『アイドルマスターミリオンライブ!』のCD『THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS 06』発売記念イベントが2016年4月24日、東京・ラフォーレミュージアム六本木にて開催された。出演者は双海真美役の下田麻美、大神環役の稲川英里、高坂海美役の上田麗奈、田中琴葉役の種田梨沙、永吉昴役の斉藤佑圭、福田のり子役の浜崎奈々の6人。

左から稲川英里、浜崎奈々、種田梨沙、上田麗奈、下田麻美、斉藤佑圭

『LIVE THE@TER DREAMERS(LTD)』は、『ミリオンライブ!』の『LIVE THE@TER PERFORMANCE』、『LIVE THE@TER HARMONY』に続くCDシリーズの第3弾。従来の『アイドルマスター』に登場する13名のアイドルと、『ミリオンライブ!』から登場した37名のアイドルを加えた50名がそれぞれペアを組み、『アイドルマスター』シリーズとしては珍しいデュエット曲を収録している。

今回は『LTD』イベントとしては最後の公演となり、1月31日~4月17日まで行われていたライブツアー「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」の興奮覚めやらぬうちの開催となった。昼の部・夜の部と2公演開催され、両公演ともMCは『ミリオンライブ!』メンバーで一番イベント参加経験の多い上田が務めた。

前半のミニコーナーでは、「LTD」イベント恒例の「ミリオン奥の細道」の幕張編が行われた。ペアになった二人が、お題となる上の句をボックスから引き、それぞれ中の句、下の句を作成してひとつの俳句として仕上げるという企画。今回のチーム分けは、上田・種田、下田・稲川、斉藤・浜崎という、「LTD06」のデュエット通りの組み合わせとなった。

上田・種田ペアは「落花生 蓋を開けたら ピーナッツ」と、千葉の名産である落花生から連想した句を披露。季語がないことを注意されると、「蓋が季語です!」と謎の主張をする上田に、「これはまさに真理ですよ」と種田が被せていき、「ミリオン奥の細道」幕張編は波乱の幕開けとなった。続く下田・稲川ペアは「チーバくん 環も大好き よろしくおねがいするチバ」と、字余りにも程がある句に総ツッコミを受けるも、「二人とも字余りだからコンビ感が出ている!」と認めない下田。そして斉藤・浜崎ペアは、斉藤が「日本文学科を卒業しているので、俳句には自信があります」と自らハードルを上げていくスタイル。「新都心 ちょっと遠いよ ホームラン」と、野球好きの昴役ならではの解答を見せたが、季語がないことを指摘されると、斉藤は「野球の開幕シーズンは春だから、ホームランは春の季語!」と、ほかのペア同様に謎の理論を展開させていった。

その後も、上田・種田ペアは「春風や 分け入っても分け入っても ぷしゃ~~~」、「菜の花を こんなに愛でても もりもり食べたい」、下田・稲川ペアは「チューリップ いっぱい咲くよ 海香る」、「つみれ汁 ごくごく飲もう 罪な奴」、斉藤・浜崎ペアは「アイマスショップ アイマスですよ たくさん買おうね」、「蝶飛びて てふてふてふてふ 春香る」と珍回答を連発。

会場のプロデューサー=観客から、より多くの拍手を受けたペアが勝利という企画だったが、最終的に3チームが同率1位となり、見事全員がご褒美のスイーツをゲットすることに。そのご褒美は。ポップコーンの専門店・HillValley(ヒルバレー)のポップコーン(ピーナッツ味)。ポップコーンの蓋を開ける下田を見て上田・種田は、自ペアが最初に考えた俳句を思い出し、「蓋を開けたらピーナッツだよー!」と期せずして伏線を回収する結果になり、昼の部の「ミリオン奥の細道」は大盛況のうちに終了した。ちなみに、夜の部では斉藤・浜崎ペアが繰り出した「マリーンズ 俺が主役だ☆ すばる(昴)だぜ!」が、キャスト陣、観客ともに圧倒的な支持を集めていた。

後半のライブパートで口火を切ったのは、上田・種田ペアの「Understand? Understand!」。3rdライブツアー・福岡公演でもトップバッターを飾っただけあって、この組み合わせの安定感は抜群。これでもかと体を動かす上田と、艶のある種田のパワフルさと色気の入り混じったパフォーマンスからは、先ほど珍俳句を披露していた二人の面影は完全に消え去っていた。曲終了後、激しいダンスに息も絶え絶えな二人だが、その顔は満足感で溢れていた。「(『LIVE THE@TER HARMONY 06』でのユニット)灼熱少女(バーニングガール)の時も一緒のユニットだったけど、ここまで琴葉とガッツリ組んだのは初めて」という上田に、「(海美は)琴葉と相性がいいと思う」と再確認する種田。さらに上田は、「Understand? Understand!」のサビ中に登場する歌詞「Delicious! Delicious!」、「Delete! Delete!」の部分を一緒に歌い、振り付けも真似して欲しいと、急きょ振り付け講座が開かれた。この曲とペアはまだまだ進化していく、そう思わされた一幕だった。

