【レポート】

広域連携の成功例「北海道ガーデン街道」の8庭はここが必見! 富良野~大雪編

「北海道ガーデン街道」は全長250km。十勝、富良野、大雪にある個性あふれるガーデンをつなぐこの新たな観光ルートは、地方創生が推進する地域観光の広域連携の先駆的モデルとしても注目されている。そこで2回に分け、街道を構成する8つガーデンの魅力と楽しみ方をご紹介。今回は富良野~大雪に広がる3つのガーデンの魅力に迫る。

同名テレビドラマのロケ地「風のガーデン」の中の「グリーンハウス」は内部も見学可

ブランド化から3年で入園者は54%増に

北海道ガーデン街道が誕生したのは2009年のこと。それまで個々に活動していた8つの民間の有料ガーデンが広域に連携し、協議会を設立。北海道ガーデン街道として広報活動や旅行会社へのセールス、イベント等でプロモーションを行い、新たな花観光のブランドを確立した。

これにより参加施設の入園者数は2009年の35.6万人から2012年は55万人へ3年で54%増加。中でもこれ以前、関東の旅行代理店から「十勝には見る場所がない」と言われ、通過型観光地のレッテルを貼られていた十勝には5つのガーデンが集積されており、入園者数は10万人から35万人へ激増した。

北海道ガーデン街道の見取り図。画像提供: 北海道ガーデン街道

人気ガーデナーが手掛けたドラマのロケ地

まず紹介するのは富良野の「風のガーデン」。倉本聰脚本の同名ドラマのロケ地として作られた庭だ。デザインを手掛けたのは、メディアでも度々取り上げられている人気ガーデナーの上野砂由紀さん。園内の花は450種類以上に及び、植栽から9年を経てダイナミックに生長している。その魅力はドラマの舞台そのまま、物語性のあるドラマチックな世界観にある。

ガーデン内にある「グリーンハウス」はドラマでも度々登場した場所で、登場人物たちの思い出のシーンがそのまま留められている。「羊の広場」ではかわいい羊たちを放牧、晴れていれば園内から十勝岳連峰を見ることもできる。2015年には「ローズガーデン」がオープンとなり、庭をライトアップすることで夜も楽しめる「ナイトガーデン」もスタートした。

自然に囲まれ、ゆっくり寛げるスペース。道の先には池や「一人歩きの道」が続く

大人の隠れ家的なバーもいい

また、風のガーデンのもうひとつの魅力はその立地、新富良野プリンスホテルに隣接する点だ。ホテル敷地内の森の中には同じく倉本作品のロケ地となった「珈琲森の時計」「ニングルテラス」「Soh's BAR」もある。「珈琲 森の時計」のカウンター席では自らミルで挽いたコーヒーを煎れてもらえる。「ニングルテラス」には様々なクラフト作家の店が集積、焼きミルクが人気のカフェ「チュチュの家」もある。

「グリーンハウス」の内部。ドラマで主人公の家族・白鳥家が暮らしていたロケ地の様子がそのまま残されている

重厚な石積みの「Soh's BAR」はまさに大人の隠れ家、こだわり男子にはたまらない場所だ。おまけにこのバーに向かう林道では、この世のものとは思えない美しい星空が見られる。その光景は想像を絶する絶景だ。是非、空を見上げて自分の目で確かめてほしい。

このほかにもパークゴルフなどのアクティビティ、十勝岳や大雪山連峰の壮大な眺めを楽しめる温泉もある。夏、富良野ロープウェーでは早朝の幻想絶景、夜の星空探検ツアーも見逃せない。ここは是非1泊、できれば連泊して楽しみたい。

9つのゾーンからなる花の楽園はカフェにも注目

富良野から鉄道で1時間、旭川には「風のガーデン」を手掛けた上野砂由紀さんのガーデン「上野ファーム」がある。最寄り駅となるJR旭川駅からは、さらに路線バスで約40分となる。

白樺の小径。奥に見えるのは、古い納屋の改装してカフェ「NAYA cafe(ナヤカフェ)」は庭に面したテラス席もオススメ

ファーム内には9つの異なるゾーンを有し、レンガの壁が印象的なマザーズガーデンや白樺の小径、木の声が聞こえる庭など、それぞれに明確なテーマ性があり、趣が違う。ファームの裏にある射的山に上がると上川盆地とそれを囲む山々が見渡せ、運がいいと野生のキタキツネに遭遇することもある。射的山にはウンリュウヤナギやウラジロハコヤナギの巨木もあり、これからの季節、斜面の野原は花に覆われる。

射的山で偶然出会った野生のキタキツネ

上野ファームで一番のオススメは、古い納屋を改装したガーデンカフェ「NAYA Cafe」だ。テラス席からは庭を眺めることもできる。キッシュプレートなどのランチメニュー、カフェメニューにはケーキやアフォガードなども充実しており、見た目だけでなく味もいい。苗やギフトなどを扱うガーデンショップもセンスがよく人気だ。JR旭川駅からは路線バスで約41分かかるが、一日ゆっくり滞在し、ランチやカフェ、ショッピングなども堪能してほしい。

「NAYA Cafe(ナヤカフェ)」の「アフォガード」(税込530円)と、「7種の野菜のキッシュプレート」(スープ付きで税込950円)

雄大な大雪山の森の迎賓館

JR旭川駅からJR上川駅へ約40分、さらにタクシーで約10分のところには「大雪森のガーデン」(上川町)がある。エントランスを入ったところには約500品種が植栽された華やかな「森の花園」ゾーンがあり、大雪山で見られる高山植物や北海道の自生種が集めた「大切な庭」、五感で楽しめる「親しみの庭」、花や葉が地面をはうグランドカバーが美しい「花の泉」などが迎えてくれる。

エントランスの「森の花園」には約500品種が植栽されている。画像提供: 北海道ガーデン街道

その先には「森の迎賓館」と呼ばれるゾーンも。色鮮やかな花から緑豊かな森へ、雰囲気の異なる2つの世界を楽しめる。「森のリビング」にはピザ窯を備えた「森のダイニングキッチン」や「森のBar」もある。

ガーデンカフェの「上川発北海道スープカレー」(税別1,600円)

園内のガーデンカフェでは、北海道産の食材を使った北海道スープカレーやホットドックのメニューが充実している。カフェは「森の花園」に面していて実に眺めがいい。外のテラスもオススメだが、肌寒い季節には室内でまったりするのもいい。また、ここにはガーデンに隣接して本格的なガーデンレストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」や宿泊用のコテージ「ヴィラ」もあり、雄大な大雪の山々を目の前に食事や滞在もできる。車があれば、より大雪山を間近で見ることができる、映画「許されざる者」のロケ地跡に行ってみるのもいいだろう。

近くにはある映画「許されざる者」のロケ地跡も

冒頭で触れたように、8つのガーデンからなる北海道ガーデン街道中の5つは、十勝に集積されている。続く後編では、その十勝のガーデンの魅力と楽しみ方を紹介しよう。

※記事中の情報は2016年5月のもの

筆者プロフィール: 水津陽子

フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。
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