説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『LightningケーブルはUSB 3.1に対応しているの?』という質問に答えます。

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現行のiPhoneで利用されている「Lightningケーブル」は、パソコンとiPhoneをつなぐことでデータの転送と充電を可能にします。片方はLightning端子ですが、もう片方はUSBタイプA端子であり、データ転送のフォーマットはUSBに準じています。

Lightning端子には、8つのピンと周囲全体からなる合計9つの接点があります。規格を策定したAppleによる仕様公開は行われていませんが、外部による解析が進められた結果、信号線は2本でUSB 2.0相当ということが判明しています。つまり、LightningケーブルはLightning←→USB変換ケーブルであり、USB 2.0をサポートする機器とのデータ通信を可能にします。

Lightningケーブルは、最新のUSB規格「USB 3.1」対応ポートを備えるパソコンとの接続も可能です。そのベースとなったUSB 3.0の規格では、旧規格(USB 1.1/2.0)との互換性を確保することが必須とされており、その後継であるUSB 3.1も同様です。USB 3.0/3.1とUSB 2.0では信号線の本数など物理的な構造が異なりますが、後方互換性があるためUSB 2.0での接続が可能、つまりLightningケーブルも変わらず利用できることになります。

一方、Lightningケーブルの物理的な構造は、互換品の状況を見るかぎりUSB 2.0相当であり、USB 3.1の規格を満たしていません。Type A端子の形状はまったく変わらず、USB 3.1ポートに挿しこむことはできますが、あくまでUSB 2.0規格の範囲内であり、USB 3.1の高速なデータ通信には対応しません。

ただし、2015年9月発売のiPad Proは事情が異なります。これまでのiPhone/iPadとは異なり、上下に各8ピンを備えたLightningコネクタを採用しており、しかも本体内部にはUSB 3.x対応コントローラチップが搭載されています。ひょっとすると、将来USB 3.x対応のLightningケーブルが登場するかもしれません。

互換品の状況を見るかぎりLightningケーブルが対応するデータ通信はUSB 2.0相当で、USB 3.1の高速性は生かせません