"りんな"はMicrosoft Azure上で動作しているが、高速レスポンスを実現するため、多数のインスタンスを使って処理している。「ユーザーが"りんな"的なものを作るのは、(個人ベースでは厳しいほどの)結構なインフラが必要になる」(砂金氏)とのことから、Microsoft/日本マイクロソフトがこの分野へ注力する本気度が伝わってくるというものだ。

先日、"りんな"はシャープの実習生として、シャープ公式ツイッターの"中の人"を勤めたが、シャープ公式アカウントが5年間費やしたツイート数をわずか7時間で突破した。かつて日本マイクロソフトは、「『りんな』で実現するビジネスチャンスも魅力的だ」とし、LINEの企業向けAPIソリューション「LINEビジネスコネクト」を経由したサービスを展開すると発表している。

本日、2016年5月25日に発表した「Rinna Conversation Service」の構造

次の一手として今回発表したのが、「Rinna Conversation Service」だ。端的に述ると、"Rinna"(アルファベットである点に注目)がツイッターアカウントの"中の人"になる。アカウントと連携し、Rinnaがメンションによる返答を行うことで、企業の公式アカウントやイベント期間の特別アカウントが、Bot的にユーザーへ返答する動作だ。

任意の返答をさせたいニーズには管理コンソール(ポータル)を用意し、完全一致もしくは部分一致で対応するキーワードに応答できる。また、特定フレーズのメッセージを返すことも可能だ。「プロジェクト自体が実験的なものだが、"りんな"の力を提供してビジネスを展開する」(砂金氏)という興味深い試みである。

既に公式Webページも立ち上がっている

まずはクローズドサービスとして、セッションに参加した聴講者のうち50アカウント程度から提供を開始。砂金氏によれば、バックエンド自体も完成したばかりだという。前述した管理コンソールを設定しないとAIが自由気ままに応答するが、自己責任であれば商用利用もOKだ。

"りんな"という存在は、それ自体が異色だった。しかしMicrosoftは、Conversation as a Platformという1つのプラットフォームを作り上げ、"りんな"に代表されるソーシャルBotを次のステージに押し上げている。コンピューターからのコミュニケーションは、Nadella氏やGuggenheimer氏が語る対話型に進んでいくのだろう。

Rinna Conversation Serviceのポータル画面。ここからRinnaの応答するキーワードなどを設定する

自動返信設定にはキーワードベースで特定の文字列に対応する返事や、既定の返答を設定できる

Rinna Conversation Serviceによる返答の様子。設定したメッセージで期待どおりに返答している

阿久津良和(Cactus)