「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」のダイソンが、美容家電へ進出した。掃除機ではなく、「羽根のない扇風機」の技術を生かして誕生したヘアードライヤー、その名も「Dyson Supersonic」(ダイソン スーパーソニック)だ。

ダイソン初の美容家電「Dyson Supersonic」とジェームズ・ダイソン氏。アイアン/フューシャとホワイト/シルバーの2色展開となる

見た目からして、一般的なヘアードライヤーとは一線を画している。風が吹き出る原理は、羽根のない扇風機と同様、「Air Multiplier」(エアマルチプライアー)テクノロジーという技術を採用。毎分11万回転する「ダイソン デジタルモーター V9」は高効率かつ小型で、パワフルながらも軽量コンパクトなヘアードライヤーを実現した。小型なモーターはハンドル部分に配置。こうすることによって、重量バランスが良好になり、安定して使えるというわけだ。

ジェームズ・ダイソン氏が手に持っているのがデジタルモーター V9

参考小売価格は45,000円(税別)とかなり強気。ヘアードライヤーで日本のシェアトップを誇るパナソニックのフラッグシップモデルでも、発売当初でおよそ2万円前後だ。Dyson Supersonicは、その倍以上のお値段となる。

世界中で同時に発表され、日本では発表会も開催。ダイソンの創業者兼チーフエンジニアであるジェームズ・ダイソン氏が登場し、自ら新製品について紹介した。

どうしてジェームズが日本に?

さて、ここで1つの疑問が浮かぶ。どうして世界同時発表なのにジェームズ・ダイソン氏が日本にいるのか、だ。ダイソン初の美容家電を披露する大きな発表会でありながら、本国イギリスではなく日本で開催した。

とはいっても、実はこれが初めてのことではない。ダイソン初のロボット掃除機「Dyson 360 Eye」を2014年に発表した際もジェームズ・ダイソン氏が自ら日本にやって来てプレゼンしている。"日本びいき"を感じさせるのは発表会だけではない。ダイソン初の、そして現在のところ唯一の旗艦店「Dyson 表参道」も2015年4月に日本でオープンしている(2016年夏にはロンドンにも同様の店舗をオープン予定)。

今回の新製品についても、世界に先がけてまずは4月28日からDyson 表参道にて販売開始した。ダイソンはなぜ日本市場をここまで重要視しているのだろうか。