2016年5月11日から13日にかけて、東京ビッグサイトにて開催されている「第5回 IoT/M2M展(IoT/M2M 2016)」において、初出展となるクアルコム ジャパンは、2015年に買収を完了したCSRのBluetoothソリューションのほか、日本初公開となるIEEE802.11adやSnapdragon 820Automotive module(SD820Am)を用いたデモ展示などを行っている。

旧CSRのチップを搭載した各種の開発ボード群

IEEE802.11adのデモは、1×1の11ac Wave2に対応した3台のASUS製スマートフォン(スマホ)と、2.4GHz、5GHzそして60GHz帯に対応した11adの試作スマホでの通信速度比較で、ASUS製スマホによるシングルユーザーMIMOでの伝送速度が約160Mbpsであるのに対し、60GHz帯とビームフォーミングを活用した試作機とトライバンド対応アクセスポイントとのスループットは約2000Mbpsと10倍超の高速転送を実現していることを確認することができた。

2.4GHz、5GHz、60GHz帯トライバンドを用いたデモの様子。IEEE802.11adのトライバンドを実現したスマホは同社の手による試作機

またSD820Amのデモは、クラスタ部、IVI、リアシートエンタテイメントを模した動画像処理を1チップで実現するというもの。クラスタ部とリアシートエンタテイメントの解像度はHD、IVIは4Kでそれぞれ出力されており、地図を表示しつつ、動画を再生するといった様子を見ることができる。さらに、今回の展示では行われていなかったが、カメラモジュールの追加が可能であり、実際にはサラウンドビューやリアカメラなどとして活用することが可能だという。チップとしては、ようやくエンジニアサンプル品が登場したといった段階で、量産までにはもう少し時間がかかるとのことであった。

Snapdragon 820Amを用いて3枚のパネルに別々の映像を同時出力するデモの様子

このほかSnapdragon 820を搭載したVRのデモなども同ブースでは体験することが可能。こちらは、バッテリーで駆動するVRヘッドマウントディスプレイにSnapdragon 820を搭載し、内蔵されているGPU「Adreno 530」を用いて360度の4K映像を楽しくことができるというもの。バッテリ内蔵のため、ケーブルを意識することなく、自由にVR空間を楽しむことができる。

Snapdragon 820を搭載し、スタンドアロンで360度の4K映像を楽しむことが可能なVR HMD。何の映像を楽しめるかは、会場の同社ブースにて自分の目で確かめていただければと思う

なお同社では、CSRの買収により3G/LTE、無線LAN、Bluetoothと主要な無線通信規格をラインアップしたほか、各種のSDKの提供やパートナーによる開発ボードの提供なども進めており、そうしたソリューションを全面に押し出していくことで、今回の展示会において日本のカスタマニーズの深堀りなどを図っていきたいとしている。

同社チップを搭載した開発ボードも多数展示されている