4月24日で、Apple Watch発売から1年が経った。筆者はApple Watchを着けるようになってからダイエットを始め、約1年で体重が29kg落ちた。どうやったらそんなに体重落ちるんだよ、元は何kgあったんだよ? といろいろ突っ込まれそうな記事タイトルではあるが、まずはこの1年で、Apple Watch周りでどんなことがあったのか振り返ってみたい。

Apple Watchの販売が始まったのは昨年の4月24日。その前の3月9日(米国時間)に開催されたスペシャルイベントで予約方法や価格が発表。アルミニウムケースの「Apple Watch Sport」、ステンレススチールケースの「Apple Watch」、18Kゴールドケースの「Apple Watch Edition」という3ラインの展開で、42,800円(税別)から2,180,000円(税別)までという幅広い価格帯で発売されることになった(発売当時の価格。現在は36,800円(税別)からとなっている)。発表会の時点で筆者の体重は96kg(証拠になるようなものを何も残していなくて恐縮だが、その後、本気で減量計画に乗り出すとは思ってもみなかったので)。

発売当初はApple Watch Sport/Apple Watch/Apple Watch Editionの3ライン

直営店での販売以外に、Dover Street Market GINZAでの取り扱いがアナウンスされ、伊勢丹新宿店では、Apple Watch at Isetan Shinjukuがオープン。パリのGaleries Lafayette、ロンドンのSelfridgesでも取り扱われたことも話題となった。

4月10日、Apple Watch at Isetan Shinjukuがオープン

4月10日にApple Store実店舗にApple Watch at Isetan Shinjuku、ソフトバンク表参道/銀座で展示と試着がスタート。同日の午後16時1分から予約が始まった。先に試着してから購入予約というアプローチもまた注目を集めた。

筆者も予約開始日に試着させてもらったのだが、手に入ったのはゴールデンウィーク明けだったと記憶している。人気モデルは予約殺到で、予約開始初日で出荷予定日が「6月」になっているものもあった。

4月24日、待望の販売がスタート。当日はどの店舗も基本的に予約購入者への商品受け渡しがメインであったが、ごく少数のモデルが即日購入可能となっているところもあった。ゴールデンウィークが明けると、Apple Watch at Isetan Shinjukuでは、当日の試着と製品の持ち帰りが可能となった。

5月20日、watchOSの初のアップデート「watchOS 1.0.1」が公開。パフォーマンスの向上とバグ修正を目的としたものであったが、表示できる絵文字も増強された。体重計には乗っていないが、ウェイトは恐らく変わらずの96kg。

6月1日、Apple Watchのフィットネス技術の開発を担当したJay Blahnik氏が来日し、Apple Store表参道でトークイベントを開催。この取材に伺ったことで、筆者の考え方や生活習慣が劇的に変化する。

Apple Watchのフィットネス技術の開発担当・Jay Blahnik氏

一カ月くらいApple Watchを着けていたものの、「アクティビティ」や「ワークアウト」のアプリはついぞ興味なく、起動することは全くなかった。が、このイベントでの同氏の「特に若い世代では、フィットネスの分野にテクノロジーが導入されることについての関心が高まるであろう」という発言に刺激を受ける。なぜなら、外見はオッサンでも精神面では十代、二十代前半のままでいたいから。

そこで毎日、少しずつ運動を始めた。まずは、電車通勤を自転車通勤に変えるところから。自転車に乗り始めたら、あっという間に10kg体重が落ちた。

受診日がおかしなことになってるが、昨年7月の時点での筆者の体重。すでに9kg落ちているものの、心臓が肥大しているという診断で、いろいろマズいことになっていた

6月8日、開発者向けカンファレンス「WWDC 2015」で「watchOS 2」が発表。ネイティブアプリの開発が可能となることが明らかになった。WWDCの数日前には、Apple Watchの販売国が拡大されることもアナウンスされた。6月17日にはApple Store実店舗における店頭販売がスタート。

Apple Watch Hermès

9月9日、サンフランシスコで開催されたスペシャルイベントで、watchOS 2と「Apple Watch Hermès」が発表。新色のバンドもラインナップに追加された。watchOS 2では、文字盤、コンプリケーションのカスタマイズの自由度が高くなり、Digital Crown/Digital Touch周りの機能も強化された。全般的には「使うのが楽しくなる」といった趣のアップデートとなった。Apple Watch Hermèsの登場は、個人的には非常にインパクトが大きかった。二重ループのストラップを見た瞬間、ファッション業界から身を引いたMartin Margielaに思いを馳せた。しかし、この時点で体重はまだ80kg台。Margiela考案の「Double Tour」を巻くには腕が太すぎた。

