2016年4月22日(現地時間。日本は23日未明)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14328を、ファーストリングを選択したPCとスマートフォン向けにリリースした。Build 2016で発表したWindowsインクや、ロック画面からCortanaの起動、資格情報に関するUIの改善など多くの変化が盛り込まれている。

Windowsインクを搭載

前回のWindows 10 Insider Preview ビルド14316リリース以降、Windows 10 Mobile Insider Preview(スマートフォン版)は2回のリリースが行われてきたが、PC版はなしのつぶてだった。Microsoft Engineering Systems Team CVP Gabriel Aul氏は、Twitter上で、2016年4月第4週に次のビルドをリリースすると述べていたが、PCI Express関連のバグが発覚し、本日まで遅れてしまった。だが、新たに搭載した機能は待たされた分だけのことはある。

まずはBuild 2016で発表したWindowsインク。デジタルのペンを用いてタッチ機能を備えるデバイスをアナログ的なノートのように使用するというものだ。Aul氏は対応するアプリケーションとして、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションの「マップ」やMicrosoft Edge、Officeアプリケーションを挙げている。また、タスクバーの通知領域に設けたアイコンをクリック、もしくはペンのボタンを押すと、「付箋」や「スケッチパッド」「画面スケッチ」などを起動するWindowsインクワークスペースが現れる仕組みだ。ここから目的の機能や、直近利用したアプリケーションを呼び出せばよい。

通知領域のアイコンやペンのボタンから呼び出す「Windowsインクワークスペース」

付箋を起動した状態。ペンでそのまま付箋紙に書き込める。もちろん通常のテキスト入力も可能だ(公式動画より抜粋)

筆者は絵心がないので「スケッチパッド」は公式動画より抜粋した画像でご紹介する。Build 2016でアピールしていたデジタル定規も使用可能(公式動画より抜粋)

Officeを始めとするアプリケーションでもWindowsインク機能を使用できる(公式動画より抜粋)

「設定」の<デバイス/ペン>で動作をカスタマイズすれば、Surfaceシリーズ以外のデバイスでもWindowsインクワークスペースを呼び出せる

スタートメニューの改善

UX(ユーザー経験)を大きく刷新したのもビルド14328が供える特徴の1つだ。まずスタートメニューは「よく使うアプリ」と「すべてのアプリ」を一体化し、クリックやスクロールといった操作を軽減させている。スタートメニュー左端に並んでいたボタン類はハンバーガーボタンで開閉し、各ボタンはワンクリックでアクセス可能。これにより「設定」の<個人用設定/スタート>に並ぶ<スタート画面に表示するフォルダーを選ぶ>から表示項目を追加しても、Windows 10バージョン1151(Threshold 2)のような野暮ったさはなくなった。

スタートメニューにハンバーガーボタンを加え、表示する情報を整理した

タスクバーの右端(正しくは"デスクトップの表示"と時刻の間)に加わったアクションセンターの未読通知を知らせるバッチ。数値は変化する

スタートメニューのデザイン変更は、以前からインサイダー向けにアンケートを行っていたが、同様にアンケートを取ったトースト通知の未読数をバッチ表示するデザイン変更も行われている。また、Aul氏はUWPアプリケーションに同機能を加えたことを明らかにした。「メール」は未読数を、「アラーム&クロック」はアラーム機能を、「天気」は気象に関するアラートをバッチとして表示する。なお、UI変更はUAC(ユーザーアカウント制御)ダイアログや資格情報ダイアログにも加わった。

UACダイアログなどのデザインを変更した。Aul氏はWindows 10にふさわしい「モダンUIなデザイン」と紹介している。なお、資格情報ダイアログも変更された

こちらは動作を確認できなかったので公式ブログの画像を紹介する。「メール」などのUWPアプリケーションにバッチが加わった(公式ブログの画像を加工)

UXに類するが、エクスプローラーのデザインが変わったのもビルド14328が供える特徴の1つである。下図で示したようにモノクロームなデザインだが、Aul氏は「デザインチームはエクスプローラー=黄色というイメージがあるため、わずかに黄色を残している(意訳)」と説明。Windows 10は全体的にモノクロームなデザインを採用しているため、このような変更を加えたのだろう。なお、インサイダーのフィードバックとして、タスクバーの空間を確保するためエクスプローラーのピン留めも本ビルドでは廃止した。この変更についてはFeedback Hubを通じて意見を寄せてほしいとAul氏は述べている。

エクスプローラーのアイコンデザインをWindows 10に合わせて変更している