アット東京は、都内に4カ所のデータセンターを有しているが、中でも世界最先端レベルの高密度次世代データセンターが2012年から運用を開始した中央第2センター(CC2)だ。今回、メディアとして初めてCC2を取材する機会を得たのでレポートする。

同センターは地下1階、地上10階建で、延床面積は4万1,000平方メートル。このうち1万5,000平方メートルがラックスペースだ。建物は正方形に近く、サーバルームは東西対称に配置され、1フロアで東西それぞれ4部屋、計8部屋が用意されている。貸し出しも部屋単位が多い。

中央第2センター(CC2)入り口のセキュリティゲート

同センターの大きな特徴は、空調設備を別フロア(メカニカルフロア)に置く、ツインフロア方式を採用している点だ。データセンターのサーバルームでは、空調機を同じフロアに設置するのが一般的だが、ツインフロア方式では空調機を別フロアに設置する。同センターでは、階下のメカニカルフロアとセットで運用されている。こうすることで、空調機の増設を容易にし、高密度化が図れるという。

同センターのサーバルームでは、吸気側と排気側の床それぞれに送風口が開けられ、階下の空調機からダクトを経由せず、直接サーバを冷却する仕組みになっている。空調は、ターボ冷凍機によって生成された冷水を利用したもので、サーバルームの室温は20-24度に保たれている。地下には冷水を保存する水槽が設けられ、常時冷却するにじゅうぶんな量の水を蓄えている。また、冬場はターボ冷凍機を使用しないフリークーリングを採用し、電力使用量を抑えているという。

サーバラック。サーバの前面側から吸気して、後部に排気する。左の写真は排気側。熱気が外に逃げないように、天井と扉で囲まれている。右の写真は吸気側。階下の空調機の噴出し口から直接冷風が送られている

同センターのサービスの中心は、部屋を提供して、ラックを含めたサーバ機材等をユーザー自ら設置して利用するコロケーションだ。すでにかなりのスペースが埋まっており、海外顧客の利用もあるという。

ラック設置前のサーバルーム

好調な利用率を支えるのは、信頼性と可用性を高める完全冗長が可能な設備構成や災害対策だ。地震に備え、地下には免震装置や制震装置が備えられ、最大想定を上回る高潮・津波対策が施されている。熱源設備や電力設備は建物の東西で系統を分けているため、いざという時の完全冗長の仕組みが構築されているのだ。

電力は、50万Vの地下式変電所から2系統で直接受電しているほか、バックアップとして地下からのもうひとつの系統で直接受電ができるようになっている。変圧機など受電設備や自家発電、配線等は、東西で別々に用意されている。

6万Vの受電設備

UPS(無停電電源装置)

災害時、自家発電が安定供給できるまでのつなぎの役割を担うUPSは最大負荷で10分間の電力供給が可能だ。通常は稼動用+予備機のN+1での運用だが、顧客の要望により、2Nでの運用も可能だという。

同センターが高密度対応をうたうのは、床荷重はもちろん、電力設備や空調設備に余裕がある点が大きい。電力は標準で平方メートルあたり2~4kWの供給能力を有しているほか、ラックあたり最大で35kWの供給対応が可能で、空調も高密度サーバを設置する場合は、その階下に空調設備を増強できるスペースをあらかじめ確保している。

空調用の冷水を作るターボ冷凍機

これらの特徴を活かすため、同社ではスーパーコンピュータ、HPC(High Performance Computer )などの高密度サーバや、ビッグデータ、ディープラーニングといった用途の顧客獲得をねらっていくという。

そのため今後は、海外顧客に向けたバイリンガルでの窓口サポート、インターネットを介して室内温湿度やラック・PDUなど、サーバルームの状態を視覚的に見ることができる「@EYE」、クラウド型監視プラットフォームサービスシステム「@Ractiv(アットラクティブ)」などに加えて、リモート操作等のサービス拡充を図っていくという。