Apple Watch用の充電ドック「Apple Watch Magnetic Charging Dock」

11月、Apple Watch用の充電ドック「Apple Watch Magnetic Charging Dock」の販売が始まる。watchOS 2で搭載された「ナイトスタンドモード」(充電ケーブルを接続した状態でApple Watchを横向きにすると置時計になる)を使うのにピッタリなデザインだ。

2016年に入ると、Apple Watch HermèsがオンラインのApple Storeでも購入可能となる。これまではApple Store 表参道/銀座/心斎橋/at Isetan Shinjuku、Dover Street Market Ginza、Hermes 銀座、Hermes 大阪御堂筋の7店舗のみの扱いだった。前出「Double Tour」に160-185mmのストラップが追加され、これなら太った自分でも装着できる! と色めき立つも、42mmモデルは追加されず様子を見ることに。この時点で筆者の体重は70kgに突入していたのだが、年末年始の不摂生が祟って、若干リバウンド。

今年の1月の時点で世界48カ国、12,000店舗での販売と躍進は続く。また、2016年1月のアップルの決算発表では、販売台数の発表こそなかったものの、大きく成績が伸びていることが分かった。

4層構造のナイロン素材を用いた「ウーブンナイロン」バンド

開発にあたっては、日本の老舗織物技術を採用しているとのこと

そして、3月21日、iPhone SEに9.7インチiPad Proなどを発表したスペシャルイベントで「ウーブンナイロン」バンドが登場。4層構造のナイロン素材を用いたカジュアルなこの新バンドは、日本の老舗織物技術を採用している。さらにスポーツバンドや革バンドにも新色が加わり、ミラネーゼループのスペースブラックも追加された。

「watchOS 2.2」の登場で、1台のiPhoneで複数のApple Watchをペアリングできるように(写真では2つ装着しているが同時使用はできない)

あわせて「watchOS 2.2」をリリース。1台のiPhoneで複数のApple Watchをペアリングできるようになった。Apple Watch発売時、バッテリーの持続時間について否定的な意見が多かったのだが、それに対し、筆者は「(Apple Watchを)何個も買ったらいいじゃない」と反論を試みようとするも、残念ながら、当時は寝言でしかなかった。複数持ってたとしてもiPhoneとペアリングできるのはひとつだけだったからだ。現在、筆者は42mmステンレススチールケースとリンクブレスレットのモデルと42mmスペースブラックステンレススチールケースとスペースブラックミラネーゼループを愛用しているが、その時着てる服に合わせApple Watchを選んでおり、リンクブレスレットの時はシルバーのアクセサリーを多めに、スペースブラックミラネーゼループの時は燻し銀のアクセサリーを着けるようにしている。

この時点で体重は60kg台に突入。ブレスレットがどんどん短くなっていき、最初に買ったときより、3つ分リンクが減った。

4月19日、Apple Watch Hermèsのストラップ単体の販売が始まる。試着には未だ行ってないが、恐らく短いほうでも大丈夫なんじゃないかと思う。が、「Double Tour」の42mmモデル用は登場せず(38mmモデルしかないから当然の措置)。本体ごと買っちゃおうかなという気になってきた。

また、国内ではsacaiがApple Watch用のバンドを発売。片方はレザー素材、もう片方はチェーン状のステンレスでデザインと、非常に洗練された仕上がりとなっており、パリのセレクトショップ・colleteなどでも販売が行われている。

筆者の体重は4月25日の時点で66.9kg

ざーっと、Apple Watchの1年を振り返ってみたが、いかがだったろう。筆者の体重は4月25日の時点で66.9kg。Apple Watchを使ったダイエットを始めてから10カ月で29kgの減量に成功した。切捨てで30kgとしようとも思ったが、Apple Watchが「IPX7」の防水性を持ちながら、控えめに「耐水性能を装備」としたように、盛って申告するのは止めた。

発売前後のApple Watchは、ファッション性という軸と機能性という軸で語られることが殆どだったが、1年使ってみると少なくとも効用という点では、その二つだけではないと感じる。個人的には物事を考えるとき、その「考え方」が変わってきたところが、一番大きいと。単にダイエットを継続しているから、このケーキを今食べると×××kcal摂取ということを意識するようになっただけでなく、時間の管理の仕方も変わった。以前の自分は1kgの食べ物を食べると、1kg増量すると思い込んでいたし(エネルギーの概念がなかった)、都内の移動はどこでも30分でいけるとも思い込んでいた(故に遅刻が多かった)。馬鹿が少し賢くなっただけとも言えるが、アタマが良くなるなら、メチャクチャ実利としてはデカい。

今回は、Apple Watchの発売から1年を振り返ることに主眼を置いたが、次回はダイエット始めてから1年間をどう過ごしたかを詳述しよう。体重計の写真は66.9kgを表示しているが、健康診断を受けてのオフィシャルな数字を公開する予定だ。