着任し1年が経過したが、これまでセキュリティ、AS a Service、ADCのの3つの領域に注力してきた」と説明。

具体的な成果としては、セキュリティでは、昨年の秋に専門チームを新たに立ち上げたほか、セキュリティの課題解決を10のシナリオベースで届けることを行ってきたという。

製品では、顧客のクラウドシフトが進み、シングルサインオンのためのアクセス管理が好調で、また、年金の情報漏洩をきっかけに、公共を中心にWAFへの関心が高まっているという。そのほか、ファイアウォールは大手サービスプロバイダにおいて大型受注があったという。

AS a Service(クラウドサービス)では、市場状況としてDDoS対策の採用が金融、製造、CSPを中心に増えており、企業からの問い合わせも増加しているという。

主力のロードバランサ(ADC)の分野では、34%から37%に順調にシェアを拡大しており、とくにサービスプロバイダでのシェアが伸びているという。また、エンタープライズ分野ではSDNがらみでの採用が増えているという。

過去1年での成果

そして同氏は、今後の注力分野としてセキュリティ、クラウド、SDNを挙げ、「F5といえば、ロードバランサのアプライアンスのイメージが強いが、今後はイメージを大きく変え、2020年には、セキュリティ、クラウド、SDNの会社と言われたい」と語った。

今後の注力分野

なお、同氏は昨年の社長就任会見で、2019年に「ADCで50%以上のシェア」、「AS a Serviceの事業比率を15%以上」、「セキュリティ売上を5倍に」という目標を掲げている。

「F5 SOCパートナー プログラム」も発表

また同社は同日、WAFシステムの提案、導入、運用を支援する「F5 SOCパートナー プログラム」を発表している。

これは、WAFのログを分析できる技術者がいない企業向けのサービスで、同社のWAFのログをパートナー企業が提供するSOC(Security Operation Center)に転送し、分析してもらうサービス。24時間365日のセキュリティ運用監視体制、脆弱性診断サービスおよびレポーティング サービス、導入前コンサルティング サービス、 F5セキュリティ製品テクニカル スキルなどサービスを提供する。

SOCプログラムのイメージ

サービス提供するパートナーは、伊藤忠テクノソリューションズ、SCSK、NRIセキュアテクノロジーズ、三井物産セキュアディレクションの4社。

F5では、2016年中にSOCパートナー6~8社との間で協業合意を締結することを目指しており、また、「F5 SOCパートナー プログラム」において、 BIG-IP Access Policy Manager(APM)、 BIG-IP Advanced Firewall Manager(AFM)など、 BIG-IP ASM以外の製品展開も検討しているという。