無添加化粧品の販売を主力事業とするファンケル。同社は、マーケティング・オートメーション(MA)製品「SAS Marketing Automation」を導入することで、メール・マーケティングにおける課題を解決したという。

SAS Institute Japanが5月11日に東京で開催したイベント「SAS Forum Japan 2016」において、ファンケル ネット営業本部 ネット営業部 部長の佐野博一氏が「ファンケルにおけるSAS MAの活用と今後の展望」というテーマで講演を行い、同社のメール・マーケティングについて説明した。

本稿では、佐野氏の講演を中心に、ファンケルがMAを導入することで、どのような業務改善を果たしたのかをレポートする。

ファンケル ネット営業本部 ネット営業部 部長 佐野博一氏

MAの根源は経営理念「もっと何かできるはず」

同社は無添加化粧品の通信販売より事業を開始したが、現在では、健康食品の販売も行っているほか、販売形態も通信販売に加えて、直営店舗・コンビニエンスストア・ドラッグストア・スーパーなどに拡大している。

佐野氏は、同社のMAには経営理念「もっと何かできるはず」が根底にあり、「一人ひとりにパーソナルな提案を行うこと」を実現することが目標であると説明した。

同社は「ファンケルオンライン」というECサイトを運営しているが、会員数は430万人、メルマガ会員は112万人、受注件数は1カ月当たり20万件に及ぶという。昨今のモバイル志向を受け、同サイトも売上がPCからスマートフォンにシフトしているそうだ。

佐野氏は、同サイトのポリシーとして、ECサイトでも「おもてなし」を実現するため、MAを導入することになったと語った。「ファンケルオンラインでは、ライトユーザーに対しては続けていただくために手厚いフォローをする、お客さまとのエンゲージメントを築くためにメールとSNSを活用する、スマートフォンを活用する、インターネットを活用して全社を支援するといったポリシーを持っています」

小さな変化をとらえてパーソナルなメールマガジンの配信を

同社はMAを推進するため、2013年11月に「SAS Marketing Automation」を導入したのだが、「そのきっかけは出来事には予兆があると考えたこと」と佐野氏は話した。

「お客さまが商品の購入や離反に至るまでに理由があるのではないかと考えました。そこで、お客さまのデータを収集することで理解を深めれば、もっと喜ばれるサービスを提供できるはずという結論に達しました」

そこで、同社はプッシュ媒体であるメールを活用したマーケティングの仕組みを構築することにした。佐野氏は、手段としてメールを選択した理由について、「通常の広告だとコストがかかりますが、メールは安価で済みます。また、メールで成功することが第一と考えました」と説明した。

しかし、既存のメールマガジンの配信を活用したメール・マーケティングには課題があった。「セグメントを分ければ分けるほど、オペレーションの負担が増え、一度に大量に配信するため、個人の状況に配慮することが難しいという課題がありました」

同社は、顧客をよりよく知ることで、一人ひとりにより良い情報を提供なタイミングで提供するため、新たなパーソナル・コミュニケーションを実現する仕組みを構築することにした。その際に注目したのが「MAを使ったイベント・ベースド・マーケティング」だ。

「これまで、メールマガジンの配信のきっかけはライフイベントというイメージが強かったですが、もっと小さな変化をとらえて、ビジネスの契機にしたいと考えました」と佐野氏。

読者の小さな変化をイベントとしてとらえてメールマガジンの配信を