【レポート】

これからのバニラエアを語ろう! 新社長・五島勝也氏×武藤康史氏対談

2 台湾線から広がる東南アジア線で期待される新機材

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台湾の先に広がる世界

武藤氏: もう少し先の話をしましょう。2016年1月末にANAホールディングスの中期計画が発表されましたが、その中にはバニラエアのネットワークが出ていますよね。かなりアグレッシブで大胆な計画が描かれているなという印象を受けました。2020年までの展開として、バニラエアが設立時より掲げてきたリゾート路線だったり、リゾート路線ではなかろうなと思われる中国本土だったり、東南アジアや先ほどおっしゃった台北を基地としての展開だったり。具体的に次の2017~2018年に向けて、ポイントとして考えているのはどこでしょうか?

五島社長: 我々LCCとして何をするかというと、安い・求めやすい航空運賃をご提供して、たくさんの人にご利用して喜んでいただきたいというのが、会社としての目標であり使命だと思っています。今はエアバスのA320を使っていますので、4,5時間で行ける国内・国際線をカバーしていますけど、需要、日本の方がどこに行きたいか・どこの方が日本に来たいか、などを考えた場合に当てはまるのは東南アジアではないでしょうか。もう少し広いスパンで見る必要があるだろうと考えていますが、そういったところにどうやったら路線を結ぶことができるのか、というのがひとつのテーマですよね。

今、エアバスのA320ceoという飛行機がありますけど、我々としてはA320ファミリーを使うことにかなりハードルが低い(いろいろなバリエーションを持てる)ところがあるので、もうちょっと足の長い飛行機(中・長距離路線)で行けるところはどこなのか検討したところ、距離の面でも東南アジアをぜひやっていきたいですね。

我々は「レジャー・リゾート旅」を提案していますが、既存の国際線(香港/台湾)を見てみるとそれほどレジャー・リゾート旅という感じでもないですよね。そうした意味からすると、開業当初から言っているような太平洋の島とかそういった海のきれいなところにも飛ばして行きたいなと。日本の方にもっとたくさん行ってほしいとか、あるいは海外からもっとたくさんの方が日本に来てほしいとか。そうした需要に応える路線として、この東南アジア路線が当てはまるのではと思っています。

"LCCの教科書"も満たすA321neoLRの可能性

武藤氏: ANAホールディングスの中期計画では高性能機の導入、つまりA320neo以降の可能性が述べられていますね。長距離路線を展開するなら燃料タンクを増設する必要が出てきますが、そうなるとキャビンスペースが減ってしまいます。他方、長時間運航なので座席間隔を広くするために機材を大きくするという考えもあるかと。そうなると、通常のLCCとしての方向性とは違ってくるのではと思いますし、機材適合も相反する難しい条件が必要になります。A320シリーズの中で足の長さと居住性の両方を満たす機材はあるのでしょうか?

バニラエアは現在9機のA320を所有しており、2016年度に3機を加えた12機体制を構築する

五島社長: いわゆる"LCCの教科書"では、単一機材で整備機材や乗務員資格の問題を解消するというのが鉄則なんですが、単純に、違う機種を入れてしまうとユニットコスト(1座席を1km運ぶのにかかる費用)が上がります。とは言え、ANAホールディングスの中期計画にもありましたが、今のA320ファミリーでも足の長いものを選べるかと。A321neoLRとかだと7時間くらい飛べるので、成田から東南アジアも視野に入れることができますよね。A321neoLRであればかなり親和性が高いと思うので、それほどユニットコストは上がらないのではと思っています。もちろん研究が必要になりますが。

さらにもっと遠い路線となると、かなり違う機材を入れないといけないので大きなチャレンジになりますよね。我々としては、「マーケットにお客さまがいらっしゃる、LCCとして入っていきたい」となれば、ユニットコストを考えながら路線を計画していかなければならない。機種は悩ましいですよね。さすがに5,6時間超えてくるとせまいピッチでは苦しいですから、居住性も勘案したレイアウトを考えます。

武藤氏: A321neoLRというのは確かに面白いですね。ゲームチェンジャーにもなり得ます。ところで、現在のユニットコストはどれくらいでしょうか?

五島社長: 我々は6円前後です。ただし、2016年になって非常に油が安くなったので、我々は油を除いたユニットコストも管理的に見ています。我々はいろんな意味で、FSC(フルサービスキャリア)であればかけるコストをやっていませんので、それだけの成果をユニットコストの数値に出せていると思います。問題なのはリソース活用度をいかに高めてユニットコストを下げ、それに見合うユニットレベニューを稼ぐかです。このシステムが機能して黒字を出せるわけですから。

武藤氏: 成田に就航するLCCとしては、ジェットスター・ジャパン、春秋航空日本、ピーチ・アビエーションもありますが、同じLCCとしてどうやって相手を上回って、強みを出していこうと考えていますか? また、機材の導入に関してですが、ピーチは2015年、実態としてはリースではありますが自社購入によるセールアンドリースバックをしました。バニラエアの場合、今後の機材導入形態はどうでしょうか?

ピーチ・アビエーションは成田空港第1ターミナルから、成田=新千歳/関空/福岡/那覇線を運航している

五島社長: 我々はまだ9機と機材数が少ないです。2016年度には3機を追加する予定ですが、「稼働率を高め、ロードファクターを高めて収益性を固める」、こういう目標を持っています。

ピーチはANAホールディングスが38.67%ですが、我々はANAホールディングスが100%のグループ会社という違いがあります。バニラエアはもともと機材をANAからの転リースで受けるという構造でやっているため、バニラエアが独自で機材契約をするということはあまり想定していません。その意味で、親会社のバーゲニングパワーをいかに活用して機材費やユニットコストを下げるか、ひとつのポイントだと思っています。

2016年度は全12機での運用を目指していますが、それでも予備機を持つという感覚はないです。我々はスタンダードな8年リースでして、2013年12月に就航していますから、2021年にもリプレースになってきます。

武藤氏: 予備機を持つか持たないか、これはコストと運航の安定性のトレードオフなので、どの規模から予備機を導入するかは各社のポリシーですね。

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インデックス

目次
(1) 経常黒字化を推し進めた台湾線
(2) 台湾線から広がる東南アジア線で期待される新機材
(3) 国際線で勝てる魅力づくり、国内線で起きた変化
(4) 今、成田・羽田空港に期待すること
(5) 新社長として企業風土づくりで心がけていること
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