NTTぷららは4月14日、2016年度上期における「ひかりTV」の事業方針について説明会を開催した。説明会では、スマートフォンやタブレットで視聴できるテレビ番組配信サービスを発表。代表取締役社長の板東浩二氏は、HDRコンテンツの拡充や、JCCおよび地域CATVとの連携強化にも言及した。

モバイル向けサービス「ひかりTVどこでも」にテレビ機能を追加する

NTTぷらら 代表取締役社長の板東浩二氏

今回発表された新事業は、スマートフォン・タブレット向けの専用アプリ「ひかりTVどこでも」に、テレビメニューと番組表メニューを追加するというもの。これにより、スマートフォンやタブレットでリアルタイム配信されるテレビ番組を視聴できるようになる。

6月1日から、プロ野球6球団の試合をはじめとするスポーツ、ニュース、エンターテインメントなど約20チャンネルを配信。視聴予約機能を使えば、見たい番組を開始時刻前に通知してくれる。ひかりTVチューナーを所有しているユーザーは、スマートフォンやタブレットから録画予約が可能。テレビ向けプラン契約者は、追加料金なしで利用できるのも特徴だ。テレビ向けプラン未加入者に向けては、料金を抑えたモバイル向けプランも用意。こちらでは約10チャンネルを視聴できる。同サービスは、今後パソコン向けにも展開される予定だ。

テレビメニュー

番組表メニュー

ひかりTVのテレビ向けプランの加入者は、追加料金なしで利用できる

配信予定チャンネル。チャンネルは今後も追加予定だ

4Kコンテンツの拡充については、2016年度末までに約1,200本の4K-VOD(ビデオオンデマンド)作品を提供すると発表。さらに、4月15日からは4K-IP放送の24時間編成を開始することを明らかにした。HDRコンテンツは、ハリウッド作品を含む12作品を新たに追加し、22作品を提供。ひかりTVのHDR対応4K-VOD作品は、シャープ、ソニー、パナソニック、東芝ライフスタイル、LGエレクトロニクス・ジャパンのテレビで視聴できる。

4Kコンテンツの補充計画。2016年度末までに約1200本をそろえる予定

アジア最大級の国際短編映画祭である「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」にも参加しており、最も4K映像の魅力を伝えることができた監督に贈られる「ひかりTVアワード」を新設。受賞監督と共同でオリジナルの4Kコンテンツを制作する取り組みも行う。

ショートショートフィルムフェスティバル&アジアの代表を務める別所哲也氏も登壇。「4Kに対応した撮影や編集の新技術が、クリエイティブな活動にどう影響するのかを模索したい。日本の監督たちに、新たなサクセスストーリーを提供できるものと期待している」と述べた。

放送局とも連携。フジテレビONEの人気番組「ゲームセンターCX IN 四国 ゲームお遍路巡り」を4Kで先行独占配信する。フジテレビジョン 総合開発局開発担当局長の手塚久氏は、「フジテレビNEXTに加えて、フジテレビONEやフジテレビTWOもひかりTVで配信を開始する。今後はオリジナルの音楽番組もやっていきたい」と話した。

ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 代表の別所哲也氏

フジテレビジョン 総合開発局開発担当局長の手塚久氏

このほか、テレビ長崎や琉球放送、テレビ新広島と4K番組を制作する。NTTぷららの板東社長は「月2本程度のペースで、ローカル局と4Kコンテンツを作りたいと考えている。4Kコンテンツは制作費が高いため回収が難しいとされており、NTTぷららと協業することで負担を低減できるのは、放送局側にとってもメリットではないか」とした。

新たなひかりTV対応チューナー「ST-3400」も発表。6月から提供開始する。4Kコンテンツはソフトウェアのアップグレードによりサポート(アップグレード費用は4,500円)。レンタル料は月額500円で、従来の900円から価格を抑えることで、ユーザーに4Kを身近に感じてもらう狙いがある。

ひかりTV対応チューナー「ST-3400」は6月に提供開始。ソフトウェアアップグレードで4Kコンテンツに対応する

これまでの事業を振り返り、板東社長は「2016年3月末の会員数は305万人。IPTV事業者としては日本でナンバーワンになれたと考えている。2015年11月30日からは4K-IP放送を開始し、日本で初めて4K-IP放送と4K-VODの商用サービスを提供する事業者となった。4K-VODのコンテンツは、前年度中に約450本を拡充し、734本の作品を提供。まだ数は少ないが、日本では最大規模となっている」と話した。

また、CATV局向けのサービスにも言及。同社は2015年11月に愛媛CATVとの協業をスタートしており、「エリア拡大における設備投資が不要であること、契約者がエリア外に移転した場合にも、継続してコミュニティチャンネルなどを提供できるなど、CATV局側にもメリットがある。現在8社と販売アライアンス推進を検討しているが、成功モデルを作り上げることで、CATV事業者との協業拡大を目指したい」と述べた。

アライアンス推進検討中のCATV局

左から別所哲也氏、板東浩二氏、手塚久氏