「リケーブル」という言葉をご存知だろうか? 簡単に言うと、イヤホンやヘッドホンのケーブルを付け換えて音の変化を楽しむ、というオーディオの遊び方の一つなのだが、筆者はじっくり試したことがなく、本当に音が変化するのかどうかいまだ確信が持てていない。約1年編集部で過ごした結果「まあ多少変わるんだろうなあ」となんとなく察しが付くようにはなったのだが、イヤホンケーブルは少し勇気がいる買い物というイメージがぬぐえない。今回は納得がいくまで試した上で「果たしてお金をかける価値があるものなのか」を考えたいと思う。

ケーブルが取り外せるイヤホンの存在をご存知だろうか

オーディオにそこまでお金をかけたことがない人からしてみれば、「そもそもイヤホンのケーブルって付け換えられるものなの? 」という状態だと思う(なぜなら筆者も編集部に来るまではリケーブルの存在を知らなかったから)。そこでまず、ケーブルを付け換えられるイヤホン・ヘッドホンとそうでないものがあるところから確認したい。リケーブルできるのは、イヤホンのきょう体とケーブルを専用のコネクタでつないでいるものだけだ。

コネクタにも種類がある。MMCX、2pin、ミニXRLなどがそれに当たるのだが、なかでもMMCX端子が主流といえる。オーディオテクニカのA2DCなど、メーカーの独自コネクタを採用している場合もあるため、ケーブル選びに当たっては注意が必要だ。

多くのイヤホンに採用されるMMCXコネクタ

2pinコネクタ。写真は「Auglamour R8」のケーブル

ケーブルのコネクタ部分とイヤホンをしっかり持って強く引っ張ると…

カチという音とともに外れる。結構力が必要で、最初は苦労した

イヤホンより高いケーブル

今回使用するイヤホンは、2016年1月にエレコムから発売された「EHP-R/HH1000A」。実勢価格は税込21,340円。BAドライバーとダイナミックドライバーを搭載したハイブリッド型で、ベリリウムコート振動板を採用。コネクタはMMCXなので、同じくMMCX端子のケーブルと組み合わせて使用できる。

EHP-R/HH1000A

装着したところ

まずは、EHP-R/HH1000Aを標準付属のケーブルで聴いたときの感想を先に記しておく。高・中・低の各音域がいやな主張をせず、全体的にフラットな音を味わえるイヤホンという印象。解像度が高く、繊細で澄んだ音色を再生するので、ボーカルのかすれ声もありありと表現してくれるのが魅力的だ。

ケーブルのチョイスは、ポータブルオーディオ専門店のe☆イヤホンに相談した。「EHP-R/HH1000Aと組み合わせる」「筆者はリケーブル未経験」というざっくりとしたオーダーに合わせて、以下の4製品を薦めてくれた。

  • NOBUNAGA Labs「鬼丸 NLP-ONI」: 税込価格9,480円
  • Labkable 「Labkable Silver Shadow MMCX(8芯)」: 税込価格19,800円
  • Labkable 「Labkable SILVER GALAXY MKII」: 税込価格31,100円
  • Labkable 「Labkable SILVER GALAXY MIX MKII」: 税込価格36,280円

果たしてケーブルで音は変わるのか

素直な感想は「イヤホン本体より高いじゃん……」なのだが、音に大きな変化をもたらしてくれそうでわくわくしている筆者がいる。試聴はEHP-R/HH1000Aと各ケーブルのほか、プレーヤーにオンキヨー「DP-X1」を使用した。音源は宇多田ヒカル「Automatic」(FLAC 96kHz/24bit)。標準付属のケーブルで聴いた後すぐにケーブルを付け換えてまた試聴……という作業を4製品ぶん繰り返した。次ページで、筆者の感想をレポートしたい。