長谷寺の魅力は季節で変わる

甘縄神明神社から、そのまま真っ直ぐに歩いて行けば、ほどなくバス通りに出る。右を見ると山の中腹に建つ長谷寺の大きな建物が目に入る。長谷寺は、境内からの素晴らしい海の眺望や、初夏のアジサイ、晩秋の紅葉の美しさなどで知られている。

5月の長谷寺を訪れるなら、「長谷の市」というイベントもオススメだ。「長谷の市」は地元の3つの商店会が共催する、長谷寺境内などを会場とする市場イベントで、毎年春秋の年2回開催される。ミニ縁日コーナーや飲食コーナー、物品販売コーナーのほか、特設ステージでは、地元のミュージシャンやフラダンサーなどによる様々なパフォーマンスが行われ、一日いても飽きない内容だ。

長谷の市は年に2回開催される

●information
長谷寺(長谷観音)
神奈川県鎌倉市長谷3-11-2
アクセス:江ノ島電鉄「長谷駅」徒歩5分
拝観時間:8:00~17:30(入山受付終了17:00)
※2016年春の「長谷の市」は5月15日に開催

フランス式庭園に咲くバラもまたいい

鎌倉文学館とセットで見学をオススメしたいのが、文学館からほど近い場所にある「鎌倉市吉屋信子記念館」だ。『徳川の夫人たち』『女人平家』などの作品で知られる小説家の故・吉屋信子の旧居で、書斎なども公開している(5~6月は土日公開)。

鎌倉市吉屋信子記念館の書斎

また、今回の散歩コースからは外れるが、旧華頂宮邸(かちょうのみやてい)の見学もオススメしたい。昭和4年(1929)に華頂博信侯爵邸として建てられた洋館で、フランス式庭園に咲くバラは、鎌倉文学館のバラとはひと味違う趣だ。通常は庭園のみの公開されており、特別公開日のみ建物内も公開となる。

旧華頂宮邸のバラも一見の価値あり

5月のゴールデンウィークと6月のアジサイの時期という混雑期の合間に当たる5月中旬から6月上旬は季候も良く、鎌倉をゆっくり楽しむにはベストシーズン。春の陽光と新緑の薫りの中、ぶらり古都鎌倉散歩を楽しんでみてはいかがだろうか。

※記事中の情報は2016年5月時点のもの

筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に撮影・取材を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。