温まった会場をさらにヒートアップさせたのは2曲目、下田・稲川による「ジャングル☆パーティー」。シアターをジャングルに見立て、アイドルと観客が動物のようにハジけまくる様をイメージしたこの曲。イントロが流れだした瞬間に、下田と稲川のカラーである黄色とオレンジだけでなく、ジャングルの木々を思い起こす緑色のサイリウムも振られ、ラフォーレミュージアム六本木は瞬く間にジャングルと化した。

下田と稲川という、元祖765プロと『ミリオンライブ!』屈指のムードメーカーである二人が組んだのだから、楽しくならないわけがない。『アイドルマスター』のコールは、回数を重ねるごとに少しずつピースが埋まっていくといったイメージがあるが、「ジャングル☆パーティー」は、今回が初披露とは思えないほどに完成されていた。特に「ウンババー!」、「ウンババウホホ!」のコールアンドレスポンスは会場全体が野性にかえってしまったのかと錯覚してしまうほどだった。また、『アイドルマスター』としてのライブ出演歴10年以上の下田と、「LIVE THE@TER PERFORMANCE」の発売記念イベントや3rdライブツアー・名古屋公演でしか『ミリオンライブ!』でのライブ経験がない稲川。経験豊富な下田が隣にいるからこそ、稲川は縦横無尽にステージ上を駆けまわることができる。まるで、真美と環の関係性が浮かんでくるようで、安心感さえ感じられる曲となった。曲が終わっても下田と稲川は「ウンババ」、「ウンバババウンババ」と野性が抜けきっていない様子だった。

3曲目は、満を持しての登場となる斉藤・浜崎の「Dreamscape」。今回の参加メンバーで記憶に新しいのは、4月16日開催の3rdライブツアー・幕張初日公演に出演したこの二人だろう。これまで『LIVE THE@TER HARMONY』の発売記念イベントでしかライブ経験のない斉藤と、福田のり子役としてプロデューサーの前に立つのは幕張初日公演が初めてで、イベント参加といった意味では『ミリオンライブ!』最後のメンバーとなった浜崎。ライブ出演回数はまだ少なくとも、幕張という大舞台を乗り越えた2人からはまるで、「この会場は狭すぎる!」という声さえ聞こえてきそうな、伸び伸びとしたパフォーマンスを披露していた。歌い終えたあと浜崎はまず「一週間ぶりだね」と前置きし、「『Dreamscape』の振り付けが増えていたんです。気付きましたか?」と、幕張初日公演からわずか一週間で楽曲を進化させていたことを明かしていた。

最後の曲は『LTD』イベント定番となった「Dreaming!」を6人で披露。歌唱者が変わるたびに楽曲の世界観が異なっていくのが『アイドルマスター』という作品の魅力の一つだが、今回は稲川、斉藤、浜崎の3人が含まれていることにより、いつもとは違った輝きを放っていた。稲川、斉藤、浜崎は、それぞれ環、昴、のり子と、体を動かすことやスポーツが好きで、得意分野はダンスという役を演じているため、聴き慣れた「Dreaming!」もいつもより元気いっぱいで、そして「これからも私たちをよろしくね」、といった声を感じ取れた。3rdライブツアーの発表を皮切りに、『ミリオンライブ!』のイベントに多く参加するようになった印象のある3人が含まれているからこそ、間奏での「765プロの未来はここにある!」という台詞もまた一段と想いが深まっていく気がした。

これまでの『ミリオンライブ!』のCDイベントは、春日未来役の山崎はるか、最上静香役の田所あずさ、箱崎星梨花役の麻倉ももを中心に据え、ゲストを呼んでいった「LIVE THE@TER PERFORMANCE」、参加者を2ユニットごとに分かれさせることでお互いを意識させ高めていった「LIVE THE@TER HARMONY」、そして登場経験の少ないメンバーたちもどんどんと出演していった「LIVE THE@TER DREAMERS」と、着々とステップアップを図ってきた。そして、2013年5月よりスタートした『ミリオンライブ!』は、4年間の種まき期間を経て2017年3月、日本武道館に37人が勢揃いする4thライブという花を咲かせる。最初のテーマソング「Thank You!」の歌詞にも登場する「ぶどーかん」は、本作にとって目指すべき目標であり、夢だった。3rdライブはツアーという括りで37人が出演したが、37人全員が同じ舞台に立つのは4thライブでの日本武道館が初めてとなる。2016年夏以降にはCD新シリーズ「THE@TER ACTIVITIES」も始動する。これからの『ミリオンライブ!』はいったいどんな「765プロの未来」を見せてくれるのだろうか。