【レポート】

これからのバニラエアを語ろう! 新社長・五島勝也氏×武藤康史氏対談

4 今、成田・羽田空港に期待すること

4/5

空路も地上も成田には課題あり

武藤氏: 事業計画を支えるために、どの航空会社も拡大を狙っていると思うんですが、そうなると2015年4月にLCC専用として開業した成田空港第3ターミナルでも、早々にキャパシティが足りなくなるのではと思っています。そのあたりに関して空港に要望していることはありますか?

2015年4月に成田空港第3ターミナルが開業し、バニラエアのほか、春秋航空日本、ジェットスター・ジャパン、ジェットスター航空、チェジュ航空の5社が入居している

五島社長: 大いにありますね。第3ターミナルのキャパシティーは750万人と言われていますが、現在、1年間で600万人の方が利用されているのでもう先が見えています。そして我々も便数を増やしていきたいと思っているんですが、現状でも第3ターミナルのスポットは足らない状況です。現在運用されているスポットの反対側にもスポットが設置される予定ですが、まだオープンになっていません。そのため、我々は沖止め(空港の搭乗口から離れた所に航空機を停泊させること)の便が多いです。そうなると何が起きるかというと、バスでお客さまを運ぶのでそのバス代金をバニラエアが負担しないといけなくなります。

アクセスの問題もあります。第3ターミナルへは歩くには長いですし、バスだと最後に停まります。せめて"LCCバス"と称される格安バスは第3ターミナルから停車してもらえないか、要求しています。現在、成田でも第3滑走路増設の話があり、深夜の時間帯を伸ばそうという構想もありますが、そうなると地上アクセスの利便性向上も必要になりますよね。もっと全体的な視野に立って環境を整える必要があると思います。

武藤氏: 実際、第3ターミナルに移ってから変化の実感はありますか?

五島社長: 変化は大きいです。今までは分散していましたから。国内線と国際線で動線が悪く、お客さまが混乱してご迷惑をおかけしていました。スタッフィングも分散しているので効率が悪かったです。今は第3ターミナルに一括されたことで、お客さまにとって利便性が向上し、また、我々にとってもコストメリットも大きくなりました。そもそもターミナル自体が安くつくられているので、我々LCCにとっても魅力的です。

武藤氏: 羽田への進出は考えていらっしゃいますか?

五島社長: 我々としてはぜひ入って行きたいと思っているところです。現状、昼間はいっぱいで夜間ならという話ではありますが、現在では世界各国の航空会社が飛び始めていますよね。我々は成田をメインにしていますが、どうしても夜間運用が制限されますので、夜間は羽田でという使い方もできるのではと思っています。あと、TOKYO2020に向けて昼間の発着本数も増やすという話もありますし、ぜひそこはチャンスがあれば。

「付帯収入20%」を達成するために

武藤氏: 話を変えまして、今度はLCCとしてのビジョンをおうかがいしたいと思っています。そもそもLCCとしてどこを磨いていくかというのもありますが、中堅のハイブリッドとして、LCCには属さない航空会社も日本には多くあります。そうした航空会社との差別化として、LCCならではでもう少し付加価値をつけいこうということはありますか?

五島社長: 垣根がだんだん下がってきたというのが現状でしょうね。航空運賃を安くして座席指定料金を設定するとか、FSCがLCCのようなサービスを展開するケースもあります。FSCとLCCとの価格差は小さくなってきているので、我々としてはサービスをしていかなければお客さまに乗ってもらえなくなるという意識はあります。ただ、問題なのはコストですよね。やはり利益を生み出して、永続的に存在しながらも低運賃を提供し続けることがLCCの使命だと思っていますので、そのコストをいかに低く維持しながら、お客さまが求めるものにより応えるようにするか、非常にチャレンジだと思っています。

武藤氏: 通常、LCCはなかなかレベニューサイドがとれないですからね。

五島社長: そうですね。お客さまには安い航空券を提供させていただくのですが、やはり付帯収入が必要です。ここはやはり大事な部分ではあります。もっともっとユニットレベニューを上げる努力をする。これまでなかなか手がつけられていなかったところなので、そのあたりも力を入れていきたいと思っています。トータルの営業収入のうち、付帯収入が20%を占める程度にまでに高めていきたいですね。どこのLCCでも、ひとつの収入源としていろんなサービスでお金を生み出すシステムをとっています。世界のLCCは日進月歩ですよね。

武藤氏: 付帯収入という意味では、当然飛行機の中だけではなく、降りてからとか、乗る前に注文してもらって降りてから渡すとか、空港にショップをつくるとか、いろんな取り組みが想定できると思いますが。

五島社長: 今も空港ターミナルでショップを運営していますが、今ひとつというところがあるので改善の余地があると思っています。ただ、ウェブの上で事前に購入していただくというシステムが一番だと思っています。例えば、損保ジャパンとやっている旅行保険、それも単なる旅行保険ではなく、遅延・欠航した場合に保障が出るというLCCならではの保険の開発もしています。そうしたところに活路があるように思っています。

武藤氏: 運賃区分とか付加料金とは、すでにオーガナイズされた状態にあると考えてよろしいでしょうか? 例えばアジアのLCCとかなると、もう少し運賃種別が何種類かに分かれていて、予約変更できる回数が違うとか選ぶ座席によって払う金額が異なるとかありますが、そこまでなるとかえってややこしくなるんでしょうか?

五島社長: 長い距離を飛ばすために足の長い飛行機を運用するとなると、ビジネスクラスまでではなくともそれ相当のサービスを提供するなら、さらに細分化は必要になりますよね。我々の基本プランはコミコミバニラとシンプルバニラの2つ、時折のバーゲンとしてわくわくバニラがあるだけです。果たしてこのバンドルがお求めやすいのかも含めて、レビューも必要でしょうね。今はこのバンドルで進めて、毎年毎年見直しをしていこうと思っています。

4/5

インデックス

目次
(1) 経常黒字化を推し進めた台湾線
(2) 台湾線から広がる東南アジア線で期待される新機材
(3) 国際線で勝てる魅力づくり、国内線で起きた変化
(4) 今、成田・羽田空港に期待すること
(5) 新社長として企業風土づくりで心がけていること
関連キーワード

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事