模型の有名メーカーが一堂に会し、新製品を発表する「第55回 静岡ホビーショー」(主催 : 静岡模型教材協同組合)が5月12~15日の4日間、ツインメッセ静岡で開催された。ここではクルマ・バイク関連の展示モデルを主要メーカーを中心に振り返りたい。

静岡ホビーショーの会場に展示された(写真左から)タミヤ「NSX(TT-02シャーシ)」(仮称・7月発売予定)と「フェラーリ FXX K」(6月発売予定)

タミヤ、「くまモン」ミニ四駆で熊本を応援

模型メーカー最大手のタミヤは、北米で量産がスタートしたばかりのホンダ新型「NSX」を早くも電動RCカーとして展示していた。1/10スケールで、ステーの長い特徴的なドアミラーも別パーツで再現されている。さらに、生産台数わずか30台あまりといわれるフェラーリのサーキット専用マシン「FXX K」も1/24スケールのプラモデルとしてキット化。ボディの複雑な形状はもちろん、V12エンジンやインテリアなどの造形もリアルだ。

「がんばれ! 熊本 ミニ四駆(くまモン版)」も来場者の関心を集めた。タミヤは以前から「くまモン」のドライバー人形付きミニ四駆やRCカーを販売している。「がんばれ! 熊本 ミニ四駆(くまモン版)」は実車寄りのデザインと評判のミニ四駆「ライキリ」のクリヤーボディを使用した新製品で、利益の全額が熊本地震の被災地へ寄付されるという。

タミヤ「がんばれ! 熊本 ミニ四駆(くまモン版)」(6月発売予定)

京商、マツダ「ロードスター」を手のひらサイズのラジコンに

1/27スケールの小さな電動RCカー「ミニッツレーサー」シリーズが販売16年目に突入した京商は、新たにマツダ「ロードスター」をラインナップしていた。実感豊かな完成ボディが付属するレディセット(すぐ走行可能なセット)のほか、未塗装のボディ単体でも発売され、同時にエアロパーツも販売される。

1/12スケールの電動RCカーで展開中のグループCカーにおいては、あの「マツダ 787B」とル・マン24時間レースを戦った「ジャガー XJR-14」も追加。ちなみに「マツダ 787B」をはじめ全7車種ともに発売中で、サーキットでのレースが見た目にも楽しい。

京商「ミニッツレーサー スポーツ2 MR-03 マツダ ロードスター」(6月発売予定)とエアロパーツ(7月発売予定)装着例

京商「プラズマLmカーボンエディション ジャガー XJR-14」

京商「samurai トヨタ ハイエース スーパーGL」

京商ブースではRCカーの他にディスプレイ用のミニカーも多数展示されていた。とくに目立っていたのが、1/18スケールのレジン製トヨタ「ハイエース」だ。ファインダー越しだと実車かと思ってしまうほどの再現力の高さを誇っていた。

WRブルーの軽トラから"バリ伝"のマシンまで

今年で設立75周年を迎えたプラモデルメーカー、ハセガワは、1980年代バイクブームを背景に大ヒットしたしげの秀一氏の漫画『バリバリ伝説』の登場マシンを1/12スケールでキット化。主人公・グンがWGPを戦ったホンダ「NSR500」と、ライバルであるラルフ・アンダーソンのヤマハ「YZR500」が出品された。最近、ブーム期を体験した世代が再びバイクを楽しむ「リターンライダー」が増加傾向だという。そのこともあってか、展示を前に懐かしむ来場者の姿も多く見られた。

ハセガワ「『バリバリ伝説』Honda NSR500"巨摩郡"」(6月発売予定)

ハセガワ「『バリバリ伝説』ヤマハ YZR500"ラルフ・アンダーソン"」(7月発売予定)

アオシマはランボルギーニ「ウラカン」の模型(写真左)と実車(同右)を展示

「アオシマ」こと青島文化教材社は、ランボルギーニ「ウラカン」の模型と実車をはじめ、バラエティに富んだスケールモデルを展示していた。

中でも異彩を放っていたのが、スバルが「サンバー」50周年を記念し、2011年に500台(+追加500台)生産した限定車「サンバートラック WRブルーリミテッド」の1/24プラモデルだ。WRCで活躍した「インプレッサ」と同色塗装されたボディに「555」番の黄色いナンバープレートがあしらわれるなど、遊び心たっぷり。アオシマはその他、ついに生産終了となった三菱「ランサーエボリューション」の最終バージョン「ファイナルエディション」も1/24スケールでモデル化していた。

アオシマ「スバル TT1 サンバートラック WRブルーリミテッド'11」

アオシマ「ミツビシ CZ4A ランサーエボリューションX ファイナルエディション'15」

今年はF1中継がケーブルテレビのみになってしまったことなども影響しているのか、レーシングマシンの新製品があまり視界に入らなかった印象だ。その一方で、「ハイエース」や「サンバー」など、いわゆる「憧れのクルマ」とはちょっと違った車種の模型化が興味深く、愛好家層の奥深さを感じる展示内容であった。