【レポート】

これからのバニラエアを語ろう! 新社長・五島勝也氏×武藤康史氏対談

3 国際線で勝てる魅力づくり、国内線で起きた変化

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国際線拡大に向け「日本だから」以外の魅力を

武藤氏: 2016年度以降のバニラエアとしては、国内線よりも国際線を積極的に展開していく見通しだと思います。バニラエアが掲げるリゾート・レジャー旅を考えると、日本の方々にもっと安い運賃でリゾートエリアに行ってほしいというのがあると思いますが、2020年までの展開全体を眺めた際、中国やフィリピンとかは日本からのアウトバウンドの集客爆発的な上昇というより、インバウンドを狙った路線展開という側面の方がかなり大きいように思われます。実際、羽田=台北線の台湾の方の利用が70%以上とありましたが、そうした意味ではインバウンドを大きな需要としてつかまえていくというのが基本的な考えでしょうか?

五島社長: フィリピンに関しては日本からとフィリピンからと両方ありますが、中国やインドシナ半島の部分はどちらかというインバウンドの方が大きいだろうなと考えています。政府も今、2020年までに4,000万人、さらに2030年までに6,000万人を目指していますよね。今、インバウンドの需要をとるということが、東京・大阪だけではなく地方も含めて日本を観光立国として活性化させるという、政府自体も期待しているところです。その意味でLCCが果たすべき役割、発揮できる力があるのではないでしょうか。

武藤氏: インバウンドと言うと、先ほどのように台湾は歴史的に日本に対する印象がいいという背景がありますが、それとはまた違う歴史のある国・地域もあるかと思われます。そうした地で台湾での成果・経験を元にして戦っていくとしても、もう少し付け加えていかないと、「日本のエアラインだから」というだけでは勝てないところもあるように思うんですよね。

五島社長: おっしゃる通りです。「日本だから」というだけではなくて、安全運航やお客さまが体験する部分における「品質」ですよね。LCCの比率が日本ではまだそれほど高くないですけど、世界的には高まっているところですから、安いだけだと一緒になってしまいます。値段だけではなく、その次のステージとして、「なんで選んでいただけるか、どう他社と差別化するか」、というところを考えるところにきています。

実際に台湾線も1年前と今とでは非常に状況が変わってきています。台湾のLCCであるVエアなど、新規参入が相次いで供給力が高まっています。安さだけでは変わりません。では何が違うのか。お求め安さや体験としての品質ですね。我々もバニラエアの強みとしてどこを磨いていくかということを、社内で新たにプロジェクトを立ち上げて今やっています。

バニラエアは成田をベースにしていますが、夜間の運航は禁止されているところもあります。台湾を基地化するという意味は、夜の稼働率を高めるという側面もあります。台湾に限らず、東南アジアでは夜の時間に飛行機を飛ばすというところも多いので、工夫が必要だと思っています。

武藤氏: 狙いは国際線強化とのことですが、国内線で狙っているところはありますか?

五島社長: 今一番好調なのは成田=新千歳線ですね。ここは1日7便とかなり便数も飛ばし始めましたので、それだけなると、我々はレジャーをターゲットにしていましたが、少しずつビジネス利用の方にも利用してもらえるようになりました。あと、沖縄線と奄美大島線を飛ばしていますけれど、ここはもうレジャー路線ですので、もっともっと多くの方にご利用いただけるように努力をしていきたいエリアですね。

特に成田=奄美大島線は、2014年7月に就航してから1年間で10万人を奄美大島に運ぶことができるようになり、地元の方からも「バニラエア効果」と喜んでいただきました。バニラエアが飛んできたことで経済が活性化した、と言われたところですね。今の日本全体の地方創生ではないですけど、地方にもインバウンドや東京のお客さまを連れてくるとか、そうした貢献もできたらいいなともイメージしています。それがどこまでできるのか、これからもいろいろと検討しているところではあります。

羽田=奄美大島線は2014年7月に就航し、年間10万人を送り届ける規模に拡大した

奄美大島線で生まれた新しい競争

武藤氏: 奄美大島というのは特殊な路線だと思います。通常、1社独占路線だとあまり安くはないというイメージが強いんですが、成田と羽田と若干違いはあるものの、今まではJAL1社だけが提供していたところにバニラエアが飛んできたことで、ニッチな拠点で勝負がおきました。昔のマレーシアがそうでしたよね。「安いんだったら奄美へ」という、新たな需要を巻き起こしたという実感はありますか?

五島社長: ありますね。実際、既存のFSCのお客さまとは違うような方が奄美大島へ訪れています。1社単独だとあまり安くはないというイメージがありますよね。競争がない分、運賃が高止まりしていたということを地元の方がおっしゃっていました。そこに我々が基本安い運賃で参入しています。例えばですが、家族4人で東京から奄美大島に帰省するにしても、FSCだと時期によっては20万円もするということもありえますから。我々LCCが入って、新しい需要をつくったということは言えるのではないでしょうか。

武藤氏: 今後もそうしたLCC効果が発揮できる路線を開拓していくんだと思いますが、例えば先ほど、台湾を基地化にしてその先へという構想もあるということでしたが、その意味では沖縄の基地化も構想できるのではないでしょうか?

五島社長: 沖縄も今、インバウンドの方も非常に多くなっていますし、日本人から見ても沖縄は国内屈指のリゾート地として有名です。そうした意味でもうちのカラーにあっているエリアですから、これからもうちょっと工夫してたくさんの方に来てもらって、ぜひ収益性も高めていきたいと考えています。

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インデックス

目次
(1) 経常黒字化を推し進めた台湾線
(2) 台湾線から広がる東南アジア線で期待される新機材
(3) 国際線で勝てる魅力づくり、国内線で起きた変化
(4) 今、成田・羽田空港に期待すること
(5) 新社長として企業風土づくりで心がけていること
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